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第三十九話【戦争】

  そして、荒野の反対側では、獣人が静かに斥候のキャンプに着いた。


  「我々はここまでしか潜入できない。前に進めば、発見されてしまう」


  「少なくともあと数百メートルぐらい」


  「でしたら、こちらからの奇襲に備えてください」


  ケントは手にした鋼鉄製のウォーハンマーを握りしめ、ゆっくりと体を弓なりにする。


  「待って」


  二メートル近い屈強な獣人が突進しようとしたところを、ローブを着た老魔術師が押さえつけた。


  フォヤスは持ち歩いていた骨の杖をそっと持ち上げた。次の瞬間には壊れてしまうのではないかと思うほどヒビだらけだった杖が、ようやく本来の役割を果たし始め、魔法のオーラの波紋が広がった。


  「シャドークローク」


  カマミールで魔法使いの地位が高かったのは、普通の生き物では考えられないほどの偉業を成し遂げ、戦略的な武器として使われていたからだ。


  ちょうど今のように。


  フォヤスの魔法の驚異的な効果により、その場にいた全ての獣人の体が消え始め、呼吸に合わせて徐々に空気と融合し、透明人間の状態になっていく。


  鎧が体にぶつかって鳴る音も、魔法によって完全に覆い隠されてしまった。


  「行け!早く終わらせよ」


  フォヤスは杖を前に向けた。


  周りの空気が流れ始め、風が耳をかすめて切り裂き、獣人の戦士たちが動き出した。


  彼らは静かに、一歩一歩人間の陣地に潜入していった。


  しかし、彼らの敵であるこの軍隊は、リーラン公爵が野望を達成するために使う最も重要な道具であり、斥候ももちろん、いつでも周囲を偵察することができる優れた存在である。


  体は隠しても、声は隠しても、空気の流れの違いや獣人独特の匂いは消すことができない。


  プロの斥候として、これらを頼りに、獣人が目標に到達する一歩手前で発見した。


  「敵襲!向こうに魔法使いがいる!」


  「行け」


  人間の警報が鳴った次の瞬間、ケントが叫んでそのまま飛び出し、鋼鉄製のウォーハンマーが最寄りの敵の胸部装甲を切り裂いた。


  「石火族のために!」


  「アバドン様のために!」


  一人の獣人の戦士が空中から現れ、獣のようなヒス声を上げた。


  それと同時に、澄み切った長大な空に突然暗雲が立ち込めた。


  「稲妻の嵐」


  魔法のオーラが天に昇り、風が吹き荒れ、山や森が口笛を吹いた瞬間、長く澄んだ空に突然嵐の雲が集まり、潮のような暗雲が立ち込め、鎖状の稲妻が絡み合った。


  この光景はまるで天災のようだ。


  これが魔法使いの能力である。正しい戦略さえあれば、大魔導師は軍団を破壊することさえできるのだ。


  「散開!早くしろ」


  司令官の叫び声とともに、すべての人が四方八方に散っていった。斥候は、敵と正面から対峙するのではなく、闇から忍び寄ることを得意としていた。


  しかし、魔力がうねり、ついに破壊のオーラを持ったフォーク状の雷が轟いた。


  それは現在フォヤスが使えできる最強の魔法であり、この一撃だけでフォヤスの体力がほとんどなくなってしまった。


  その威力は期待通りのものだった。


  最初に鎖状の雷が届いたとき、人間のキャンプは沸騰したフライパンのように爆発し、たちまち猛烈な雷の鎖に押しつぶされ、引き裂かれてしまったのだ。


  第一線に位置する人たちは、計り知れない損失を被った。


  少なくとも半数はその場で殺され、生き残った者も、電気が鎧に覆われた体を通り抜け、体中に痙攣を起こし、生肉が焼けるような臭いを放ちながら、無力化されていったのである。


  しかし、この恐ろしい「稲妻の嵐」は、隊長数名が魔力で構築したバリアでようやく防いだが、彼らも重傷を負った。


  この時点で、斥候たちは四方八方に散り散りになり、それぞれが赤い目をして、両手に武器を握って、背の高い猛々しい重装甲の獣人たちを見つめていた。


  逃げ場はなく、大魔法の攻撃を受けた後は、三十、四十人しか残っておらず、自分たちの二倍の数の獣人の戦士たちに立ち向かわなければならなかった。


  「バミア王国に臆病者はいない! この汚い獣人を俺と一緒に殺してくれ!」


  「殺せ!」


  隊長の一人が腕を振ってソードを前に向けた。


  「リーランの栄光のために!」


  人間のヒスノイズと獣人の咆哮が混ざり合い、魔法と剣と血が絡み合い、何世代にもわたって語り継がれる物語となった。

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