表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/179

25.ギルド・クラウディオス

〈ポーン〉

 闘技場を後にした、オレにニケさんからメッセージが入る。


[今から少し時間もらえませんか?]


 スキルの事だろうな。


[大丈夫です]


 と、返信。


 すると、後ろからニケさんから声がする。


「よし、確保!」


 振り返ると、ニケさんと二人のプレイヤーが立っていた。

 一人は昨日の闘技大会に出ていた、左之助と言うプレイヤーだ。確か『槍の兄貴』。

 二回戦で敗退したはず。


 もう一人は、瘦せ型の物静かな印象の男性。


 その二人に両脇から挟まれる。


「アレ? イメチェンした?

 いえ、話は後にしましょう。

 パーティー申請を受け取って。

 私たちのギルドホームへ飛びます」


 ニケさんからパーティー申請のウインドウが表示される。YESを選択。



 次の瞬間、転移で景色が変わっていた。


 目の前の建物には、『クラウディオス』と言う看板が掛かっており、『本日、加入者受付中止』と、ドアに張り紙がしてあった。


 ニケさんがドアを開けると、中から「おかえなさーい」と何人かの声がする。


 次いで、痩せた男が入り、促されるままオレも続く。

 後ろに、左之助さん。


 中はカウンターがあり、その奥に階段がみえる。

 左右がホールの様になっており、椅子とテーブルがある。

 何人かのプレイヤーの姿もあった。

 「あれ、鎖のヤツ?」「マジか」「ウチに入るのか」などと聞こえてくる。


 ニケさんたちは構わず二階へ登っていく。


 と、左之助さんが、

「んじゃ、オレはここで。

 挨拶が遅れてすまない。槍使いの左之助と言う。

 宜しくな。ジン君」

 と、言って握手してくる。

「宜しくお願いします。ジンです」

「今度、手合わせしてくれ。じゃな」

 そう言い残し、他のプレイヤー達の方へ去っていった。


 オレはニケさん達を追いかけ、階段を上る。



 そして、二階の一番奥の部屋に通された。


 その部屋は、中央にテーブルと二対のソファ、その奥にテーブルが置かれていた。


「急にごめんなさい。

 そこへ座って。

 今お茶を淹れるわ」

 と、ニケさんがソファを指差し、ドアから出て行った。


「初めまして。

 ギルド、クラウディオスのマスターをしている、クロノスです。

 闘技大会、準優勝おめでとう。

 まぁ、座って。

 今日は、主にニケが色々聞くと思うが、私が無理を言って、ここに連れてきてもらったんだ」

 クロノスさんは、机の方へ腰を掛ける。


「初めまして」


 と、挨拶を交わしたところでニケさんがポットとカップを持って戻って来た。


「もう自己紹介はおわったかしら?」

 と言いながら、カップにお茶を注ぎ、オレとクロノスさんに配る。


「さて、色々と聞きたい事があるのだけれど、まずは、昨日の初戦の事かな。

 モーリャーのこと」


 あ、そう言えば試合前にそんな会話をしたな。


「うーん、何と言うか、まぁ個人的な恨みがあったのは確かです。

 ギルドとして、許せないと言うのはわかりますが、謝罪とかはするつもりはありません」


「その、個人的な恨みと言うのは、聞いてもいいかな?」

 クロノスさんが静かな口調で聞き返してくる。


「オレ自身、裏を取った話ではないんですが、彼は闇のギルドから依頼を受け、オレの仲間が受けた冒険者ギルドのクエストを妨害しました」


「闇のギルド? まさか、ルノーチの?」

 ニケさんが信じられないと言った様子で呟く。


「ふむ。

 やはり、闇落ちしてたか」

 と、クロノスさん。やはり?


「ニケ、その件は心当たりがある。

 ちょっと僕が預かろう。

 で、ジン君、そういった個人的な理由であれば今のところ、ギルドとしては二人の諍いに介在するつもりは無い。

 君はどう思うかわからないが所詮しょせんは、ゲームだ。

 好きなようにプレイすれば良いと思っている。

 ただし、大多数が迷惑と思う様な行為はこのギルドの望む所では無いと思って欲しい。

 ギルドメンバーが、そう言う行いをした場合は当然除名もありうる」


「好きにプレイすれば良いに関しては同意します。

 それが、此方こちらに害を為すならば、僕は相応の手段に出ます」


「やり方を間違うと、余計面倒な事になるわよ。

 その前に、誰かに相談する方が良いと思うわ。

 ……私とか」



「ま、この話はこれで終わりだな」

 重くなりかけた空気をクロノスさんが和らげる。


「そうね。

 さて、本題。

 今さっき、発表された瞬間移動含めて昨日使っていた謎スキル、話せる範囲で良いので聞かせて!」


 やはりな。

 ぐいっと近寄らせたニケさんの顔には、好奇の色がありありと見て取れた。


「すまない。実際の所、我々の所にもギルド内外から色々と問い合わせが来ていてね」


 なるほど。

 有力ギルドの幹部、そして攻略組としてそれなりに名が通っているであろう二人だ。

 おそらくそれなりの人脈、情報網をゲーム内に持っているはず。

 条件不明のスキルとなれば、あれこれ探りを入れてくるプレイヤーも中にはいるのだろう。


「わかりました。何から話しましょうか?」


 その後、ニケさんに問われるままに、術式分解による魔法強化、技能融合の説明、先程の運営との単独会談などを簡単に説明した。




「と、いう感じですかね。

 で、スキルの取得条件ですが」

「ストップ!」

 それまで矢継ぎ早に質問をして来ていたニケさんが、一番知りたいであろう所で話をさえぎる。


「それは、聞かない事にする」

「はあ」

「いえ、本心ではとっても知りたいの。

 そして、知ってしまったら公表したくなる!

 普通のプレイヤーでは取得が難しいと予想出来る。

 だから、私は可能な限り協力者を募って検証すると思う。

 でも、それだと君に申し訳が立たないと思うから、聞かない!」


 言わんとしている事は分からなくも無い。


「もし、君が公表する気があるのなら自分で発信して欲しいし、誰かに聞かれて、教えるのも君の自由。

 でも、私は今は聞かない!」


 ニケさんが、自分に言い聞かせる様に繰り返す。


「まぁ、この決意が来週まで保つかわからないけどね」


 クロノスさんが横から口を挟む。

 ニケさんが、思いっきりジト目を送るが構わず続ける。


「僕としては、ジン君がスキルと引き換えに何を運営から貰ったかが気になるね」


「何も貰ってませんよ」

 苦笑しながら答える。実は、あの時はああ言ったが、ちょっともったいない事をしたかなと、軽く後悔している。


「「え?」」


 二人が、さも意外だと言う顔をする。


「いや、正確には、AIに掛けられた呪い、それを解除してもらったんですけどね。鎖の装備」


「それだけ?」


「ええ。

 まぁ本来解除出来たかどうか、わからない代物だったので、オレ的には大分ありがたいんですよ。

 これでやっと普通に防具が装備出来る様になりました」


 ……あれ? なんか、おかしくね?


「防具装備って……普通に出来ることよ?

 マイナスがゼロになっただけじゃない!」


 ですよねー。

 ヤバい、これ以上この話題続けると悲しい気分で一杯になりそうだ。

 多分、あの時のオレは運営責任者なる人物が、目の前にいると言う高揚感に浸りきっていたのだと思う。


「い、いや、ほら、運営が説明してた様に、バク技、チートスキルだったんですよ。

 それと、交換に同程度の物を与えられても、結局、それってチートじゃないですか」


 ……ニケさんが、ポカンとしている。

 口、空いてますよ。


「なるほ……」

「スゴイ!!」


 何かを言いかけたクロノスさんを遮りニケさんが、大声を上げる。


「何、その潔さ!

 バカなの?

 死ぬの?」


 失礼な。

 ただ、言葉とは裏腹に、ニケさんはとても嬉しそうだ。


「もう、何なの!?

 ちょっと……いえ! かなり格好良いじゃない!」


 オレの方へ身を乗り出して、そう言い切った後、ソファにゆったり座り直す。


 突然、『バン』と大きな音が響く。


 クロノスさんが左手を机に叩き付けた様だ。

 立ち上がり、オレを睨みつけ、叫ぶ。


「宜しい! ならば決闘だ!!」


 ハイ?

 どうした? 突然。


 オレはニケさんに救いを求め、顔を向ける。

 が、目があった瞬間、すっと目を逸らされた。


「これは、男と男の意地を賭けた勝負だ!」


 何ですかね。この人。

 再び、ニケさんに目を向ける。

 彼女が、クロノスさんを見る目は……諦観?


「さあ! 僕と立ち会え!」


「ちょっと、何言ってるかわかんないです」


「何を言う! 逃げる気か?」


 なんか、落ち着いた物静かな人だと思ったんだが、どこかで変なスイッチ入ったんだろうか。

 正直、面倒くさい。



 オレが対応に苦慮していると「トントン」と、ドアをノックする音がする。


「……どうぞ」


 ニケさんが立ち上がり、声を掛ける。


 ドアが少し開き女性プレイヤーが顔を出す。


「あの、どうしても此処ここに通せと言うお客様が」


「誰? 今日はメンバー以外は立ち入り禁止よ」


「そう、伝えたんですが、あ」


 ドアが大きく開かれ、客であろう人物が入ってきた。


「失礼する」


「貴方……」


 ニケさんが絶句している。

 クロノスさんにしても、予想外の事であった様で、驚きの表情を浮かべている。


「少し、乱暴な訪問になった。すまない」


 訪問者、それは闘技大会優勝者、二式葉にのはだった。


「貴女はもう下がっていいわ。ありがとう」


 ニケさんが案内をして来たプレイヤーに声を掛けながらドアを閉める。


「随分と珍しい人が来たわね。何の用?」

「ここに、鎖の男がいると聞いて来た」


 オレ?


「僕の部屋は、待ち合わせ場所では無いのだがね」

「二式葉、貴方はジン君に用事があってここに乗り込んで来たの?」


 クロノスさんの抗議は当然だ。


「他に方法が無かったからな。

 何だ、イメチェンでもしたのか?」


 と、オレの方を向きながら言う。


「まあ。何か?」


「ちょっと! ジン君は私達のお客様。私達の用事が終わるまで外で待っていて欲しいわ」


「ふむ。後どれくらいかかる?」


 オレの方を向きながら言う。

 何故、オレに聞く。


「さぁ? 後、用事は何でしょう?」


 ニケさんに振る。


「僕との決闘だ!」


 クロノスさんが答える。

 ち、覚えてたか。


「ほう、決闘か。それは、是非拝見したい」


 野次馬が増えた。

 もう、面倒くさいなぁ。


「決闘って言っても、どうするんですか?」


「闘技場に行けばプレイヤー同士でバトルが出来る。

 観客も招待制で限定して!」


「それじゃ、今から行きましょう」


 クロノスさんに向かって言う。

 どうしてこうなった?

 さっさと、終わらせよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作もよろしくお願いします。
サモナーJK 黄金を目指し飛ぶ!
https://ncode.syosetu.com/n3012fy/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ