103話 海①
雨は何日も降り続けることはなく、降った翌日は快晴だった。暑い気候の雨は短時間で止むらしいので、これでもずっと降っていたと地元民は感じたのだとか。
エアコンなんて物はないが、エアコンを携帯しているように使える便利な魔法を持っているせいで、暑いから海へ行こうとは、誰も考えることがなかったのだろう。
商業用の港はあるものの、船に乗るのが難しいような地形になっているところは、人が訪れることはないので、例え水着を着ているかのように認識阻害しているだけで実際は裸の幼女が遊んでいたとしても、問題なかった。
ユージは雨が降っているときに彼女達にビーチバレーを教えていた。勿論ここで遊ぶためにだ。
「チームはナナちゃんとシノちゃんチームと、私とユージのチームであってるの?」
「あってる。ライムは審判ね。」
本当はユージが審判をして、ライムとツキのチームのはずだったが、ライムが参加するとややこしい事になってしまうので諦めた。ライムの水着がないため、人の姿になれない。そしてテライム状態になってしまえば、コートを覆ってしまう事が出来てしまうので勝負にならない。それにどこで飛ばしているのかが分からない。
「ボールはあったの?」
「それがまだ無くて……」
そう。ビーチバレーが無いため、丁度いい大きさのボールがない。ネットはユージのスキル≪認識阻害≫で作った。ボールがすり抜けてしまう事を除けば最高のネットだ。
「私がボールになろっか~?」
確かにライムは大きさも形も自由自在だから、ボールになる事ができる。そうすればネットに当たっていたとしても、ライムがボールなので判定しやすい。しかし、その案を試してみたのだが、上手くいかなかった。
重すぎたのだ。
ユージですら持ち上げられない。持てないボールじゃ勝負にならない。そもそも試合が始まらない。
ユージ達は諦めて、海で泳ぐことにした。




