18話 災い転じて
今回は長めです。
ギルドが去って数日は何も起こらなかった。平和そのものだ。お金を少し稼いで、森へ入って、模擬戦。リアは家から出られず、模擬戦もしないので、放置してしまっている気がする。家へ帰ると、暖かいご飯がある。リアに本当に感謝。ただ、どうやって作っているのだろうか。見せて貰った事は無いため知らないが、機会があれば、知ることになるだろう。そのときまでは知らないままで良いかな。
そうやって過ぎていった普通の日々は、あるミスによって引き起こされる。
ユージはナナとシノ、二人と一緒にくっついて寝ているため、最近できていない事があった。するのは邪魔になるし、ナナとシノに申し訳ないと思ったからだ。つまりナナとシノが仲間になって、1回もしていないのである。
……自己治癒スキルの話だ。自己治癒スキルの効果中はうっすらとだが、自分の体が光るため、寝ているナナとシノを起こしてしまってはいけないし、抱きついて寝ているから、離れてスキルを使うこともできない。また、日中に使うことも考えたのだが、そうすると、察しの良いシノは多分気がついてしまう。そうなると遠慮して一緒に寝ようとしなくなる可能性が高い。それは二人にとって寂しいことだろうし、ユージも嫌だ。となると、彼は強化されないのである。
その事件が起きる前日、ユージはある提案をななしの姉妹にした。
「毎日夜寝るとき、ナナが僕と向かい合って、シノが後ろで寝ているだろう?今日くらい逆でも良いんじゃないかな。」
実はナナは後ろでくっついて寝てみるのも良いと思っていたそうですんなり承認してくれた。シノは顔を赤くして首を縦に振っていた。恥ずかしいけれど、向かい合って寝たいらしい。可愛い。とても可愛い。
結局1週間(時間は地球と全く同じであり、わかりやすい。)のうち、地球で言う月曜日と日曜日に、(流石に、曜日の名前は地球と違っていたが。)シノと向かい合って寝ることになった。
朝起きると、シノはとても嬉しそうだった。長い銀髪が左右に揺れる。そして、気分がよかったからだろう。今日の金稼ぎは早く終わった。なので、昼食をとって、いつもより長く模擬戦をしよう、ということになった。そして、シノはまだ気分がよかったようで、いつもにも増して、素早く強力に、スキルを駆使していた。
そして事件が起こる。調子のよかったシノがスキル≪毒沼作成≫を使用した時だった。ここは森であるから、様々な虫がいる。そしてその虫が、彼女の目の前を通りすぎた。驚いて、軸がぶれる。危ないと思って近寄ったユージの足元にスキル≪毒沼作成≫により、毒沼が出現する。そしてユージは毒沼に触れてしまった。
シノは怪我することなく、無事であったが、ユージはそうはいかない。スキル≪自己治癒≫を1日一回でも使用していればスキル≪自己治癒≫の、弱体無効により、毒沼に足を踏み入れたとしても、何も問題なかった。ただ、スキルを使用していないユージは毒状態になる。シノの毒は強力であるから、体力ががんがん削られている。
ユージは慌ててスキル≪自己治癒≫を使うものの、弱体無効があるだけで、今の毒状態には効果がない。ただ減っている体力が少し回復して、それ以上に、体力が削られている。生憎、解毒ポーションはこの街では売り切れていて、買うことができなかった。隣町ならあるだろうが、ユージの体力はそこまで持たない。
ならばと、ななしの姉妹に、買ってきてもらうしかない。ナナが1ゴールド持って、慌てて買いにいく。実際1シルバーしかしないのだが、細かい事を気にしている暇はないと言わんばかりの勢いで駆け出していった。ユージは懐かしの、スキル連発を行う。
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
体力のバーが振動している。(体力が減ると、ステータスを開かなくともバーが表示され、今の体力を知ることができる。)戻ってくるまで、これを続けていれば良いだけだ。
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
そろそろ買えた頃だろうか。
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
人影が見える。きっとナナだ。ラストスパートだ。
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫」
「スキル≪自己治癒≫!!」
解毒ポーションを受け取り、解毒する。そして、目の前の体力バーが消滅するまでスキル≪自己治癒≫を使用する。
またステータスが上がっていたが、前と伸び具合が違う。前よりもステータスが伸びが大きい。つまり、スキル≪自己治癒≫をかけている回数は少ないから、前よりもステータスが伸びたわけではないが、1時間あたりの伸び具合が前よりも良い。これもスキル≪自己治癒≫がレベルⅥになったおかげだろうか。それよりもここで良かったと泣いて喜んでくれるななしの姉妹がいてくれることが嬉しい。
ナナが買い物に行っている間、シノはユージにずっと謝り続けていた。スキル≪自己治癒≫を連発していたため、答えてあげることができなかった事を今ユージは言ってあげる。
「大丈夫だよ。シノのせいじゃない。帰って顔洗って、リアが作ってくれたご飯を食べよう。今日も一緒に寝るし。そしたら落ち着くだろう?」
「お風呂も……一緒に、入って?」
「ずるい~ナナも一緒に入る!」
……どうやら、この後のお風呂タイムが、毒よりもかなり命に関わるかもしれない。




