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72話 ななしの…

 ユージ達の事を見つけたのだろうか。白い人達は逃げ出そうとしていた。



「私達よ!」


「もしかして……!」



  どうやら気がついて貰えたようだ。綺麗な銀髪だから分かりやすいのだろうな。

 ユージ達が仲間だと分かると少し彼らは落ち着き始めた。ただ、ななしの姉妹が操られていることも考慮しているのだろう。やはり少しは警戒しているようだ。


 それにしても、やはり天使以外にも人間も魔族も白い人を嫌っているようだ。人間が地上を、天使が空を、そして魔族が地下を占領している限り、白い人達に居場所などないのだ。白い人達はユージ達を迎え入れてくれた。ユージ達はここを追い出されると、馬車で寝るしかなかったため、ありがたくいさせて貰うことにした。



  ユージは、烏を畑から追い払うように、いとも容易くここに白い人達がいるかどうか探しに来た天使達を退けた。やっぱりここも怪しまれているらしい。烏と同じように暫くすればまた天使はやって来るだろうから、対策は早めにしないと。そう考えたユージは明日からやろうと決めて、白い人達が隠れている洞窟へ戻っていく。



「ユージ様、本っ当にありがとうございます!」



  ユージが天使達を退けられる事は、白い人達にとってありがたい物だった。そして、ユージが天使達と戦っている間、ななしの姉妹は、ユージに名前を付けて貰ったことを自慢していた。



「私達の伝統で10歳の誕生日のお祝いとして、名前を贈るんです。ただ、彼女達は10歳になる前に、私達の故郷、ガナスを旅立たなければならなくなってしまって、名前を付けてあげる事が出来なかったんです。ナナ、シノ、良い名前をありがとうございます。」



 そう言って、白い人達はユージに深々と礼をした。そして、ななしの姉妹よりも少し若い少年を前に出した。



「彼はもうすぐで10歳になります。ナナとシノの兄弟ではありませんが、兄弟のように遊んでいた者です。どうかユージ様、こいつに名前を付けてやってくださいませんか。」



 白い人達の長老であろう人が、ユージに頼んできた。年取ってるし、発言が多いことを踏まえると、恐らく長老である。(白い人達は白髪か銀髪なので、髪の色で歳を判断できないのだ。)



 勿論、そのようなことが起きた場合の為に、ユージは名前を考えていた。



「君の名前はゴンベエだ!」



 一斉に辺りから拍手が鳴った。ななしの姉妹に男の兄弟がいたときの為に、ゴンベエという名前がいいだろうと考えていた。その少年はまさにゴンベエという名前がぴったりだった。少年は名前を付けてもらったのが嬉しかったのか、礼をするとスキップで仲間達の方へ戻っていった。

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