82話 ロリリエールのダンジョン⑧
それからというもの、色々と試してはみているのだが、大蛇、恐らくロリリエール、を倒す手段は見つかっていない。ユージ達は死ぬことがないため、扉は一向に閉まったままである。もしここまで来ることの出来る冒険者達がユージ以外にいたとすると、ずっと扉が開くのを待ったり、頑張って開けようとしたりと色々大変だろうが、まず居ないだろう。
ユージ達は死なないとはいえ、お腹は空くし、ずっと地下にいるというのは、あまり体によくない。ライムやツキは地下でも問題ないのだろうが。それでも家に帰りたい。持ってきた食べ物は底をつき、水はナナに出してもらっているために、いつでも飲むことが出来るし、ななしの姉妹が持っている基礎スキルによって簡易的ではあるが風呂に入ることも出来る。ダンジョンの最奥で風呂に入ったことのある人は、ユージ達がはじめてだろう。ましてや、ダンジョンボスと対峙中にだ。
ユージ達がここで暮らしはじめてから一週間が経った。飢餓のユージ達は唯一の食べ物かもしれない、大蛇を食べることにした。大蛇の白い皮は食べ無かったが、そこと骨以外は全て食べた。勿論、大蛇は再生するので食べ放題である。
蛇は最初はお腹が空いていたためか美味しく感じたが、食べていくにつれて、味はずっと同じで飽きてしまうし、何より蛇が大きいせいか、かなり弾力があり、食べにくかった。ゴムのような食感だ。ゴムを食べた事はないけれど。
食べながら大蛇を倒す方法を考えているが、スキルは全て試してみたし、全員で同時に攻撃してみたりもした。それでも大蛇は再生されてしまう。
ただ、日常と化しはじめた生活は終わりを迎えようとしていた。
今までは食われる事を望まないために抵抗していた大蛇だったが、抵抗が無駄だと判断したのか、諦めたのか逃げる素振りが無くなった。そしてこの階層に来る時に聞いたあの声が大蛇から聞こえる。
「許してくだひゃい。あなた達の勝ちで良いですから、もう食べないでください。」
そして大蛇は姿を変え始めた。きっと本来の姿になるだろう。




