表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/64

プロローグ

 ついにこの日が来た。

 ずっと待ちわびていた、魔力覚醒の儀式を受けられるこの日が。


 私、リアーナ・エヴァンズの夢は、父と母のような立派な騎士になること。

 夢を抱いたその日から、日々鍛練に励んできた。


 今日この日、十歳になって受けられる魔力覚醒の儀式をうけて、ようやく魔法を使えるようになる。


 儀式と言っても体に魔力を流すだけ。

 他者から多量の魔力を流されることによって、自身の内に留まっていた魔力を外に放出できるようになるらしい。


 幼い内から魔法を使えるようになってしまうのは危険なので、この国では十歳を過ぎるまでは覚醒させてはいけない決まりだ。


 儀式は父が領主として治めているエヴァンズ辺境伯領の教会の一室で行われる。

 部屋に部外者は一切入れず、儀式を受ける本人と五人の聖職者のみで行う。


 今日は私の両親は遠く離れた王都にいるため、四つ歳上の兄と共に教会に来た。

 兄は部屋の外で待っている。



 私の中に眠っている魔力はどんな属性だろうか。


 父のように土の属性を生かして地面を制する戦い方も格好いいし、母のように水流で敵を翻弄する美しい戦い方にも憧れている。

 でも、どんな属性でも努力次第では必ず強くなれるはず。だから自分の内に秘めた力をありのまま受け入れよう。


 そう思っていたのに────





「なっ……なんと眩く尊い光!! 浄化されていくようだ。これは紛れもなく光の女神様の聖なる加護の光だ!!」

「おおっ! まさかこの辺境の地で聖女様が覚醒するとは」

「さすが英雄様のご息女だ。聖女リアーナ様の誕生だ!」

「「「「聖女リアーナ様!!」」」」




 何だか周りが勝手に盛り上がっている中、私は魔力を流した水晶玉を無言で見つめていた。


(わー、何かめっちゃ光ってるよ)


 聖なる加護の光だと言っていたが、そんなわけない。

 嘘だよね。ドッキリでしょ。


 だって聖なる加護の光なんてものは、五十年に一人授かれるか授かれないかと言われている希少な属性。

 だからこれは、手の込んだドッキリ。


 そうに決まっている……

 そう思いたかったのに、この人たちは涙を流して喜んでいる。




(…………マジか)

 


 私は呆然と立ち尽くした。

 騎士を志していた私の属性は、まさかの癒しの力だなんて。

 そんなのってあんまりだ。



 聖女様だって? 何を言っている。

 私、そんなのに絶対ならないからね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

『聖なる加護持ち令嬢は、騎士を目指しているので聖女にはなりません。』コミカライズ連載中です

ここをタップすると
コミカライズ連載ページにとびます


html&gt

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

― 新着の感想 ―
[一言] いやいやいや、聖なる力を持つ騎士、聖騎士(パラディン)という選択肢がありまして… って、どうなるんでしょうね。楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ