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魔物退治

 王立騎士団の人達が魔物の群れへ向かって行く。


 私は彼ら全員を見渡せる後方に位置する。

 前に出るなんてことは許されない。

 どちらにせよ大型の魔物までいるし、今日は剣を携えていないので、前に出ることは考えていない。


 ダグラスは私の斜め後ろで金色の瞳で睨みを利かせながら控えている。

 魔物よりもこちらの圧のほうが強い。


 レイヴィスも私と同じく剣を携えていないけれど、私より前方に出ていった。


 最前列の騎士と魔物の交戦が始まった。

 まずは小型と中型から仕留めていくつもりのようだ。


 私は大型の足止めとその付近の魔物を仕留めていこう。

 レイヴィスが大型一体に向かっていくので、別の個体に狙いを定めた。


 魔物に向けて次々と光の刃を飛ばしながら、全体の様子を窺う。


(……あれ? 手こずってる?)


 私でも剣だけで余裕で倒せるような中型の魔物に、二人がかりで斬りかかっている騎士達。

 まだ倒せないどころか、どちらかというと押されている。


 何だか危なっかしいので、見かねて光の刃を飛ばした。

 刃は魔物の眉間に刺さり、倒れたところを騎士が仕留めた。


 他の騎士は……同じような感じだ。

 何人かはすでに負傷している。


 もしかして、騎士見習いから正式な騎士になったばかりの人が多いのだろうか。

 ベテラン勢は遠征中で留守なのかもしれない。


 見ていられないので、大型の足止めをしつつ交戦している騎士達をサポートしよう。

 光の刃を大雑把に次々と飛ばしていく。


 ────シュシュシュシュッ


『グギャァァァ』

『ギシャァァァ』

「ひうっ!」

「何っ?」


 いくつかは怪我をしている騎士にも当たった。

 何も説明をしていなかったので、当たった人はビクッとなった。怪我が癒えたはずなので許してほしい。


 中型の魔物には一通り当たり、動きを鈍らせた。

 後は騎士達に任せて大丈夫だろう。


 大型の魔物は光の刃をくらうと一旦足を止めるも、すぐにまた動き出す。

 仕留めるには相当の光が必要だ。


 レイヴィスも風の刃や火炎弾で攻撃しているけれど、仕留めるほどのダメージは与えられていない。


 やはり剣で急所を斬り裂くのが一番のようだ。


 剣が欲しいな。

 騎士団の人達はあまり役にたたないし、貸してくれないかな……

 丸腰になるからさすがにダメか。


 いや、どちらにせよ大型の魔物に接近することは許されないのだった。

 私の考えを見通しているかのような鋭い眼光にハッとなる。危ない危ない。


 光はできるだけ温存したい。

 そろそろダグラスに声をかけようか悩んでいると、頭に二本の捻れた角を持つ魔物が二足で立ち上がり、口を大きく開けた。


 何か来る。


 魔物の口内が赤く光り、炎を広範囲に吐き出した。

 レイヴィスが前に飛び出し、すかさず右手で吸い込む。

 そのまま左手で吐き出した先には別の大型の魔物。


 ジュウウゥゥ


 炎を吸い込みながら、炎でこんがり焼いていく。

 何という効率の良さだ。

 あまりの手際のよさに感動する。


 レイヴィスの横顔からは余裕が窺えた。

 魔物の攻撃を吸い込んでいるが、すぐに吐き出しているから大丈夫そうだ。


 良かった。

 ホッとしながら、大型の魔物が炎を吐き終わる瞬間を狙って、口内に光の玉を連続で打ち込んだ。


『グガガアァアーッッ……!!』


 体内に直接打ち込むと効果抜群らしく、魔物は苦しみながら後ろに倒れた。

 これはいい発見だ。


 倒れた魔物の止めは、騎士の皆さんがしてくれるだろう。

 ということで次にいく。


 大型の魔物から吐き出された氷の息吹をレイヴィスが吸い込み、そのまま別の大型魔物にぶつけて凍らせる。

 私は氷の息吹を吐き終わった魔物の口内に光の玉を打ち込んだ。

 倒れた魔物の止めは騎士達に任せる。


 後は大型の魔物一体だけだ。

 光の刃をくらって立ち止まっていたけれど、唸りながら丸い巨体でこちらに突進してくる。

 目が血走っているよ。


(うん、無理)


 ものすごく頑張れば倒せるかもしれないけど止めておこう。

 叱られたくはないので、諦めてバトンタッチする。


「ダグラス、お願いします」

「了解しました」


 ずっと見守ってくれていたダグラスは、私の前に飛び出した。


 大型の魔物に向かっていき、そして一閃。

 瞬きの間に魔物の首は落ち、巨体は横に倒れた。


 一切の無駄がない鮮やかな剣さばき。さすがだ。


 騎士達はその様子を口を開けて呆然としながら見ていた。

 いや、見ていないでちゃんと仕事しろ。

 なぜこの人達が正式な騎士になれたのか不思議でならない。

 認定試験が甘過ぎではなかろうか。


 王立騎士団の内部事情が気になるところだが、そろそろ帰らないといけない。

 怪我をしている人に向けて光を飛ばし、さっと癒した。


「それでは、後はよろしくお願いします。美味しい魔物肉はいくつか王立学園の食堂に卸していただけると嬉しいです。あと、私達のことは内密に。上層部への報告だけに留めてください。噂されるようなことになったら嫌なので。では失礼します」

「え……あ、えっと、はい、分かりました。あの……」


 声をかけた騎士は何だか微妙な返事をしたので、念のため睨みを利かせてもらうことにする。


「ダグラスから念押しをお願いします」

「了解しました」


 彼はいつも私の気持ちを理解してくれる。

 いい感じの威圧感で相手を脅して、しっかり約束させてくれた。


 離れたところに置いてある荷物を取りに行き、さっさと帰路についた。

 事後処理を現地の人に丸投げできるって最高だ。


「スッキリしましたし、そのうち食堂で魔物料理が食べられるかと思うと楽しみです」

「うん。初めて見る魔物ばかりだったし、どんな味か楽しみだね」


 最近、魔物料理の定食を食べる生徒が増えてきたと学園の食堂の料理長が喜んでいたから、食材提供に協力できて嬉しいな。


 レイヴィスとの町へのお出かけは、楽しい気持ちで終えることができた。


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