第五話 冒険者ギルド
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第五話 冒険者ギルド
「そうだ、町に入れる様になった事だし、大牙も俺と同じここの町を拠点にしたらいいんじゃないか?俺も色々教えてやるから、なっ?」
「まぁ、考えてとくよ。」
「いい町だからよく考えてくれ。」
そう言われてもなぁ、無理だろうな…
これからもっと源獣を増やす予定だし、レインには悪いけど外で自由に生きたい。
何処かに縛られて生きるのは俺の性分に合わないからだ。
門を抜けると、左右に色んな色の煉瓦造りの店がズラーっと並び下は石畳で出来ていて色んな種族が歩いたり、話したりと賑わっていた。
おぉーー!
ゲームの中で見るのと自分の目で見るのとではどこか違っていた。
「レイン、これから行く所はさっき言ってた冒険者ギルドか?」
「そうだな、アドルドを置くついでに依頼失敗も報告しとかないとな。」
レインに付いて街中を歩いて冒険者ギルドへ向かった。
ずっと歩いていくと、噴水が真ん中にある広場へと出てきた。
ここが町の中心の場所っぽいな…
そこはゲームの中で中央広場だった場所と同じ風景が広がっていた。
という事は、南に15練先の建物だったよな。
周りの建物を見る限りゲームの世界と全く同じだったので冒険者ギルドがどっちにあるかすぐ分かった。
こっちが南だからこの先にあるんだよな。
だとしたら、俺たちが来た方向は東って事か。
視界に映る空は段々と夕暮れになってきていた。
「もうこんな時間か早く行かないとな。大牙、こっちだ。」
予想通り、レインは俺の思った方向に向かった。
少し歩くと、ゲームと同じで3階建の立派な木造建築が建っていた。
「着いたぞ、ここが冒険者ギルドだ。」
「あぁ…」
ここまで全てゲームと同じとはな…
運営はこの世界に異世界の人間を呼び寄せて何が目的で何がしたいんだろうか。
「どうした?そんな難しい顔して…」
「いや…何でもない。」
「大丈夫か?…悩み事なら聞くぞ?」
「あぁ、大丈夫だ。」
「ならいいんだが、困った事があればいつでも話なら聞くからな。」
「あぁ、ありがとな。」
「それじゃあ、中入るぞ。」
レインが先に入り、その後を付いて俺も入った。
どうせ中の作りもゲームと同じでカウンターが3つあって吹き抜けの部屋になっているに違いない。
ここまで全て同じで部屋の中は違うって事はないだろう。
中に入ると、想像通りの部屋だった。
しかし、カウンターが3つあるが1番左しか受付嬢がいなかった。
時間が時間なのか、受付をする冒険者の姿は無く2階から賑やかな声が下まで聞こえてきた。
「あいつら、また酒でも飲んでるのか。」
酒?
ゲームの中では美味い匂いがしていたので食事処かと思っていたが酒場みたいな感じなのか?
それとも昼は食う所で夕方から酒場と分けているのだろうか。
「2階が騒がしいけど酒場でもあるのか?」
「うるさくてすまんな。2階は酒場があるんだが飯も食えるから食堂兼用って感じだな。」
「そうなのか。」
「安いから大牙も利用してみるといい。」
「あぁ、いつか使わせてもらうよ」
そういえば、この世界のお金ってどうなっているんだろうか。
後で聞いてみるか。
「ちょっとアドルドを酒場に置いてくるから待っててくれ。」
そう言うと、レインは2階にアドルドをおぶって上がっていった。
これからどうしようか…
この世界のお金なんか持ってないから野宿するしかないし、それにお金に変えれるものなんて持っていない。
とりあえず、レインを待っている間これから必要になってくるものを整理するか。
まず、レインの言っていた拠点だな。安心して寝れる所は大事だろ。それに、飯と飲みものだなこれは1番大事だ。
後は、服か…
これは買うか作るしかないけど、作るのは俺には無理だな。
買うのもやっぱりお金がいるしなぁ…
「待たせたな。さて、ギルマスの所にいくか。」
「あれ?受付で報告はしないのか?」
「いや、俺らの依頼はギルマスから直に来たやつだからギルマスに報告に行くんだ。後、大牙の事も言っといた方がいいだろ。保護してくれるかもしれないからな。」
「そうか、悪いな。で、そのギルマスってどんな人なんだ?」
「そうだなぁ、元冒険者でrank8までいって限界を感じて引退したって言ってたな。rank8までいく時点で十分強いんだけどな。」
「へぇー。」
「引退してもこの町で1番強いと思うぞ。だから怒らせない様にな。」
まじか…
怒らせたらどうなるんだ!?
「…」
「そんな怖がんなよ!冗談だって。ギルマスは良い人だから心配すんな。」
じっとレインを睨んだ。
「おいおい、そんな睨むなよ!悪かったって。」
なんだかんだ言っても、レインは初めてここに来る俺を和ませてくれてるんだろう。
そして、階段を上がって3階にあるギルドマスターの部屋の前までやってきた。
「ここだ!」
扉の斜め前には本人の銅像だろうか。
1分の1のスケールなのかは分からないけど全体像が置いてあった。
「この像って本人か?」
「そうなんだよ、ヤバいだろ?」
「すごいな…」
「町の鍛冶屋に頼んだらしいけどこの像は本人と似てないから想像しても意味ないからな。」
似てないのかよっ!とツッコミを入れたくなる。
でも鍛冶屋か…
どんな感じなんだろうか、剣とか作ってるんだろうか。
自分の理想の剣を作るのもありだなと思った。
「因みに、さっきのカースの旦那はギルマスの弟だから旦那の顔を想像した方が似てると思うぞ。」
「だからか!さっき兄貴によろしくっていってたのは。」
「そう言う事!じゃあ、入るか。」
「あぁ」
「ギルマス、いるか?」
「ぇ…」
ギルドマスターって偉いよな?
ノックしないのか…
レインはノックもせずにそのまま部屋に入っていった。
部屋は真正面に机と窓ガラスがあり、両側には書類であろう紙が棚にぎっしり詰まっていた。
そして、そこの机に座って書類整理か何かをしていたのは茶髪でガタイが良いムチムチのマジで部屋の外にあった像とはかけ離れていた筋肉男がいた。
「誰だ!…レインか、いつも言ってるだろ。ノックをしてから入れって!」
「悪いな!」
「ん?お前の後ろにいるその子は誰だ?」
「あ、こいつか。大牙って言うんだけど、どうやら異世界から来たらしくてな、迷惑掛けたからとりあえず連れてきた。」
こんにちはって言った方がいいのか?
いや、時間的にこんばんわか…
そんな事を考えていると、ギルマスが机を叩き突然立ち上がった。
「異世界人だと!?」
「そう言ったけど、何かあるのか?」
ギルドマスターは驚いた様子で頭を抱え出した。
「それは困った事になったな…今、世間で騒がしている異世界人達が国庫から財宝を盗んで逃げてるんだが、指名手配になって兵士が探してるらしいんだが何故か全ての異世界人を王都に連れてこいと御触れが各町に出されたんだ。」
「なんで、全員なんだ?大牙は関係ないよな?」
「それは分からんが隔離でもするのかもな…陛下にとって異世界人は害と認識したのかもしれん。」
「嘘だろ!?」
マジか…
嫌なタイミングで来てしまった。
これは逃げた方がいいのか…
でも、せっかくレインと仲良くなったしこのまま何も言わずに逃げるのは気が引けるしどうすれば…
「しかし、陛下がそんな事をする様には思えないんだがな。」
「確かギルマスは王様に会った事があるんだよな。」
「昔にな、その時の陛下は強くて優しい賢王で素晴らしいお方だった。そんな陛下がここ十数年会ってない間に変わるとも思えないし王都、もしくは王宮で何かあったのかもしれん。」
「でも、もし仮にだけど王都で何かあって王様が手に負えない状況で政権を乗っ取られてしまったら今の状況は考えられるよな?」
「レイン、その可能性は高いかもしれん。だが、御触れが出された以上大牙君がこの町の中にいるのは非常にまずい。後、数日あるいは明日にでも兵士が各町に配置されるらしいからな。」
「それだけ本格的に捕まえるって事か…大牙!」
「へっ、なんだ?」
2人の会話の聞き役に徹していたので変な声が出てしまった。
「ちゃんと話を聞いてたか?」
「ちゃんと聞いていたに決まってんだろ!」
「状況が状況だけに町にいるのはまずいからな。今は外で生活する方がいいと思うが当てはあるのか?」
「あるにはあるけど。まぁ、なくてもオストがいるしな大丈夫だろ!」
「確かにな、オストがいれば大抵の事は何とかなるか。金に困ったら、源獣の素材があればギルドで買い取るしな。なぁ、ギルマス?」
「あ、あぁ。さっきから聞いてたがオストって誰なんだ?」
「ほら、そこにいるだろ!」
レインは俺が持ってる魔源具を指差した。
…
ギルドマスターの言い方を少し変えました。
ギルドマスターの容姿を加えました。