第二話 初めての仲間
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第二話 初めての仲間
「ほんとか?じゃあ、能力の使い方を教えてくれ。」
「それよりその血は大丈夫か?」
「こんなの唾を付けとけば治るだろ。」
「それならいいが、というか君は能力の使い方も知らないのか!?」
「あぁ、悪いか?」
「いや、悪くないんだが…よくここまで来れたなと思ってな。」
うーん、ここって結構ヤバい所なのか?
気付いたらここにいたからな…
「なんかいつの間にかここにいた…みたいな?」
「何だよそれは。」
「まぁ、何でもいいだろ?能力の使い方教えてくれよー!」
俺は男の肩を掴んで前後に揺らす。
「わ、分かったからそんなに肩を揺らすなよ。」
「おぅ、悪い悪い。」
男の肩から手を離した。
「能力ってのはな、頭の中でその能力を思い浮かべたら発動するんだよ。」
「えっ、それだけ?」
「それだけって言っても実際やってみると案外出来なかったり、出来ても中途半端になって能力が発揮しなかったなんて事もあるんだ。勿論、その能力を持っていないと発動しないけど。まぁ、やってみれば分かるさっ!」
「そうなのか?まぁ、やってみるよ。」
「そういえば、名前を言ってなかったな。俺はレインって言うんだ。見た通り、重戦士をしている。」
そう言いながら、冒険者カードを見せてきた。
そして、そのカードは橙色に光っていた。
そういえばrankが1から10まであるって事はゲームの中にいた時に聞いたけど、色までは説明無かったから橙色がどれかが分から凄いのか分からないな。
…聞いてみるか。
「橙ってrankいくつなんだ?」
「あぁ、rank5だ。ここまで来れるんだから君は4か3か?」
向こうが名乗ってるんだからこっちも言った方がいいか…
でも、この世界がゲームと一緒なら貴族がいたはずだからこういう時って上の名前があったら貴族と勘違いされる可能性がある…下の名前だけの方がいいよな。
「俺は大牙だ。職業は源獣使いをしているって言っても使役している源獣はまだいないがな。rankはこれだ。」
俺は冒険者カードをポーチの画面から取り出して、前に出した。
レインの様子からどうやらゲーム画面は見えていない様だ。
すると、レインは驚いた様子で口を開いた。
「白…という事はrank1か」
「おぅ!」
レインを見ていると、額に手を当てて考え事をしていたかと思えば急に閃いた様子で手を叩いた。
「大牙は何処かで武芸とかならっていたとか!?」
「いや、全然。」
「そうか…本当にここまでどうやって来たんだか…」
「そんな事より他にも色々おしえてくれよ!」
「あぁ、分かったよ。これも何かの縁だ。大牙、よろしくな!しかし、職業が源獣使い?って言ったよな。聞いた事がないな…それって源獣を使って戦うんだよな?」
「そうだと思うんだが…」
「そうだと思うって、自分の職業がどうやって戦うのかも分からないのか!?」
「仕方ないだろ?いつの間にかここにいたんだから!!」
俺は逆ギレした。
「さっきもそれを言っていたが…もしかして大牙、お前異世界人か?」
「え…」
この世界に他にも異世界人がいるのか!?
でも、居ないと異世界人って言葉を普通は出てこないよな…
「異世界人だったらどうかしたのか?」
「あぁ、最近やたらと異世界人がこの世界に来て色んな噂になってるからな。」
「へぇー、そうなのか。あ、因みに俺、異世界人じゃないと思う。」
俺はあさっての方向に向き、口を尖らせながら喋った。
「大牙、嘘が下手なんだな。」
「えっ、なんでバレた!」
「いや、バレバレだろ!思うって何だよ…逆になんで隠し通せると思ったんだよ。」
「いや、異世界人だったら何かとこの世界で不便かと思って…」
「まぁ、確かにな。この前とある異世界人がある村を潰したとかって聞いた事はあるけど噂って一人歩きするもんだろ?」
「確かにな。」
「それに本当かどうか怪しいもんだ!大牙が異世界人でもそいつによって性格も違えば顔も身体も違うそいつ次第だろ!」
レインの言う通りだ。
人によって性別も違えば身長、体重も違うしな。
全く同じって奴はこの世には1人もいない。
そして、大体の奴は噂を鵜呑みにして差別する。
異世界人だからって差別しないレインはこの世界でもしかしたら貴重な存在なのかもしれない。
これから先レインとは仲良くしといた方がいいかもな。
「そういえば何の能力を使いたかったんだ?教えて欲しかったって事は何らかの能力を使いたかったんだろ?」
「まぁな。」
「人に言わないから教えてくれよ。」
レインなら言っても問題ないか…
「源獣生成って能力だな。」
「聞いた事ないな。それってどんな能力なんだ?」
「俺もよく分からないんだけど、源獣が生まれてくると思うんだ。」
「曖昧だな…あっそうだ、使い方教えたんだから練習がてらここでその能力使ってみたらいいんじゃないか?」
「それな!やってみるか。」
頭の中で源獣生成を思い浮かべる。
ん…
何も起こらなかった。
「あれ?」
「どうした?」
「思い浮かべてみたんだけど何も起きないな…」
すぐ出来るだろうと思っていたのが間違いだった。
これは意外と難しいな…
「能力の何を思い浮かべたんだ?」
「とりあえず、文字を考えてたんだけど。」
「やっぱりか…」
「なんか違うのか?」
「あぁ、違うな。文字よりその能力がどんな能力かを自分なりに想像して思い浮かべると発動しやすかったりするんだ。」
「そうなのか…次はそれで試してみるか。」
次は頭の中でとりあえず魔法陣からダチョウが出てくる所を想像してみる。
何故、ダチョウかと言うと俺の中でダチョウの卵が心残りで卵は今どうなっているのか大丈夫なのか心配でしょうがない。
そんな事を思いながら源獣生成を試みた。
すると、俺とレインの前に直径1メートル範囲の大きな魔法陣が現れた。
ゴクリッ
唾を飲み込む音だけが鳴り、その場に緊張が走る。
ゴゴゴゴッゴゴゴゴッ
2mより少し大きな影が現れる。
そして、段々と身体が見えてくる。
「嵐駆鳥…」
レインが口ずさむ。
「何だよその長ったらしい名前は?」
「大牙、お前凄い奴を生み出したな…」
レインは驚き過ぎて、話を聞いていない。
「とりあえず強いのか?」
「強いなんてもんじゃない。嵐を呼び、風を操り、凄い速さで移動する幻獣級の源獣なんだ。しかし、なんか違和感があるんだよな…」
そんな事言われてもピンと来ない。しかも、幻獣級がどのくらい強いのか分からないがレインがここまで驚いてるって事はとりあえず強いんだろう。
見た感じ、ダチョウが少し大きくなって羽毛が長く垂れ下がっていて、足も筋肉が発達していてゴツかった。
そして魔法陣が消えても、嵐駆鳥は大人しく立ってジッとしている。
「うぅ…」
すると、斧を持っていた男が目を覚ました。
「アドルドっ、大丈夫か?」
「あぁ、すまないレイン。俺は一体…」
この男アドルドと言うのか。
アドルドは思いっきり頭を打っていて、大きいたんこぶが出来ていた。
「ゔぇっ!?」
たんこぶをさすりながら立つと目の前にいた嵐駆鳥を見て驚き、また倒れてしまった。
「おい、アドルドっ!」
「大丈夫か?」
「嵐駆鳥を見て気絶したらしい。まぁ、無理もない、こんなの目の前にいたらほとんどの奴は死んだも同然だからな。」
「そうか?」
俺には少し大きいダチョウにしか見えないけど…
レイン達には恐ろしい化け物にでも見えるのだろう。
「大牙、すまないがアドルドを嵐駆鳥の上に乗せてもらえないか?俺たちの拠点にしている町があるからそこへ連れて行って欲しいんだ。礼はするからさっ!」
「それはいいけど俺もこれからどうしようか迷ってたし、ただ嵐駆鳥がいいかは分からないけどな。」
「聞いてみてくれよ。」
俺は嵐駆鳥に近づく。
しかし、近づけば近づく程凄い迫力だ。
なんか圧を感じる。
あれだ、顔のでかいおじさんが目の前にいるような…
あれっ、少し違うか。
しかし、毎回嵐駆鳥って言うのめんどいなぁ。
名前が長くて言いにくいんだよな。
なんか言いやすい名前はないか考えてみた。
ストーム、ストッチ、スッチー、これといった名前が出てこない。
なんか違うんだよなぁ。
うーん、…スト…オス…オスト、オスト!
これだ!
「オスト、この人間を背中に乗せてもいいか?」嵐駆鳥()
「そのオストってなんだ?」
「この子の名前だよ!嵐駆鳥って長いだろ?」
「まぁ、そうだな。」
「あだ名を付けたんだよ。オスト、いい名前だろ?」
「確かにしっくりくるけどな。」
急に頭の中に声が聞こえてきた。
…
ストームオストリッチ→嵐駆鳥に変更致しました。