32話 魔王戦①
はっきり言って、魔王の部屋までの道のりは何ともなかった。敵はいて、トラップもあるが、敵はシノとツキが蹂躙しているし、(ナナは気力消費が多いため攻撃しない)トラップは攻撃してくるものばかりで、トラップを発動してしまっても煩いだけだ。煩いのはナナで慣れている。そうやって特になにもないまま、魔王の部屋の前に辿り着いた。部屋の前には、魔王の側近だろうか、執事らしさがあるおじいさんだった。何故か猫耳がついている。
「侵入者ですか。わたくし、ヴァンというものです。どうぞ冥土の土産に名前でも覚えていってくださいませ。」
そういってヴァンは魔道具(?)を展開し、様々な魔法を向けてきたが、ユージが全て受け止める。
「それらの魔法には、様々な弱体効果が付与されています。これで盾役の唯一の男は消えましたね。女性をいたぶるのは好きではないのですが、反抗されるのなら……何故、動けているのですか!あの魔法には麻痺効果があるものや、拘束効果が含まれているものもあったはずです!」
「あ、そうだったの?」
ユージはさっきの攻撃は全く痛くなかった。確かにダメージは受けたが、落ちたときのダメージや、シノの毒と比べるまでもないダメージだった。ただ、ヴァンにはそれが強がりに見えたのか、また同じような魔法の同時攻撃を行ってきた。そしてその攻撃がユージに致命打となるはずもない。ユージにぶつかって消えていくと、ヴァンは軽く舌打ちした。
「おや、あなたは魔族ではありませんか。何故こいつらの味方をなさっているのですか?」
「魔族という括りの中だけど、同族ではないの。だから私は、私の味方したい人につくの。」
「もうここでとどまってるの飽きたから先行こっか。」
そういってユージはヴァンの顔を殴る。流石は魔族というべきか、魔王の側近というべきか。ユージの攻撃で、頭が砕けたり、首から上が飛んでいくこともなかった。でも、ユージの攻撃を受けきれる訳もなく。ヴァンの頭蓋骨は折れ、脳がやられてしまったのだろう。ヴァンは倒れ、立ち上がることはなかった。
ユージ達はヴァンの横を通って、大きな扉を開ける。その先にはいかにも魔王ですと言わんばかりのオーラを出して、玉座に座っている魔王の姿があった。




