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47.第二回闘技大会 開会式

 予選?

 作戦通りであっさり通過した。


 場外失格は次回から禁止かもな。



 今は、ルノーチの図書館にいる。

 街中は、闘技大会前日のお祭りムードで浮かれているが、ここは静かだ。


 ここ最近、レベル上げの傍ら、夜と死の神について色々と書物を読み漁っている。

 目的はオレ自信の強化のヒント探しと、プリスを蘇らせる方法だ。

 どちらも芳しい成果はないが。


 その中で、首飾りと封印について分かったこと。

 首飾りは元々夜と死を祀る神殿にあったもの。

 それを、300年前の魔王との戦いの際に騎士王エアスが借り受け、センヨーの西に魔王の半分を封印した。

 そのまま、ルノーチの場内にて厳重に管理されている、らしい。

 何の因果か、今はオレの手にあるが。

 こんな重要そうなアイテム持ち歩いてて良いのかね?


 何故、センヨーの東か?

 そこは神話の神の一柱が眠っているとされており、過去その地を中心に大きな魔法都市が栄えた。

 今は、その栄華は失われ、廃墟となって久しいが、その地を潤す魔力は他より高い。

 そこへ、魔王の一部を拘束する建造物を建て、其処へ至る道ごと封印をしているらしい。


 と、言う事はだ、あのローブ姿の連中の目的は魔王の復活か?

 ただ、その魔王に関しての書物が少ない。

 強力で凶悪な魔王であり、十人の魔人を引き連れ、世界を未曾有の恐怖に陥れた。

 と、曖昧なものしかなく、正体、目的、そう言った類の情報が抜け落ちているのだ。


 また、ルノーチより北上した地にも魔王の半分が封印されている。

 ここの鍵もルノーチの城内にあるらしい。

 最も、こちらはエアスが使用していた聖剣らしいから、かなり厳重な管理の下にある、と予想される。


 実際のところは分からんけどね。


 プレイヤー達を悩ませていた、魔人騒動の方は、ひとまずここで見つけた方法をニケさんか各所に通達。

 かなりの成果が上がっているようだ。

 お陰で神聖術使い大人気らしい。



 さて、そろそろプリスが飽き始めているので、外に出て露店でも冷やかしつつ明日に備えよう。



■■■■■



 ログイン後、メッセージに従い、控室へ転移。


 そこには、既に二式葉がいた。


「よう。待った?」

「いや、私も今来たとこだ。プリス、今日も宜しく」


 トントン、とドアがノックされる。


「はい。どうぞ」

 二式葉が、応える。


「失礼します!」


 ど、ドアを開け、入って来たのは司会役のAI、メノゥだ。


「どうも、お久しぶりです!

 いや、まさかお二人がタッグを組んで参加するとは、予想もしてませんでした!

 いや、嘘です。

 そうなったら面白いなーとちょっと思ってました!!

 で、その通りになって、今、すっごく興奮してます!」


 早口でまくし立てる。


「でー!!

 せっかく何で、今日の開会式は二人を盛り立てたいです!!」


「は?」

 嫌な予感がする。


「プランはもう考えてます! 楽しみにしてて下さい!!

 あ、ジンさん【迷彩】は外しておいて下さいね!」


 と、言うだけ言って消えていった。

 反論すらさせてもらえないのか。


「何だろう。とても嫌な予感がする」

 二式葉がボソリと言った。


 同感だ。



 トントン、と再びドアがノックされる。


「はい。どうぞ」

 再び二式葉が、応える。


「失礼します」


 ドアを開け、顔を見せたのは、アレィだった。


「ジンさん、二式葉さん、お久しぶりです」


「ああ」


 今度は何だ。次から次へと。


「ジンさん、私の渡した鎖のブレスレット、まだ持ってますね?」

「捨てて良いのか?」

「何てこと言うんですか!?

 アレは、私へコンタクトを取れるという、とても素敵なアイテムなんですよ」

「え、そうなの?」

「ええ、そうです」

「それに関して、メリットを感じないので捨ててもいいですか?」

「ふえぇぇぇ」


 本当に、どうでもいい。


「で、何をしに来たのだ?」

 冷めた目で聞いていた二式葉が、口を挟む。


「開会式の打ち合わせです……。

 えっと、ジンさんのプランはもう決まってるので、二式葉さんにご相談があります」


 と言って、二式葉の方へ向かう。


「オイ、オレのプランって何だよ。嫌な予感しかしないんだけど」


「それは、お楽しみです。

 で、二式葉さんへのご相談事というのは……」


 二人で話し合いが始まると同時に開会式も始まったようだ。

 ウインドウを表示させ、その様子を眺める。

 今回は盤上に一組ずつ登場し、紹介していくようだ。

 トップバッターは、ニケさんのとこか。


 後ろから時折、いや、とか、しかし、とか二式葉の声が聞こえてくる。


 お、リィリー達だ。

 楓と、桜。もう一人は一度だけCreator's Homeで顔を合わせたことがあるが、スパナと言う子だ。

 それと、召喚獣のミーちゃんと、プラム。

 プラムは以前よりドラゴンらしい大きさに成長している。

 人を四、五人乗せて運べるじゃなかろうか。


 ちょっと、闘技場の上ではデカすぎないですかね。

 などと、思っていると、突然プラムが飛び上がり、一回転する。

 そして、再び降り立った時には、その姿をちょうど馬ぐらいの大きさへと変化させていた。

 闘技大会の特別ルール? それともプラム自身のスキル?

 どちらにしろ、強敵だろうが、戦うとしたら決勝だな。


「じゃー、そういう事で!

 出番になったら自動で転送されますので。

 お二人は十六番目、最後の登場です。

 しっかりと盛り上げて下さいね」


「いや、盛り上げるって、何するか教えて欲しいのだが」


「ダメですよ。でもジンさんならなんとか出来ますよ。

 プリスちゃんもよろしくね」


 え、プリスも巻き込むのか?


「頑張る!」


 と言って、小さくガッツポーズするプリス。


 二式葉は?

 神妙な顔で考え込んでいる。


「じゃ、あと少しで順番ですので」


 と言ってアレィはドアから出て行った。


「プリスは、何やるか聞いたのか?」


「うん! 頑張るよ!」


「二式葉は?」


「まぁ、お祭り事だ。盛り上げてこよう」


 ていう割に、表情固くないか?



 ウインドウ内では次々と出場チームが紹介されていく。


『以上、挑戦者達十五組を迎え撃つのは!』


 目の前にウインドウが表示される。

 [転送まで、カウント5]


『最後の一組、チーム名、アルカンシエル!

 なんと、そのメンバーは、前回大会、準優勝者。謎スキル使い!』


 目の前の景色が瞬時に変わる。


 闘技場に転送された。

『ジーンーーーーーー!』

 メノゥの声が響く。


 のは良いのだが、オレの周囲を黒い何かが舞っている?

 これは、羽か?

 黒い羽。

 大量の黒い羽が舞い降りてきている。


 そして、地面から黒い鎖が生えていて、オレの体に巻き付き拘束している。

 首から上しか、自由が効かない。


 ここまで理解した所に上から今度は白い羽根が降ってきた。

 見上げると、ふわふわと舞い落ちる大量の白い羽根。

 その中心にいるのはプリスだ。


 プリスはゆっくりとオレの前まで降りてきて、そっとオレの眼前に手を掲げる。

 と同時に、オレを拘束していた鎖は、光と共に粉々に砕け散った。


 プリスがドヤ顔でこちらを見る。


 どうすべきかね?

 もう、ここまでピエロにされたんならとことんやってやろう。


 オレは右手を、円を描くように大きく動かしながら、うやうやしく片膝を付き、プリスに頭を垂れる。


 その直後、闘技場から歓声が上がる。



『そして! 初代優勝者。最強の剣士。二式葉ぁぁぁーーー!!』


 メノゥの絶叫と同時に、闘技場の端に青い欠片が現れ旋風がそれを舞い上げる。

 あれは、花弁はなびらか?

 舞い上がる花弁はなびらが円柱を形作ると、そちらへプリスが飛んで行く。


 そして、花弁はなびらの円柱にそっと差し出したプリス手の平に、中から現れた白い手が重なる。

 徐々に花弁はなびらが下に落ち、そして、残ったのは宙に浮く、二式葉とプリスの姿だった。


 青の絨毯の上に、二式葉がつま先からそっと地面に降り立つ。

 スラっとした青いドレスを身に纏い、髪は細かく編みこまれ、まとめ上げられている。

 驚いた事に、その顔にはうっすらと、上品なメイクが施されている。


 プリスから手を離し、そして両膝を軽く折り曲げ上品に挨拶をする。


 静まった会場が、徐々にどよめき始める。


 そりゃそうだろう。

 二式葉を女性だと知っている人はおそらく数人。

 そして、知っていたオレでさえ、驚いているのだ。


 さて、メノゥさん?

 この、変な空気どうすんですか?


『以上! 十六組による熱いバトルの開幕です!』


 まさかのフォロー無し!?

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サモナーJK 黄金を目指し飛ぶ!
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