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41.朽ち果てた塔 攻略

「では、この一週間の成果を見せてもらうとしよう」


 この一週間? 二人共見違えるほど成長したぞ。


 まず、オレのレベルは現在25。

 マイナスだったSPは、ボス討伐のボーナス分も含めて十分にカバーできた。


 そして、取得したスキルは【霊能力】! と言いたいところだが……。


 称号:【死と夜の神との約定】

 死と夜の神の代理としての力を得る。

 代償として、一部の力が封印される。


 こいつのせいで、オレは【霊能力】が封印されたらしい。


 飯屋でこの事に気づき「プリスと話をするのはまだ無理そうだ……」と、落胆するオレに、プリスは食べていたパフェを一口分けてくれた。余談だが。


 取得したスキルは【救魂】と【冥術】。


 【救魂】は対アンデット特効。

 【冥術】は、スキルLV.7で『吸魔マナスティール』、MP吸収術を取得できる。


 そして、称号【魔導発動者(マナコントローラー)】が【魔導実践者マナパフォーマー】へランクアップし、【同時発現】というスキルを取得。

 これは、複数の魔法を同時に発動するスキル。組み合わせは、予め登録が必要。


 更に、武器の新調。


 アイテム:【ミスリルナイフ】#ランク2

 攻撃値:27

 INT:2


 既成品だが、これを両手で持つ二刀流。

 それに、各属性魔法を織り交ぜていく。


 それが、今のオレの戦闘スタイルとなっている。


 続いて、プリス。

 レベルは現在22。


 LV.20でハイ・ゴーストにクラスチェンジ!

 【呪歌】と【魔術耐性(小)】のスキルが追加になった。


 【呪歌】は敵複数に対し、弱体化(デバフ)効果を与える歌を詠唱するスキルだ。

 未だに、プリスと会話ができていないが、呪歌を使用した時だけは、物悲しいハミングが、微かに耳に届いてくる。


 リィリーにもらった弓も、上手に使いこなしている。


 敵によって、弓とクロスボウをうまく使い分けている。


 プリスも、武器の新調を検討せねば。



「と、まぁこんな感じかな」


 40階に出現した、オーガとトロルの混成部隊を葬った後、二式葉を向き直り言った。


 オレの両手にはミスリルナイフから伸びる氷の剣。

 アイスソード。


 同時発現と術式分解を技能融合した結果、【術式融合】というスキルの出来上がり。

 複数の魔法を掛けあわせて、そのパラメータを調整することで、ほぼ、オリジナルの魔法が組み上げられるのだ。


 水魔法の飛泉(アクアウイップ)で剣状の水を出現させ、氷魔法の氷柱(アイシクルランス)でその形状を固定することで可能となった氷剣。

 以前のレイピアと異なり、斬る事、そして、受ける事が可能となった。

 更に、雷魔法の閃光(インテンシブフラッシュ)も組み合わせているので、刀身から仄かに光を放っている。


 超ロマン武器。


「ちょっと、その剣を構えろ」


 は?


 言われたとおり剣を正面に構える。


 二式葉が刀を抜き放ち一閃。

 キンと高い音を立てて、氷剣が二式葉の刀を受け止める。

 が、その直後、氷剣は粒子となって消滅した。


「ふむ。私の一撃を止めるとは、なかなかの強度だ」


 おっかないんで、先に言ってくれませんか?


「扱う方の腕はもう少し鍛錬が必要そうだがな」


 へいへい。


「しかし、まぁ、次々とよく思いつくものだ」


 剣を収めながら、二式葉が表情を崩す。

 ふむ。


「惚れんなよ?」

「死ね!」


 いや、調子に乗ったのは認めよう。

 ただね、全力の蹴るほどの事ではないと思いますよ?


「二度と、そんな軽口を叩くな!

 プリス、今のはこいつが悪いのだからな? 勘違いするな」


 蹴り飛ばされたオレをプリスが心配そうに見ていた。



■■■■■



 41階から上層はアイテム使用禁止とか言う、結構えげつない制限があった。

 オレもプリスも吸魔マナスティールを持っているのでMP枯渇の心配はなかったが。


 そんなこんなで、最上階。

 まさかの、最後が屋上


 落ちたらどうなるのかね。


 現れたのは、天使。

 アークエンジェルが2体、取り巻きにエンジェルが4体。


「メインは譲るよ」

「ふむ。任されよう」


 強敵には二式葉を。

 結局これがオレたちの最も強い戦い方だろう。


 と言うか、一人でもなんとか出来ちゃうんじゃないかと思わせるほどの剣豪っぷり。


「プリス、最初は歌を宜しく。

 その後は、回復に専念。今回は攻撃禁止」


 なにせ、相手は天使だ。プリスが浄化でもされたらたまらない。


 プリスの呪歌が響くと同時に、オレ達は飛び出した。



■■■■■



 なんとか、なったな。


「プリス、回復をありがとう。おかげで勝てたよ」


 二式葉が、大天使が消えるのを確認した後に、振り返って言った。


 一度、天使からの攻撃がプリスに当たり、プリスは大ダメージを負った。

 それ以降、オレはプリスと天使の間に立つようにし、常にプリスへの攻撃を肩代わりした。


 オレが魔法で四体目の天使を葬った直後、二式葉が二体の大天使を葬りさった。

 オレとプリスはMPがほぼ無い。

 流石に二式葉も、HPが半分以下になっている。


 続きがあったら、どうなるだろうか?



〈ポーン〉

〈朽ち果てた塔ボス・大天使を撃破しました〉

〈ボス討伐ボーナスとしてSP10獲得しました〉

〈初回討伐ボーナスとしてSP30獲得しました〉

〈討伐MVPとして二式葉がSP10獲得しました〉


〈おめでとうございます。朽ち果てた塔を踏破しました〉

〈踏破ボーナスとしてSP10、戦の神バジョエの加護を獲得しました〉


 ん?

 何だ。聞き慣れぬボーナスがあったぞ。


「一回、街に戻るか」

「なぁ、ジン」


 いつの間にか、塔の端に立っていた二式葉が手招きする。


「なんだ」


 プリスも二式葉の隣へ飛んでいった。


「ここから、飛び降りたらどうなるかな?」


 イタズラっぽい笑みを浮かべ、とんでもない事を言い出した。


「死ぬんじゃね?」

「死んでも、痛くないよ。飛んでみないか?」


 バカなんじゃない?


「どうぞどうぞ。オレは転移で帰るから」

「良いじゃないか! 現実では、絶対出来ない経験だぞ!」


 と言って、オレの手を掴む。

 反対の手を繋いだプリスがとても楽しそう……。


「いや、ま、ちょまぁあああああああああああああああああああああぁぁぁぁ」



■■■■■



 気がついたら、今日ログインした宿屋にいた。

 二式葉に引っ張られ、塔から飛び降りたはずだ。


 二式葉からメッセージ[死んだー]。


 自分のステータスを確認。九割減。死に戻りだ。


 プリスは無事だったろうか?


 横に笑顔で座っていた。


「さっきの楽しかったか?」


 大きく頷くプリス。

 そうか、それは良かった。でも、二度とやらないからな。


 [とりあえず、どっか集合]と二式葉へ返信。



■■■■■



「信じられない。マジで」


 プリスが指定した食事屋で待つことしばし。

 現れた二式葉に開口一番で言った。


「いや、すまない。でも楽しかったろ?」


 全然反省してないな。


「ふざけんな。死ぬかと思った。ていうか死んだし」

「まぁ、ボス素材は全部譲るから、許せ。

 それより、ボス討伐でスキルが追加されてたんだが、そっちはどうだ?」


 ん?

 そう言えばそんなインフォがあったな。

 メニューを操作しながら尋ねる。


「何だった?」


「『鬼神化』。使うとステータス1.5倍。被ダメージ2倍!」

「うわ、ピーキーだな」

「いや、私にはピッタリだ」

「あれ? オレのは違うぞ」

「何?」

「ユニークなのか。『戦禍の天秤』」

「何だそれは」

「えっと、『スキル発動後、攻撃ダメージを一度無効化。以後、与ダメージの合計値が無効化した攻撃を上回るまで再発動不可』だそうだ。」

「ややこしいな」

「使ってみないと分からんが、攻撃無効化スキル。その代わり被ダメージを与ダメージが上回るまで使えないんだろう。あ、それで天秤か。ダメージが釣り合うイメージだ」

「なるほど。なかなか強力ではないか?」


 そうだな。これがあれば、プリスは死ななかったかもな。

 いや、よそう。


「ん? プリスもか?」


 二式葉の問いかけに頷くプリス。

 何がだ?


「プリスもスキルを取得したらしいぞ」

「え?

 あ、本当だ。『聖歌』。複数対象のバフだな」


 魔法と重複するだろうか。

 後で試そう。

 あ、今日は無理かな。

 飛び降りのせいで、ステータス異常だ。


「凄いな。プリスは」


 二式葉がプリスの頭を撫でる。


「さて、闘技大会のエントリー行くよな」

「もちろん」

「じゃ、その前に決めなきゃならないことがある。登録名だ」


 そう。闘技大会はメンバーの他にチーム名をつける必要がある。


「任せる」

「何か、候補ないのか?」


 通常、ギルド名とかつけるだろうけど。


「ないな」

「うーん。なんだろな。パッと思いつかんのだが、『二式葉と愉快な仲間たち』?」

「却下」

「二強」

「いまいち」

「氷と刀」

「わかりずらい」

「わからん。もう無い」

「語彙が貧弱だな」

「そっちこそ、何か提案しろよ」

「ん、そうだな……。に、じ、虹……。アルカンシェル。アルカンシェルはどうだ?」

「なんで虹なんだ?」

「に、じ」と、二式葉は自分とオレを交互に指差しながら言った。


「でも、プリスが入ってないか」

「いや、それで行こう。プリスは当日までのビックリ枠だ」


 考えるのが面倒だからというのが半分。


「そうか? いや、しかし……まぁ、そう言うなら良いだろう」


 プリスが何かを二式葉に言ったらしい。

 それで、納得したようだ。


「それじゃ、エントリーに行こう」

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