経験値をゲットだぜ!(後編)
正直、中3の一番最初に担当したクラスは、死んだほうがいいレベルで最悪だ。お金をもらっていいレベルですらない。そもそも、一番最初の自己紹介からしてつまづいているのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。クラス崩壊とまではいかなかったが、教室の空気はしらけ、そして人数が少なかったのもあって声も出ていない。さらには回し車のカラカラと空回りしている音まで聞こえる始末。まさに悪循環。人はこれを自爆という。
そして何より最悪なのは、中3の授業のやり方を中2の授業をするときに引きずってしまったことだ。経験値がないと言い訳できた中3とは訳が違う。片手で数える程度であっても、すでに私は彼らの前に立っている。ギリギリお金をもらってもいいレベルだったのは、中3の2回目のクラスと、顔を合わせるのは2回でも、きちんと接したのは初めてという中1のクラスだけだったというのだから、なんという皮肉だろう。褒められる要素が何一つない。
まぁ、わざわざ前後に分けてまで経験値についてグダグダと言ってきたが、それほどまでに馬鹿に出来ないものなのだ。なぜなら、私が塾講師としてお金をもらっているからである。前にも同じことを述べたが、お金をもらっている以上、「プロ」なのである。情熱とプライドを持って仕事に臨まなければ、講師を、そして塾自体を信頼して子どもたちを預けて、お金を払っている保護者に対して失礼だ。そして、それ以上に、授業を受けている子どもたちに対して失礼だ。どんな授業も真剣に取り組み、真摯に向き合わなければ意味がない。実際、経験はなくとも、最初のほうだけは、熱意があれば研修だけでもなんとかカタチにはなるものなのだ。最初だけは。
しかし、不測の事態に対応するには、やはり経験が物を言うことが多いと痛感することが多々ある。