37話 ユージの強さを広めたい①
「ユージの名前を広めるの!」
ツキがそう叫ぶ。ユージはいきなりのことに少し動揺したが、ツキの話を詳しく聞こうと耳を傾ける。
「今度、国内で最強を決める大会があるの。そこでユージに参加してもらってこのパーティーをアピールしてもらって、入ってもらえる人を集めるの。私は魔族だから参加できないし、ナナちゃんもシノちゃんも白い人だから参加を断られるの。だからこそユージに参加して欲しいの。」
確かに出るとするならばユージが出るべきだろうが、最強を決める大会くらい魔族はともかく、白い人までも参加できないのか。本当に白い人が嫌われてるんだな。だからこそ出るとするならばユージが出るが、参加するかどうか決めるべきだ。
「本当に参加すべきだろうか。今、仲間を増やす必要性はないし、白い人や魔族が安全だと言っても、人々がそれをいきなり出てきた人に言われても信用はしないだろう。それでも参加すべきだろうか。」
「確かにユージの言う通りなの。でも、私の目的は警戒されることにあるの。」
警戒されるために大会に出させるつもりだったのか。警戒されないために出ることを勧めているのかと思っていた。
「ユージが強いことは大会で証明されるの。そしてユージは白い人であるナナちゃんとシノちゃんを呼ぶの。そして、白い人を嫌悪するなら容赦しない。とか言うの。そうすればナナちゃんとシノちゃんが生きやすくなるの。」
「魔族がどうなのかは知らないが、人間は禁止されると反発してやりたくなってしまう生き物だ。だとすると逆効果になってしまうかもしれない。」
「そしたら、見せしめを……」
「私のスキル≪水操作≫で水分を全て吸い取ってやれば良いじゃない!」
このパーティーには殺す事をためらう人がいない。ユージは邪魔するならば殺してしまった方が楽だからという理由で、ツキは何度も戦争に参加している。ツキは魔族の中でもトップクラスだから、たくさんの人や魔族を殺している分、今さらためらうことがない。ななしの姉妹は、何度も殺されるようなことがあった。それなのに自分達がやられてやり返さない程、心は広くない。そもそもそれでやり返さない人などいない。リアは死んでいるから、罪はないらしい。その辺りはよく分からない。殺す事をためらう人がいないからこそ、感情が不安定にならないようにしてあげたい。なら、時間もあるし、ななしの姉妹が楽しく過ごせるようになるかもしれないのだったら、今度の大会に出ないという選択肢はない。そう考えるとユージは、立ち上がって家を出る。ななしの姉妹が置いていかれまいと付いてきた。
「これからエントリーしてくる。二人がいると、大会で見せる効果が薄くなっちゃうから、ツキやリアと一緒にいて。」
そう言うと、ちゃんと察してくれた二人は、家に戻っていく。ななしの姉妹はあった頃は怯えていて、ずっとユージについて回っていた。声に出すことはなかったが、気が落ち着かなかったのだろう。ナナは特に明るく振る舞っていたが、内心ではかなり警戒していた。最近はツキやリアはにも心を許しているから、ユージが居なくとも、二人が居れば問題ない。ユージは家に戻っていくななしの姉妹を見届けると、大会にエントリーしに行った。




