プロローグ
幼い頃のことだった。
オレはね――死者に助けられたことが、あるんだよ。
この世界がまだ、人間だらけだったころ。不老不死だらけの人間だけじゃない頃に、な。
不老不死が貴重だというのは、古来からの決まりであり、人類皆の浪漫であったのは「かつて」だな。
ちょっと前までは街を歩けば、不老不死だらけで誰を見ても怪我が即座に治る人ばかりだったよな、楽そうだ。
――さて、とだ。それをオレは問題であるかのように話しているね?
謎は、オレが語れば解けていくかな――、それならば少しの間語ろうか。
何、時間はほんの少しあるんだ、アンタがもしもそっとオレの謎に気付いても誰にも話さないようにしてくれると助かる。
何故アンタに話すのかって? うーん、これは、オレの勝手な親切というかお節介かな。
お節介だから、少しはアンタの身のためになると思うんだ。
だから、少しばかり、話を聞いてみないか?
アンタにとって何が大事だったか、思い出せる切っ掛けになるとも思うんだよな。
聞いてくれるのならば、アンタに道行く先の祝福が、あらんことを祈らせてくれ。
タダでとは言わないよ。御礼に、宝くじ一枚でもあげよう、何、軽い運試しだ。ゴミ扱いするなって。要らないって言うなよ、これでも一生懸命手に入れたんだぜ?
受け取っておけよ。いつか、役立つ日がくるから。――少なくとも、持っていて決して損はしない代物だ。
オレがアンタにとって悪魔か、人間かは、アンタが決めてくれ。
アンタだけには、オレが悪魔なのか人間なのかを決める権利はあるから――。
オレが何者なのかは、アンタだけは決めつけていいんだよ。
さぁ、他の奴がオレを勝手に悪魔と決めつけた話をしようか。
何個、物語に塔があるんだよとツッコミ受けてもおかしくはない。
多分すぐに連載終了します。一気に更新あったときは、ご了承くださいますよう。