第3話 新世界
気が付くとそこは見たことのない森だった。「マジかよ、ホントに来ちまったんだな。」「あぁ、そうだな。」二人は一言喋って沈黙した。そしてその沈黙を破ったのは謎の甲高い鳴き声だった。二人は驚き、声のする方へ目を向けた。すると、視線の先に赤い炎を身にまとった鳥が見えた。その瞬間こちらへ飛んできた。叡治は弱気で「おっおい、、、これっ!どうすんだよ?」「まあ見てろって」凛は自慢げにそう言って立ち上がった、そして唱えた。「聖なる水よ・鋭槍となり・刺し穿て」「アクアスピアー!」その瞬間どこからとも無く水滴が現れ、瞬く間に1本の槍へと形を変え、炎の鳥の胸に突き刺さった。「おっお前、今のなんだよ!?」「俺に授けられた力、魔法さ(キリッ)」「どうやらこの魔法っつーもんは自分のイメージ次第でどうにでもできるらしい。」「それってもしかして、俺たちが長年夢見てたことが叶うってことか?」「あぁ、そうさ」「マジかよ」凛と叡治は顔を見合い、また数秒間黙った。そして叡治が言った。「これ、村とか行けば勇者なれんじゃね?鉄則でしょ?」確かにそうだと凛も思ったが、まさかそんなにうまい話があるわけがないとも思った。だがこのままではどんな魔物が現れるかも分からないのでとりあえず、家屋のようなものがないか探すことにした。探し求めて2時間ほど。森の中に1軒の小屋が見えた。二人はお腹もすいていたので、訪ねてみることにした。「ごめんくださーい」すると中から図太い声が聞こえてきた。「こんな家に何か用か?」優しそうで太ったおじさんが出てきた。「何か飯を食わせて下さい!!」「なんだ、旅の者か。大したものは無いが歓迎しよう」おじさんは快く迎えてくれた。ご飯を食べ終えて、おじさんは問いかけてきた。「君たち、武器は持っていないのかい?」「ないですよ」「君たち、何も装備しないでここまで来たのか!?そりゃあすごいな。」「僕たち、魔法が使えるんです。」「ハッハッハ、面白い嘘をつくな。」「嘘じゃないですよ、何なら見てみますか?」そう言うと、凛は詠唱を始めた。「聖なる水よ」するとコップの中にどこからともなく水が現れた。