97話 ハールのダンジョン⑤
五階層は白い霧に覆われていた。白い霧の中を真っ直ぐ進んでいっても、五階層の入り口に戻ってしまう。シノが毒を付与しようとしたが上手くいかなかった。毒を付与してスキル≪毒操作≫で纏めてしまおうと考えたためだ。それでナナに助けを求めた。
「いっくよ!スキル≪水操作≫!」
それでも霧が動いてはいないようだった。霧に水が含まれていないから毒を付与したり水操作が使えないのだろう。さてこの霧はどうするべきか。
「霧っていったらイキョーが懐かしいの。」
確かイキョーは黒い霧を身に纏っていて。その時はナナのスキルだけでもシノのスキルだけでも上手くいかなかった。イキョーは黒い霧を操り、ナナの時は霧を吸収して、シノの時は霧を排出することで対処していた。そしてその時はナナのスキルとシノのスキルの両方を用いて倒した。
シノのスキルは決してナナのスキルに引けを取るものではなかった。ナナだけでは出来ない事も、シノだけでは出来ない事も、二人のスキルを組み合わせれば出来る。
ユージはシノにイキョーの事を話した。ナナと比べるのではなく、ナナと助け合うことを薦めた。そんな事はユージが言うまでもなく、前々から助け合っているだろうが、それは物事を協力して解決しているだけで、スキルを組み合わせて使った事はない。
「例えばだけど、ナナのスキル≪応援≫とシノのスキル≪弱体≫で戦いやすくしたり、後は……そうだな……シノのスキル≪拷問≫で拷問したけどなかなか情報を吐かない相手をナナのスキル≪ヒール≫で終わることのない拷問をしたりとか。助け合えば出来る事も増える。恐らくスキルの組み合わせがしやすいだろうから。」
拷問し続けているななしの姉妹は見たくないけれど。
シノはナナに抱きついた。慰めているのか励ましているのかは分からないが尊い。
霧はユージがスキル≪黒霧≫を思い出して使用して、霧を相殺した為、ななしの姉妹は見ているだけで終わってしまった。
明けましておめでとうございます!




