第七話 酒場
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第七話 酒場
「まさに嵐のような源獣だな!」
ギルドマスターが感心していた。
「ただの食いしん坊だと思いますけどね…」
「そういってやるなって大牙、オストだって相当腹減ってたんだろう。それより俺たちも腹減らないか?」
「そうだな、色々ありすぎて腹減ったわ。」
「だろ?ギルドの2階でなんか食べようぜ!」
「さすがに今日はもう遅いからな。レイン、食べた後大牙君を泊めてあげて、早朝町の外へ送ってやるといい。」
「あぁ、分かった。大牙、ランク上げはまた先だな!」
「状況が状況だしな、仕方がないだろ。」
「落ち着いたら、またランク上げしたらいいさ。」
「マークさん場所貸してもらってありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
レインは礼儀正しく挨拶していたので俺も挨拶した。
「マーク、邪魔したな。」
「いえ、こちらこそいいもの見させてもらいました。」
「では俺は部屋に戻るからな、レイン後は任せたぞ!」
「分かったよ。」
ギルドマスターは部屋に向かおうと階段を上がろうとした時、ふと思い出した。
「待て待てそういえば、頼んでた依頼はどうなったんだ?」
「あ、報告忘れてたな。あれな、失敗しちまった…アドルドが毒ガスくらって森の外に走り出したからな。」
「そうか、バカ息子のせいで…まぁ、無事で何よりだ。バカ息子の我儘に付き合ってもらってすまんかったな。次こそ部屋に戻ろうとしよう、ではな!大牙君また会おう。」
ギルドマスターは部屋に戻っていった。
「バカ息子って…」
「ああ、アドルドはギルマスの息子なんだよ。ギルマスからアドルドがどうしても蠢く森の奥に生えている七色の雫と言われている宝石のような実を取りにいくと言うから一緒に行ってくれと頼まれたんだ。」
「そうだったのか。何でそれを危険を冒してまで取り行こうと思ったんだろうな?」
「分からんが女に渡そうと思ったとか、あくまで予想だけどな。」
「なるほどな。」
「それより食いに行くか。」
「おう!」
レインと俺はギルドの2階に向かった。
ギルドの2階ではガヤガヤと騒がしい声がした。
その中へ躊躇なくレインは入っていったのでその後をついていった。
「何だ何だ?」
「おぅ、レインか!」
「レイン、どこいってたんだ!?」
「レインお疲れさん。」
「レイン、何とかしてくれよ!」
ガヤの中にいた1人が気付くと他の周りもレインに気付いた。
「何事だよ!?」
「お前が残していったアドルドがマックスと喧嘩してんだよ。」
「何でそんな事が起きてんだよ!」
レインはガヤの中へ入っていき、俺はその後をついていく。
喧嘩している目の前までくると、気絶していたアドルドがスキンヘッドの体がゴツい男と殴り合いをしていた。
「この野郎!」 ドゴッ
「お前何しやがる!」 バゴッ
「てめぇーが言うからだろっ!」 ボゴッ
「お前が迷惑かけるからだっ!」 ゴツッ
「おいおい、止めろって!」
レインが止めようと喧嘩の中に入っていく。
「おい、レイン邪魔をするなっ!」
「そうだぞ、レイン!アドルドには少しお灸を据えなければならん。そこで見とくんだ!」
「はぁ…、やってらんねーぜ。おい誰かギルマス呼んでこい!」
レインは呆れて、素早く解決する方法にでた。
「レイン、待て!早まるな。」
「アドルドどうした?早く続きをやればいいじゃねーか。マックスもやればいい。」
「レイン、俺はアドルドが止めるなら止めるさ。」
「だとよ、アドルドどうするんだ?喧嘩を止めるか、ギルマスを呼ぶか。」
「チッ、分かったよ。止めればいいんだろ、止めれば!」
ギルマスを呼ぶと言う言葉で喧嘩を止めてその場は収まった。
どれだけ皆、ギルマスが怖いのか…
見た感じ、そんな怖そうでもなかったんだけどな。
「ところで、そのお前の後ろにいる奴は誰だ?ここらで見た事ない新顔だが…」
ガヤだった1人が聞いて来た。
「ああ、こいつは大牙って言ってな、新人の冒険者だ。俺が怪我させたんでな、お詫びに飯を食わせに来たんだ。」
「そうだったのか、災難だったな。俺はエルドって言うんだ、よろしくな!」
「あぁ、よろしく!」
「それにしても、ここの飯は美味いからたくさん食ってけよ!レインの奢りだからな。」
「それをお前が言うんじゃねぇー!」
「おっとっと!じゃあ、俺は退散するかな。大牙君、またな!」
「まぁ、あいつの言った通りここのは美味いから沢山食えよな!とりあえず、あそこが空いてるから座るか。」
酒場のマスターの前のカウンター席が空いていたので座った。
「大牙、何でもいいか?」
何のメニューがあるか分からないから何でもいいか…
「ああ、何でもいいけど辛い系はやめてくれよ。」
「辛い系?何だそれ…」
えっ?
もしかして、この世界に辛い物がない…?
まさかな…
「なぁレイン、酸っぱい系とか甘い系はあるよな?」
「だから酸っぱい系とか甘い系ってどんな食いもんだよ!」
「じゃあ、苦い系やしょっぱい系もないってことか?」
「だからなんだよその食べ物は!マスター知ってるか?」
「いや、私も知りませんねー。何処かの国の食べ物ですかね…」
まじか…
この世界には基本味が無いってことかよ。
と言う事は、出てくる食べ物は全部似たような味って事だよな…
でも腹減ったし、我慢して食べるしか無いか…
たぶん、不味くは無いだろうし…
はぁ…
「とりあえず、何でもいいや。」
「いいんだな?」
「ああ…」
「マスター、いつもの2つ頼むわ!」
「畏まりました。」
5分後…
「お待たせ致しました。」
「おっ、きたきた。」
その料理が皿に乗せられて目の前に出てきた。
「大牙、これが俺の1番好きなパンスだ。」
これってただのパンでは!?
丸い手のひらサイズのパンが2つ乗っていた。
もしかして中に何か入っているのか?
クリーム?チョコ?それとも餡子とか…
見た目ではちょっと分からないな。
しかし、晩飯にパンって…別にいいけど…
「これパンスって言うのか?」
「ああ、美味いぞ!食べてみろよ。」
そう言われて何が入っているのか気になり、パンスを口に頬張った。
中は生地がもちっとしているだけで味気もなく、何も入っていなかった…
不味くは無いけど美味くもない。
ただもちっとした食感がいいだけのパンだった。
「どうだ?美味いだろ?」
「ああ…美味いよ…」
レインにはよくしてもらってるから美味くないとは言えなかった。
これはこの世界の食べ物を改めて考え直さないといけないかもしれない。
面倒だけど、自分で作るしかないな…
「パンスも美味いけど酒も美味いんだ。大牙も飲めよ!」
そう言ってレインは酒を2つ頼んだ。
マスターはすぐ酒を出してきた。
「これこれ!大牙はこの酒知ってるか?」
「何だこれは!?」
「これはダリンって酒なんだけどな。これがパンスと合うんだ。」
ダリンはオレンジ色をしていてワイングラスのような物に注がれていた。
飲んでみると、舌が痺れて甘かった。
甘いのあるじゃん!!
「マスター!!」
「はい、なんでしょうか?」
呼ばれたマスターは振り向き、隣にいたレインはその大きい声に驚いた。
「急にどうしたんだ?」
「このダリンの材料が気になってマスターに聞こうと思って…」
「どうした?そんなに美味かったのか?」
「まぁな…で、マスター知ってますか?」
「知ってますよ。いつもダリンを作る為に買いに行ってますからねぇ。」
マスターが知っていてホッとした。
これでもしかすると、甘味の食べ物が作れるかもしれない。
レインと俺は食べ終わり、俺はマスターにダリンの材料と買える場所を教えてもらい酒場を後にした。
「食いもんも食ったし、俺ん家に行くか!」
「そこまでしてもらって本当にいいのか?」
「今更何言ってんだよ、それにギルマスにも言われたしな!」
「ありがとう!」
「気にすんなって!」
ギルドを出て、レインの家に向かった。
ギルドを出て、5分レインの家に着いた。
「ここが俺ん家だ!どうだなかなかの家だろう。」
レインの家は日本で言う一軒家より少し大きな2階建の庭付きの家だった。
「なかなか大きいな!」
「だろ?自慢の家だ!じゃあ、中に入るか。」
「今帰ったぞ!」
レインが叫んだ方向から20代後半だろうか、凄い美しい女性が出てきた。
「おかえりなさい。あら、そちらの方は?」
「大牙だ。俺の怪我させてな、一晩泊めてやろうと思ってな。それにギルマスにも言われたしな。」
「そうなの?お父さんがそんな事をね…うちの旦那が怪我させちゃってごめんなさいね。」
「いえいえ、こちらこそ泊まらせて頂いてすいません。」
正確にはレインではなくて、アドルドなんだけどな…
「冒険者の方なのに礼儀が出来ていて凄いわ。貴方も見習ったら?」
「今更無理だろ!それに俺は俺なんだからいいだろ?」
「それでは、こちらの部屋で寝てくださいね。」
奥さんに寝床を案内された。
「それじゃあ、大牙また明日な!」
レインと奥さんは何処かは行ってしまった。
あれ?風呂は?
この世界って風呂の習慣がないのか?
明日きいてみるか…
寝ようと転がってみると、寝床には薄い布が引かれているだけで他には何もなかった。
今日は色々あり過ぎてすぐ寝てしまった。
…