第三話 初めての仲間 2
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第三話 初めての仲間 2
(貴方は誰?)
何だ!?
脳に語りかけてくるこの声は…
「…」
「大牙、どうした?」
「いや、誰かの声がする…」
「大丈夫か?」
「大丈夫なんだがレイン、少し静かにしてもらってもいいか?」
「あぁ、すまない。」
俺は、オストに話しかけてみる。
「もしかして、今の声オストか?」
(オスト…?それが私の名前?)
「そうだ。」
「で、貴方は誰…?」
「俺はお前の生みの親って所だな!」
(親?)
「あぁ、俺は男だから父さんか…」
彼女もいないのに父さんってなんか自分で言ってて辛くなるな…
(父さん…なんかいい響き…)
「それでオスト、この人を背中に乗せて町まで連れて行って欲しいんだけど。」
(いいよ、父さん。)
「オストありがとな!レイン、オストがいいってさっ!」
「そうか、悪いな。こっちが巻き込んだのに…でも父さんって大牙にそういう趣味があるとはな…。」
「それは違うって!!」
「何が違うんだ?」
レインはニヤニヤしながら俺をからかっている。
「流れ的にそうなっただけでマジで違うんだって。」
「本当〜か?」
「もういいわ!」
「悪い悪い。」
「もう知らんっ!」
「悪かったって!」
「別に気にしてないからいいけどな、それよりどうやってそいつを乗せる?」
この重そうな装備と斧こいつも戦士っぽいよな…
オストが乗せて運べるか心配だ。
それにオストの背中まで高さが1mはあるからどう乗せようか…
あっ!
「レイン!」
「何だ?」
「身体能力向上って力も上がるのか?」
「力いわゆる筋力だな。それどころか持久力に柔軟性、敏捷性が倍以上に跳ね上がるんだ。それがどうかしたか?」
「へぇー、それだったらその能力を使ってそいつをオストの上に乗せられないか?」
「あぁ、それか。それは無理なんだ。」
「えっ?」
「能力ってのは一回使うと、次使うのにクールタイムがある。その能力によって違うけどな。身体能力向上は使うともうその日は使えないんだ。」
「そうなのか…」
「悪いな。」
「いや、レインのせいじゃないから。という事は源獣生成も今日は使えない可能性があるって事か!」
「そうかもな。だけど源獣生成って根本的に身体能力向上とは違うだろ?」
「あぁ。」
「身体能力向上は対象に向かって『バフ・デバフ』効果がある状態異常能力で一般的な能力なんだ。それと違って源獣生成は多分この世界で大牙だけが持つ固有能力でその分クールタイムも長いはずだと思うんだけど。」
「そうなのか…」
そんな話をしていると、オストが首を下ろしてアドルドを嘴で摘んだ。
おいおい、オストどうするんだ!?
すると、オストは背中に向かって振りかぶり放り投げた。
アドルドは、宙に舞いそのまま背中に落下した。
落下した瞬間、その衝撃でアドルドの身体はグニャッと曲がり口から変な声を発した。
「あれって大丈夫だと思うか?」
レインが不安そうに聞いてきた。
「どうだろうな…」
俺も大丈夫かと不安だったけどそう返す言葉しか出なかった。
「まぁ、乗せる方法が他になかったと思って町へ行くか。」
それでいいのか…
レインがいいなら賛同しとくか。
「そうだな…」
俺たちは町に向かって出発した。
オストも俺たちの後をついてくる。
「向かってる町はここからどのくらい距離があるんだ?」
「向こうに見える山があるのが分かるか?」
レインが言っている山はレイン達がやって来た方向と真逆にある山の事だ。
「あの山だよな!」
「そうだ。あの山を越えた先にフレズンの町がある。」
フレズン…!?
何だよ、その似た名前は…
ゲームで設定した町のフレンズかと思ったけど違う町だよな。
「しかし、結構距離があるな。」
「問題は距離じゃない、山を越えられないから大回りしないといけないんだ。」
「え?何でだ?」
「あの山には三面大熊が住んでいるからな。」
「三面大熊?」
「あぁ、三面大熊は顔が3つある大きな熊でな、草原から山に入って来る源獣を殺して喰うやばい奴なんだ。俺らも山に入ったら喰われる対象だから絶対通らないんだ。」
「殺さないのか?山を通った方が近いと思うけどな?」
「はぁぁ、分かってないな大牙。山の向こうに町があるって言ったろ?三面大熊を殺したら草原から来る源獣が町を襲ってくるんだ。そうしたらめんどいだろ?」
「そう言われると確かにな!」
「だから、通れないんじゃなくて通らないんだ。まぁ、強いから戦う事自体めんどいからな!」
強いのか…
俺なんかすぐやられるだろうな。
うん、近道より安全第一だよな。
でもやっぱりオストとどっちか強いのかってのが気になるよな…
レインに聞いてみた。
「そいつはオストより強いのか?」
「多分、弱いだろ?オストは幻獣級で三面大熊は鬼獣級だからな。」
「思ったんだが、その幻獣級とか鬼獣級って何なんだ?」
「あぁ、それか。源獣にはクラスがあるんだよ。というか討伐依頼受ける時に聞いてないのか?」
「依頼を受けた事がないからな…」
「討伐依頼はrank2からだったな、悪い…まぁ、これから上げて行けばいいさ!オストがいればすぐだろ?」
「そうか。で、クラスって何があるんだ?」
「そうだな、一番低いクラスから草獣級、害獣級、鬼獣級、王獣級、災獣級、幻獣級、仙獣級、古獣級、神獣級と上がって強さもクラスに比例して強くなるんだ。まぁ、その上もあるらしいけどな…分かってるのはこれくらいだな。」
「結構、多いんだな。」
「そうなんだよな、でも災獣級からは個体が少ないから滅多に会わないけどな!」
「だったら、オストは珍しいのか?」
「そうだな。滅多に見れないから町に入ったら逆の意味で注目されるのは間違いないな。」
ちょっと、注目されるのは嫌だよな…
逆の意味って言ったらやっぱり恐れられる方か、消極的な俺には耐えられないかもしれない。
これはどうにかしないと…
すると、オストがゆっくり歩く俺たちのペースに苛立ってきたのか足音が大きくなっていく。
(父さん遅いよ!)
オストは俺とレインの間に首を突っ込んできた。
「だったら俺とレインも乗せて町に行けるか?」
「流石に重いだろ?」
冗談で言ってみた。
「おわっと!」
「うぉ!」
オストは本気にして俺とレインの服を嘴で摘んで背中に乗せると、凄い速さで走り出した。
「ちょ、ちょっとオスト〜速すぎるって!」
髪が後ろに乱れるぐらいに速く、瞬きすれば一瞬で景色が少し変わっていた。
(父さん、これぐらい速くないと楽しくないよ〜!)
オストはこの速さを楽しんでる様だ。
しかし、俺はただただ耐えるしかなかった。
レインはと言うと、目を瞑っているがたまに瞼がめくれて白目が見えていた。
草原を走り、山の周りをぐるっと回ってる途中に兎の様な源獣や牛の様な源獣がいたけど一瞬でオストが蹴り上げて飛んでいった。
この速さだともう全てが一瞬の出来事だ。
そんな速さなのに俺はふと思った。
一瞬の出来事が見えて、この速度でも身体が耐えれている。
それに対して、後ろにいるレインは身体が横になって俺の身体を風避けにしているぐらいしんどそうなのにだ!
一体、俺の身体はどうしたというのだろうか。
疑問に思った。
まぁ、疑問に思ってみても誰も答えてくれるはずもなく疑問だけが残る。
そんな事を考えていたら町が見えてきた様だ。
(父さん、あそこかな?)
「あぁ、多分な!オスト少し速度を落とせるか?」
(いいよー。)
オストの速度が段々と下がっていき、歩く速度まで落ちていくった。
「レイン、大丈夫か?」
レインを揺さぶってみる。
「おえぇー、やめてくれ。」
「ハハッ、ほんとに大丈夫かよ!」
「…何で大牙はあのスピードで平気なんだよ。」
「何でだろうな、自分でも分からないわ!」
そして、町の前までやってきた。
町は3mの外壁で囲まれていて、中が見えないようになっていた。
さて、門はどこにあるんだ?
右を見ても左を見ても外壁しか見えない。
うーん…
「オスト、とりあえず右周りに壁沿いを探してみようか。」
(うん、分かったー!)
オストは電車ぐらいの速度で元気よく走り出した。
すると、すぐに門番らしき人が2人見えた。
…






