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19/31

帰宅、そして噂を聞く

帰宅したころには、辺りはすっかり暗くなっていた。

デートはすごく楽しかった……!

はしゃいだぶん、疲労も少し溜まっている。

今日はゆっくり休もう。


エルヴィスと夕食後に談笑する。

今日はたくさんのことがあった。

買い物を楽しんだし、おいしい食事も楽しみ、そして新たな友人たちも作ることができた。

また都に出かけよう……なんて話をしていると、リアさんとオーバンさんがやってくる。


「兄上、少しいいか」


「あ、あぁ……ディアナ、少し席を外すよ」


「はい」


エルヴィスはリアさんを見た途端にソワソワし始めた。

いつも自信がないように振る舞うエルヴィスだが、今日は一段とリアさんに気まずそうに接している。

なにかあったのだろうか……?


二人の兄妹が出て行った後、オーバンさんが疲労回復するハーブティーを淹れてくれる。


「ありがとうございます」


「今日は長いこと歩いてお疲れでしょう」


「はい。でも楽しすぎて疲労なんて気になりませんでした。エルヴィスも普段は見せてくれないような一面を見せてくれたり、もっと彼のことに詳しくなって」


「それは喜ばしいことですな」


微笑みながらオーバンさんは茶菓子を並べていく。

できればエルヴィスと一緒にお茶を囲みたいけど……何の話をしているのだろう。


「エルヴィスとリアさんは何を?」


「私にはわかりませんな。それよりもお茶を飲んでおくつろぎくださいませ」


「……私の実家に関することですか?」


尋ねた瞬間、オーバンさんの動きが少し止まった。

彼は何も答えない。


「すみません、さっき使用人の立ち話を聞いてしまって。私の実家から使者がやってきたとか……」


「ふむ……隠していても仕方ありませんか。たしかに、旦那様とディアナ様がお出かけになっている間に、スリタール子爵家から使者が参りました。しかし、スリタール子爵の使者ではなく『ドリカ嬢の侍女』だったのです」


「お姉様の……」


スリタール子爵家で、私はろくな扱いを受けていなかった。

お母様とお姉様が権力を握っていて、使用人たちも私をいじめていたのだ。

実家からの使者が私の悪評を吹き込んでいないか心配になる。


「ご安心を、ディアナ様。アリフォメン侯爵家の者は、みなあなたの味方です。使者は非常に礼節を欠いた態度でしたが……お嬢様がうまく対処してくださいました」


「姉はどういう用件で?」


「その……ドレスをアリフォメン侯爵家に買ってほしい、と……」


「?」


意味がわからない。

どういうこと……?

首をかしげる私に同調するように、オーバンさんも困惑していた。


「侯爵家の親族となったのだから、ドレスくらい買ってしかるべきだ……との言い分でした。もちろん誕生日や祝いの日には親族に贈り物もいたしますが、そう易々と金を出していては侯爵家の格が落ちます。お嬢様は適当な返事だけして、使者をお返しになりました」


「ほ、本当にお恥ずかしい……当家の者がご迷惑をおかけして……」


あまりの恥ずかしさに耳の端まで真っ赤になる。

エルヴィスの語っていた『お母様とお姉様は侯爵家の親族に不適格』という理由がわかった。

こんな人を親族にしておけば、アリフォメン侯爵家の名誉が大きく揺らぐことになる。


やっぱり……逃げてばかりじゃいられない。

このままでは侯爵家の方々に迷惑をかけ続ける。

私の実家の問題には、私が向き合わないと。

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