表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/4

4. 立ち上がれグリーン! ゴニンジャーの固い絆!

 グリーンが姿(すがた)を消したまま、数日が()ぎました。もちろんレッドたち四人は必死に(さが)しましたが、グリーンは忍者(にんじゃ)(わざ)(かく)れているらしく発見できません。


 そんな様子を見て、そろそろだと(あらわ)れた者がいます。そう、ゲファーの幹部(かんぶ)フェイフォンと(かれ)が作った宇宙(うちゅう)怪人(かいじん)スターゲファーです。


(わたし)の作戦、気に入ってくれたかネ? お前たちを仲間()れさせるため、このスターゲファーが放ったスターバエで情報(じょうほう)操作(そうさ)したアル」


「ゲファファ~!」


 得意(とくい)げに話すフェイフォンの横には、怪人(かいじん)スターゲファーがいます。そしてスターゲファーが奇声(きせい)を上げると、黒い雲のようなものが広がっていきます。


 黒いものは小さな虫の集まり、スターバエという名前のハエのような生きものでした。もちろん自然の生物ではなく、フェイフォンが作った人工生命体です。


「それで人々を(あやつ)り、記事に仕立てたわけね」


「だから新聞社やテレビ局にハエが多かったのですな~」


「元ネタを提供(ていきょう)した人の家にもいたぞ」


「心をもてあそぶなど極悪(ごくあく)非道(ひどう)(きわ)み、決して(ゆる)すわけにいかぬ!」


 ゴニンジャーの面々も、おおよそのことに気づいていました。(かれ)らはグリーンを(さが)しつつ、騒動(そうどう)解決(かいけつ)にも動いていたのです。

 マスコミや写真を送った人たちのところには、なぜか小さなハエがいました。そしてハエがいると、人々は『これは見栄えがするぞ』などと言ってゴニンジャーの写真に手を()ばすのです。


 スターバエは心を(あやつ)る力を持っています。そしてスターゲファーの指示(しじ)する方向に、スターバエが人々を誘導(ゆうどう)していきます。

 たとえば新しい流行を作り出し、フェイフォンの会社の商品を買わせる。あるいは商売(がたき)の悪い(うわさ)を流して邪魔(じゃま)をする。人々の心をうまく使うのが、フェイフォンや(かれ)の作る怪人(かいじん)得意(とくい)(わざ)なのです。


「分かったからといって、どうにもならないアル。今は四人だけ、お前たちに勝ち目は無いネ!」


「ゲファファファ~!!」


 フェイフォンが自信満々に言い放つと、スターゲファーも勝ち(ほこ)るように笑い声を(ひび)かせます。

 ゴニンジャーの必殺(ひっさつ)(わざ)、ゴニンジャーボンバーは全員の力を合わせているから強いのです。グリーンがいない今は、普段(ふだん)の半分以下の威力(いりょく)しかありません。


「ここは拙者(せっしゃ)が……。ゴニンジャーボンバー、セット! ピンク!」


「イエロー!」


「ブルー!」


「レッド!」


 いつもと(ちが)い、レッドがゴニンジャーボンバーをセットしてピンクへとパスしました。そしてピンクはイエローに、イエローはブルーに、ブルーは(ふたた)びレッドにとパスを回していきます。

 しかしエネルギーが足りないので、ゴニンジャーボンバーは白く(かがや)きません。


「ゴニンジャーボンバー、シュート!!」


「ゲファ~!!」


 レッドが()ったゴニンジャーボンバーは、スターゲファーに(はじ)かれてしまいました。

 しかもスターゲファーは随分(ずいぶん)余裕(よゆう)だったようで、まったく()いていないというように(むね)()っています。


「だから勝ち目は無いと……」


「まだだよ! ゴニンジャーボンバー、シュート!!」


 フェイフォンの声を(さえぎ)ったのは、少年の声でした。そうです、グリーンが(あらわ)れたのです!

 ()ね返ったゴニンジャーボンバーをグリーンが()ると、(まぶ)しいくらい真っ白に(かがや)きました。もちろん(ねら)った先はスターゲファー、まるで流星のような光が宇宙(うちゅう)怪人(かいじん)の頭に()()さります。


「ゲゲゲファ~!!」


 ゴニンジャーボンバーが命中すると、スターゲファーは大爆発しました。

 全員の力が()められたゴニンジャーボンバーは、まさに無敵(むてき)です。スターゲファーは粉々(こなごな)になり、欠片(かけら)の一つすら見当たりません。


「お、覚えているアル!」


 フェイフォンも勝てないと(さと)ったようです。(かれ)(あわ)てた様子で消え、ゲファーの秘密(ひみつ)基地(きち)(もど)りました。



  ◆ ◆



「ゴメンなさい! ボクのせいで、みんなが危険(きけん)な目に……」


 グリーンは仲間のところに()()ると、(いきお)いよく頭を下げました。そして(かれ)は、これまでのことを明かしていきます。


基地(きち)から()げた後、反省したんだ。いくらニュースで変なことを言われたからって、みんなのせいにするのは間違(まちが)いだって……。でも、どうやって(あやま)ろうかと思っているうちに、なんだか帰りにくくなって……」


 グリーンは四人の近くにいたのですが、仲間が自分を(さが)し回っていると知って(ぎゃく)(もど)りづらくなってしまいました。

 その日のうちに帰れば良かった。そう語るグリーンは、(なみだ)をポロポロと流しています。


(あやま)るのは拙者(せっしゃ)たちのほうだ。お前が年下だからと、必要以上に子ども(あつか)いしてしまった。今後は(あらた)めるから、また一緒(いっしょ)に戦ってくれ」


後輩(こうはい)イジりと軽く考えていたが、お前からすればイジメだったな。決して悪気は……いや、言い(わけ)はやめよう。すまん、この通りだ!」


「まったく申し(わけ)ない……子どもだったのは自分たちのほうですな……」


「弟みたいだからって、遠慮(えんりょ)しなさすぎだったわ。(わたし)だって最年少のときは、もっと大人(あつか)いしてほしいと思っていたのに……」


 四人は(そろ)って頭を下げ、心から反省していると伝えました。

 親しき仲にも礼儀(れいぎ)あり。家族みたいな関係でも、気をつけるべきことはあります。特に年齢(ねんれい)性別(せいべつ)のように自分で変えられないものを話題にするときは、よく考えなくてはなりません。

 それにピンクが言ったように、四人も小さいときは(くや)しい思いをいっぱいしてきました。だからグリーンの気持ちも、注意すれば気づけたはずです。


「ううん。ギリギリまで帰れないなんて、やっぱりボクは子どもだよ。本当にゴメンなさい!」


「いや、拙者(せっしゃ)たちこそ……」


 (あやま)り合いは、しばらく続きました。でも次第に微笑(ほほえ)みが()かび、最後は握手(あくしゅ)と笑顔で一件(いっけん)落着(らくちゃく)となりました。

 そして五人に(もど)ったゴニンジャーは、(かた)(なら)べて秘密(ひみつ)基地(きち)へと帰っていきます。


 こうして日本の平和は、今回も伝統(でんとう)戦隊(せんたい)ゴニンジャーが守りました。今までよりも強い(きずな)で結ばれた(かれ)らなら、きっと近いうちに地球の全てを取り返してくれるでしょう。


   お し ま い


 お読みいただき、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読しました。 超大作! しかも感動巨編ですよ!! デジタルVSアナログ、迫りくるGAFA――じゃなかった、ゲファーの魔の手。太っちょイエローとか紅一点のピンクとか、漂うノスタルジー感…
[良い点] ゴニンジャー(笑)。まさか忍者だとは! 実は私も「5」ということで、ゴレンジャーが思い浮かびました。でもそれを膨らますことは出来ませんでした。それで今回の話が出来た訳ですが…… 目の付け所…
[良い点] 戦隊モノ!!なところ。 [一言] いやあ、楽しかった。全編ニヤニヤしながら一気に読んでしまいましたよ。 基本に忠実な展開で、これぞ戦隊モノのお話し、という感じがしました。 DX変身セッ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ