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136.聖剣を手に

 スランドの後に付いて、ルノーチ城内を静かに走る。


 聖剣を確認するために、城内に入る。

 スランドが提示してきた方法は、『侵入』。


 うん。バレたら普通に重罪です。


 普通に、正面から謁見とか出来ないか?

 そう、文句を言ったが、許可が下りるまで時間が掛かるとのことで却下された。


「この先が王座の間、そこに聖剣がある」


 時間は真夜中。廊下には明かりもなく真っ暗。

 今、目の前にある扉には、昼間であれば、豪華な装飾を目の当たりにすることも出来るのであろうが、今はただただ、空間を遮る障害物でしか無い。


 スランドが、素早く鍵を取り出し施錠を解除する。


 あの鍵も無断拝借なのだろうな。


 そして、人一人通れるだけの隙間を押し開け素早く中に身を滑り込ませる。

 オレも、それに続く。


 王座の間。


 微かな月明かりが差し込み、王座と、その後ろの台座に聖剣が横渡っている。


 扉を閉め、再び鍵をかける音が背後から聞こえる。


 オレは、静かに聖剣に近づきながらメニューを操作。

 月子さんを呼び出す。


『はい』


「プリス、起きてますか?」


 声を殺し、尋ねる。


『隣りにいるわ』


「こちらに呼びます」


『了解』


 通信を切り、聖剣の前に立つ。


 そして、月子さんに預けあったプリスの従属を解除。


 隣に、寝間着姿のプリスが出現する。


 事情は既に話してある。


 プリスの顔を見て、小さく頷く。

 プリスも、頷き返す。


 珍しく、真剣な表情だ。


 聖剣と言う名にふさわしい、その鍔は大胆に、且つ、細かな作りこみが成されている。

 モチーフは、星であろうか?

 柄頭には、丸い宝石がはめ込まれている。


 そして、鞘に包まれたその剣身。

 幅30センチ、長さは1メートル50センチ程。

 規格外の大剣。


 うん。

 あのマッチョな神様が作りそうな武器ですね。


 持てるかなぁ。物理的に。


 覚悟を決めて、聖剣の握りに手を掛ける。


 片手で、持ち上げ、頭上高く掲げる。

 なんて事を思い描いていたんだが、現実は厳しい。


 両手で持ち上げ、台座から下ろす。


 そしてそのまま腰だめに構える。


 それが、限界。

 重さで腕が、プルプルする。


 そのまま、なんとか振り返る。


 驚いたことに、プリスが両膝を付き、両手を祈るように組んでいた。


「我が主よ。その力、正しくお導き下さい」


 祈るように、そう言った。


 こうも、かしこまられるとは。

 だが。


「プリス、この剣は贋作にせものだよ」


 オレは、彼女に真実を告げた。


 アイテム:【聖剣バリアクス・模造】#ランク9

 英雄が使いし聖剣を模造し作られた剣。

 その切れ味は聖剣に勝るとも劣らない。


 これが、すなわちジャンヌが諦めた理由であろう。


 見破れたのは、【覚醒】のお陰か、【完全装備】のお陰か。


 オレは、聖剣を台座に戻す。


「スランド、聞いた通りだ。一度戻る」


「ああ。後の処理は任せてくれ」


「詳細は送っておく」


 そう言い残し、オレとプリスは月子さんの家に転移した。




 月子さんの家で、事情説明。

 リィリーも同席。


「偽物って、どういう事?」


「誰かが、すり替えていたんだろう。

 第一、大事なものならあんな目立つところに堂々と置いておく方が不自然だ」


「全然、知らなかった」


 プリスが、落胆するように言う。


「多分、だいぶ昔からじゃないかな」


 ざっと見た限りではあるが、長らく動かされた形跡は無かった。


「ひょっとしたら、最初から」


「じゃ、本物は何処にあるの?」


 それなんだよな。


 考えられるのは、城内のどこかに隠されている可能性。


「力、扱えし者は我の前に現われよ」


 プリスが、そう呟いた。


「何それ?」


「エアス様が、死ぬ前に言った言葉。

 語り継がれた言葉。

 でも、意味は、誰も教えられてないの」


 我の前に、ね。

 そう言えば、テルファとか言う人が死の国へ行ったんだっけ?

 まさか、そこまで会いに行けっとことか?


 しかし、プリスは別の事を考えたようだ。


「ジン!

 お墓に、行こう」


 え、城への不法侵入の次は墓荒しですか?

 いや、しかし言わんとしている事はわかる。


「ルノーチの教会?」


「違う。

 北。関所のもっと先」


 それって。


「関所って、通れないんじゃなかったっけ?」


「それを何とかするのが、ジンの役目!」


「は、はい」


 プリスの力強い言葉に押し切られてしまったが、なんとかって、どうすれば良いんですかね?

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