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第七十四話【五天剣】

  大陸の南より北の方が夜は寒いが、サンテラスは北部の真ん中にあるので、不快に感じるほど寒さはない。


  邸宅の最上階に立ち、深い眠りについたサンテラスを眺めながら、ブリタニーが言った言葉や頭の中の映像を考えている。


  「何を考えているの?」


  背後から声がして、それが誰なのか思わずわかった。


  ほどなくして、レジーナが俺の側に流れてきた。


  「彼女は寝た?」


  振り返らず、前を向いたまま、淡々と言った。


  「寝た。結局のところ、一日にそのことを……」


  「そうだな。天狐一族、あんなに強力な種族も一朝一夕で全滅させるなんて」


  朝だけで、恐らく数時間しかなく、強力な種族を一掃したのだから、簡単に敵の強さを推することができる。


  伝説級…いや、それは少なくとも亜神だー人間界の頂点に立つ存在。


  引きこもりの種族である天狐一族にとって、伝説級の人がいないわけがなく、伝説級を簡単に倒せるのは亜神だけだろう。


  しかし、亜神か?ヘスラム戦役後、亜神はいなくなったが、二千年以上経った今、再び現れたのだ。


  「なんと…残酷な世界なのだろう」


  残念に思ってため息をついた。


  この世界には、ずっと自分より強い者が必ずいる。そうでなければ、まだ会っていないだけなのだ。


  でも、力の終点は何だ?神なのか?それとも創造神?それとも終点はないのか?


  誰も知らない…


  「彼女はただ十五歳なのに、こんな事を…」


  「お前もただ二十歳しかないでは?」


  「アバドン、お前が私より若いでしょう」


  そう、竜として俺は十五歳だった。


  でも…


  「実際は100歳以上だ、覚えてくれ」


  肩をすくめて軽く言った。


  「あら、お前は娘みたいな人と結婚したね」


  レジーナは顔を振り向けて、俺を見て、少しうんざりした様子で言った。


  そう言えば、確かに…


  「そう思うのなら、そうなんでしょう」


  反論できなかったので、譲歩した。


  「そうだ、ブルタニーが言った生き物は深淵魔物だと思う」


  あの醜い生き物、常識では推し量れないものは、深淵魔物でしかない。


  「深淵魔物は二千年前に神々に追放されたかしら?」


  「南の封印に破壊されたことも聞いていない…」


  彼女の声が低くなり、少しためらいがちに聞いた。


  そう、大陸の歴史によれば、深淵魔物はカマミール時代の初めに追放され、カマミール世界への入り口である南の空間裂け目も封印されたのである。


  ならば、彼らはどうやって現れたのだろうか。


  「うんん…俺も不思議だと思ったが、ブリタニーの話によると、その通りだと思う。それを確認したがったら、マントの男の正体を知らなければならない」


  「しかし、我々の計画に支障がなければ、どうでもよいのでは?他人の命は我々には関係ないんだ」


  もちろん、あのマントの男が邪魔をすれば、殺してしまおう。


  「ユリシーズ様」


  突然、低い声と共に黒い人影が現れた。


  「アムか、何か情報はある?」


  フレアイヤ酒場でアリスに出会った後、すぐにアムに他の情報を調べるように伝えたが、こんなに早く知らせが来るとは思わなかった。


  「五天剣の二人が、もうすぐサンテラスに到着するそうです」


  また二人が来たか…ドラマのキャストはもうすぐ揃って、俺はその日が楽しみよ。


  「五天剣?なんだそれ?強いの?」


  横にいたレジーナが俺を掻き抱いて、耳元でささやいた。


  「お前が前に殺したやつより強い、なんたってバミア王国の主な戦力だから」


  レジーナの腰を抱き、しばらく考えた後、こう答えた。


  五天剣と國王、計六人の聖級がバミア王国の最強の力なんだから、弱いわけがないんだ。


  「そうなの?期待するわ、アバドン」


  彼女は眠たそうな目であくびをした。


  「アム、ご苦労、一旦に休んでくれ」


  「はい」


  対話の終わりとともに、黒い影は風に乗って、まるで誰もいなかったかのように散っていった。


ーーーーーーーーーー

バミア、サンテラス、城門


  「ペースを上げろ、もうすぐ着くぞ」


  赤い長髪の男が、後ろの部隊に向かって叫んだ。


  この男はディアラスといい、バミア王国では五天剣の一つ、「火の剣、狂暴の炎」の名でも知られている。


  この部隊はわずか百人ほどだが、その一人一人が百戦錬磨の精英であり、百人が一軍に集まれば無視できない勢を放り、そんな部隊は千人を超える軍隊ても対抗できるかもしれない。


  部隊はグランドキャニオンを通り、巨大な城門を目にしたディアラスは、嫌な予感が消えず、ますます強くなり、顔をしかめるほどで、頭では無数の可能性が浮んだ。


  彼の勘はいつも正確で、危険を察知し、何かを見落としているようで、それが心配の原因であった。


  今回、国王陛下は理由を述べずに天剣を全てサンテラスに呼び戻った。


  明らかに何か大変なことが起こっているようで、ウクラ王国はすでに撤退しており、ウクラ王国の原因ではないはずだ。


  もしかして、ウクラ王国との和平協定を破棄し戦争するか?何しろ北方最強の国であるバミア王国は、叩きやすいものではない。


  でも、その理由は何だ…


  「兄上、どうされましたか?」


  ディアラスの横にいた青い短髪の青年が尋ねた。


  短髪の青年はディアラスの弟、ディアデスで、ディアラスのがっしりとした外見に比べると柔らかで弱々しく見える。


  ディアデスも五天剣の一つ、「水の剣、優雅の海」である。彼の武器は細い剣で、戦いの中で舞姫のようにしなやかで、海のようにすべてを包み込むことから、その名「優雅の海」がついた。


  北部の小さな村に生まれた兄弟は、幼い頃から優れた才能を発揮し、十歳の時に先代の騎士団長に見出され、サンテラスに連れ戻された。


  それから数年後、何事もなく、その才能と努力により、兄弟は共にバミア王国の最高戦力ー五天剣となった。一人は火の魔法を、もう一人は水の魔法を得意とし、その相互補完の属性により戦闘力は次のレベルに達している。


  「この帰還は、危険があるそうな気がする」


  ディアラスは手綱を引きながら、不機嫌そうに言った。


  その不安はどこから来るのか、まだわからない。


  「どんな危険があるのでしょう、兄と僕が一緒なら、何も心配はいらないです」


  「僕たちは負けたとしても、「あの方々」がいますよ」


  ディアデスは微笑みながら軽く言った。


  「そうか、私は緊張しすぎているんだ」


  ディアラスは「あの方々」を聞いてから、緊張した表情も緩んでいった。


  城門が間近に迫っている。

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