68話 新たな魔王
何故、ユージ達がノースを訪れると決めたとき、ピィが来なかったのか。ピィはユージが誘ってみたのだが、仲間ではないからと歯切れが悪い返事をした。勿論、ピィも行きたかったのだが、それ以上に大事なことがあったのだ。
魔王決めが早めに執り行われる事になったのだ。
魔王になるつもりのない魔族達があれについての噂が広まったのだ。あれとは、魔王候補者がユージを殺そうと襲ったことである。ユージが普通の人間であったのならば、魔王候補者達は何も言われることはなかっただろう。ただ、ユージは少なからず、弱い魔王を凌駕できる力を持っている。それならば、ユージに攻撃意思がないのにこちらから攻撃したことは、魔族にとって得ではないのだ。だからこそ、攻撃を仕掛けた魔王候補者達は、他の魔族からの信用がなくなってしまったため、魔王になることが出来ない。それで候補者がかなり削られたため、決めやすくなったのだ。興味のあったピィは、ユージ達と遊びに行きたい気持ちもありながら、魔王城へと向かうのだった。
そして魔王城へ行く用事があると伝えなかったため、この間のななしの姉妹達から受けた、距離をおかれる悲しみがあったユージは、ピィに何をしでかしたのか考えながら向かうのだった。
日がくれて、皆で馬車の中で寝ることにした。いつもよりも狭い場所だが、いつもくっついて寝ているため、狭くは感じない。
そして、朝になって馬を走らせる。ノースには入るときの警官はかなり厳しかった。ユージが商人であると言っても、冒険者以外の仕事はチェックが厳しい。冒険者は7ヶ国で判断の基準が定められているため、通しやすいのだ。それに商人であるのならばステータスを見せても支障が無いためステータスの職業欄を見せるのが普通なのだが、ユージは職業ロリコンなのでさらけ出したくない。新たな職業でありステータスも高いとなると煩そうだからだ。最終的にはなんとか、チェックを潜り抜けた。そしてななしの姉妹の案内を聞いてユージは馬を走らせる。途中で馬が通れなくなるほどの細い道まで来てしまったので、馬を降りる。そして馬をおいて歩き出す。おいていっていいのかと思ったが、ななしの姉妹曰く、この馬だと思っていた動物は、動物ではなく気力をたくさん含んだ機械だという。確かに触ってみると固かった。それで安心したユージは、歩いて森を進む。ななしの姉妹の故郷は森のど真ん中らしい。まあ、人間にも魔族にも嫌われてる種族だしな。




