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132.孤独な戦い

 絶え間なく湧き続けるモンスターを淡々と始末していく。


 ただそれだけ。


 そう言えば、ゲーム初期に初心者迷宮でも、同じ事をしていたなぁ……。


 何て、感想は初日に吹き飛んだ。


『飽きる』


 その、二式葉の言葉を実感している。


 幸い、敵はそれほど強くない。

 しかし、アイテムによる回復手段が有限である以上、戦い方は限定される。

 レベルアップによる、HP、MP回復も有るのだが、タイミングが掴みづらいので当てに出来ない。

 必然、溟剣(クリスタルブレード)だけを使用した攻撃になる。

 そして、敵の攻撃は喰らえ無い。

 全て避けるか、溟盾(クリスタルシールド)で防ぐ。

 鬼門は、範囲魔法攻撃。

 今のところ、強化バフの恩恵もあり、極めて軽微なダメージ量だが、積み重なると無視できない。


 死に戻り上等の初心者迷宮とは緊張の度合いがまるで違う。


 これを、72時間……。


 気が遠くなる時間だ。


 肉体的な疲労が蓄積されないのが唯一の救いか。

 その分、脳には負担がかかっているが。


 一日5時間!とか机上の空論だった。


 初日は、1時間、そしてインターバルは挟んで2時間の計3時間で引き上げた。




 戦闘を継続させ、何とか一週間が経った。

 今日で丸24時間経過する見込みだ。


 既にモチベーションは最低。


 白一面の空間とモンスター。


 ただただ、飽きた。


 でも、気を抜くと死に戻る可能性があるので気が抜けない。

 時間経過と共に敵のレベルが徐々に上がっている。


 苦行。


 これで無駄骨だったら泣こう。

 そうしよう。

 そしたら、リィリーは慰めてくれるだろうか?

 ……くれない気がする……。


<ポーン>


 ん、システム音。


<連続戦闘24時間経過>


<称号:村の勇者を獲得しました>

<継続戦闘ボーナスとしてSP10獲得しました>


 おぉ。

 苦労が報われた。


 全体攻撃魔法で周囲の敵を一掃。

 素早くメニューを開いて称号を確認。


 称号:【村の勇者】

 魔物から村を守った名も無き勇者の再来。

 その勇敢な戦いは一昼夜続いたと言う。

 【不屈】取得可。


 追加取得可能スキルが増えた。


 急いで確認。


 スキル:【不屈】#必要SP50

 HPが0になる攻撃を受けた時に一度だけ耐える。


 おお!

 願ってもない!

 ノータイムで取得!


 よしよし。

 後、48時間だ!

 ……まだ半分も来てないのか……。




 次の区切りは、それから四日後。


<ポーン>


 変化のない戦闘の中、システム音だけがオレの救い。

 モンスターの絶叫とか、聞き飽きた。


<連続戦闘48時間経過>


<称号:辺境の救世主を獲得しました>

<継続戦闘ボーナスとしてSP20獲得しました>


 素早くメニュー操作。


 称号:【辺境の救世主】

 魔物の軍勢を退け、救世主と呼ばれた若者の再来。

 苛烈な戦いは二度の朝と夜を超え続いたという。

 【信頼】取得可。


 スキル:【信頼】#必要SP70

 味方のステータス値増、取得経験値増


 ん、微妙。

 一旦保留で。


 だって、今、味方なんていないんですもの!

 プリス連れて来れば良かった。MP管理がしんど過ぎる。


 しかし、孤独な戦いは続く。

 残り三分の一。




 あと少し……。

 あと少し!


 ……。

 ……。


<ポーン>


 来た!

 あれから更に四日後。


<連続戦闘72時間経過>


<称号:英雄騎士を獲得しました>

<継続戦闘ボーナスとしてSP30獲得しました>


 遂に、三日間やり遂げた!

 長かった!


「ミノさん、ちょっとだけ任せる!」


 今日で最後。

 大盤振る舞いで、切り札のミノさんも召喚済み。


「ブモッ!」


 さてさて、二週間に渡る苦行の成果は?


 称号:【英雄騎士】

 魔人を駆逐し、後の英雄となる若き騎士の再来。

 三日三晩戦い抜いたと言う。

 【完全装備】取得可。


 スキル:【完全装備】#必要SP100

 武器防具装備制限解除


 これっぽい!

 聖剣が装備出来た理由!


 ノータイムで取得!


 よし、目的は達成した!


 後は、聖剣の前に行ってスキルを試すのみ。


 ……なんだが、この先どうなるのかね?


 一日、24時間経過毎に、称号とスキルが手に入る。

 レベルも順調に上がって、92まで伸びた。


 もう少し、続けても良いんじゃないか?

 もし、4日目にこれ以上のご褒美が有るとしたら?


 確かめたい。

 余力はある。

 気力さえ続けば、何とか。


 全然連絡の取れてないゲーム内が気になりはするものの、鹿島さんからは異常無しと来ている。

 幸い、リアルは春休みに入った。


 ここでの24時間に、一週間かかるということは無い。


 今、慌てて戻ったら今までの72時間が勿体無い。

 そんな風に思えてきた。


 よし!継続だ!

 追加で24時間!

 行ってみよう!




<ポーン>


 追加の三日目!


<連続戦闘96時間経過>


<称号:戦神の再来を獲得しました>

<継続戦闘ボーナスとしてSP40獲得しました>


 称号:【戦神の再来】

 神話の時代。

 悪神との戦い。

 戦神は休むこと無く先頭に在り続けた。

 その間、夜の神が四度訪れた。

 【覚醒】取得可。


 スキル:【覚醒】#必要SP150

 全スキル効果向上


 よくわからんが、強そう! 取得。

 じっくり、メニューを眺めている余裕が、無い。


 敵の数も、強さも格段に上がっている。

 ただ、落ち着いて捌けばまだ行ける。


 そう、まだ行ける!


 目指せ、120時間!




<ポーン>


 更に二日間。


 敵は魔人らしきものの集団になっている。

 対するオレは、既に切り札の霊体と化している。


 しかし、【覚醒】の効果は素晴らしく気配察知の性能は確実に向上している。

 範囲魔法の不可避な一撃さえ、貰わなければ……。


 中断後ログイン直後の魔法直撃。

 悔やまれるミス。


<連続戦闘120時間経過>


<称号:全てを討ち滅ぼす者を獲得しました>

<継続戦闘ボーナスとしてSP50獲得しました>


 周囲の敵を一掃しつつ、隙を見計らいメニューを確認。


 称号:【全てを討ち滅ぼす者】

 その者の前に敵は居ない。例え神であろうとも。

 【討ち滅ぼす力】取得可。


 スキル:【討ち滅ぼす力】#必要SP150

 与ダメージ増大


 リポップを警戒しつつ、素早く取得。


 しかし、今まで絶え間なく湧き出ていた敵が一向に現れない。


 これで、終わりか?


 いや、違う。


 空間の中心部。

 そこに黒い霧が集まりだしている。


 今までと違う、何かが来る。


「グアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」


 中心から光がぜ、それと共に部屋に咆哮が響き渡る。


 闇色の鱗に覆われた体躯。

 頭から後ろに張り出す巨大な角。

 爬虫類の様な縦長の瞳孔を持つ目。

 鋭い牙、そして爪。

 蝙蝠のような巨大な翼。


 どこからどう見てもドラゴン


 プラムには申し訳ないが、その威圧感、迫力、そしてサイズ。

 その全てが比べようもなく……。


 モンスター:【魔竜ヴナグア】LV:200

 かつて人々を恐怖に陥れた魔竜。

 人を好んで食べる為魔竜と名付けられた。


 っは!

 こっちはレベルカンストですぜ!

 それを軽く上回って来やがる。


 ま、レベルが見えるだけでも有り難いのかね。


 討ち滅ぼす力とやらの性能、こいつで試し切りだ!





 竜のHPバーは残り二本.

 最初は十本だったから八割ぐらいは削ったか。


 しかし、ここまでだな。


 片目を潰された竜は、怒りに身を任せるようにブレスを履き続けている。

 オレは壁を背にし、周囲に溟盾(クリスタルシールド)を展開しそれを防いでいるが、高熱のブレスの盾の表面は融解を始めている。


 こんな、狭い空間でブレスを吐かれたら、逃げ場なんてありませんよ。

 もう、反撃に出る余裕は一切無い。

 MPが切れるのが先か、盾が溶けるのが先か。


 クソー。

 いつかリベンジしたいな。

 しかし、こいつに会う為に120時間か。

 もう、機会は無さそうだな。


 そんな事を考えながら、オレは実に二十日振りに月子さんの家に死に戻った。


 死に戻ると同時に大量のメッセージが届いていたが、全てを明日にしてログアウトした。

 疲れた。

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サモナーJK 黄金を目指し飛ぶ!
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