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107.新装備

「……お弁当にしようか」


 昨日、二式葉にリベンジを誓い、狩りに出て、本日も引き続きレベル上げ。

 ひたすら狩り続ける。


 場所は、主に西の端。


 オレのレベルは62、リィリーは74になっている。

 ただねぇ、正直飽きた。


「そうね」


 周りの敵を一掃した所で休憩。

 月子さんお手製のお弁当を広げる。


 結局、あの二人も昨日コハの家に戻って、今日はのんびりと過ごしているようだ。


「ただただレベル上げるのって、大変ね……」


 リィリーがおにぎりを咥えながらポツリと漏らした。


「まぁ、ねぇ」


 とは言え相手はレベル100。

 その差を埋める為にはひたすら経験値稼ぎをするしか無いわけで……。


 他にも目的があれば違うのだろうが。

 例えば、レアドロップ狙いとか。


「更紗に相談してみようか?」


「え?」


 提案が唐突過ぎた。


「装備も新調しよう。その為の素材集めがてらレベル上げでどう?」


「なるほど。そうしましょう。

 じゃ、食べ終わったら一度ルノーチね」




「ふーん。大体、話はわかった。ちょっとまってね」


 Creator's Homeで更紗を捕まえて、装備作成の相談。


「うーん、こんなもんかなー。リィリーの分は、一式新調できるよ。その分レアアイテムどっさり必要だけど。一応入手場所もメモしておくね。あ、手袋はそれで良いよね?」


「うん。ありがとう!」


「で、ジンの方は、ちょっと難しいな。最初に言ったと思おうけど、それ、試作品とは言いつつ結構気合入れて作ってるから、新調しても性能がそんなに良くならない。

 で、更に上だと、こんな素材が必要になるんだけど……」


 そう言って、仮想ウインドウを広げる。


「なにこれ? 竜の鱗?」

「そうなんだよねー」

「今、竜って確認されてるんだっけ?」

「まだ。去年出現騒ぎがあったけど、結局ガセだったみたい」

「つまり、現状入手不可能、てわけ?」

「うーん、ドロップアイテムじゃないかもね。NPCとのトレードとか」

「……短期間じゃ無理っぽいのはわかった……」

「ま、なんか情報あったら教えるよ」

「了解。しかし、ドラゴンかー」


 三人がカウンターに座っている桜の方に目をやる。


「いやいやいや」

「流石にねー」

「それは、まずいわよ!?」


 桜がこちらに気付いた。


「ん? 何か用ですかー?」


 プラムの、鱗をくれなんて流石に言えない。


「なんでもなーい」



 次は、武器か。

 カウンターに立つ海猫さんを呼ぶ。


「いや、今のとこ大した強化は出来ないぜ?」


 予想通りの返事。


「いや、まて。そういや、サバイバルイベントの賞品あるだろ? アレどうした?」


 あ、忘れてた。


「これと、これですね」


「ほー。オーパーツの方は初見だな。何が出来んだろうな。これ。

 巨人の涙の方は、氷系の属性攻撃力が上がるはずだ。

 オリハルコンナイフの強化に丁度良いんじゃないか?」


「いいなー」


「じゃ、一度両方預けますよ。オーパーツの方、使いみちわかったら教えて下さい」


「おうよ。じゃ、ナイフも預かろう。明日までには終わらせとくぜ」


「助かります!」




 翌日。

 月子さん宅でログイン。


 この世界の事は、この世界の住人に。

 そう思って、リビングにいたプリスに、竜の存在を聞くが、知らないと即答される。


 ただ、テルファと言う人が死の国で竜と戦ったと言う伝承が存在するらしい。

 テルファってのは、イズクモで聞いた夜と死の神の神使か。

 今度、教会に行ってみるか。


 そんな話をしているうちにリィリーがログインして来たので、一緒にCreator's Homeへ。


「どうだ? いい出来だろう?」


 柄が大きいと言う以前の形そのままに、しかし、刀身の色が、微かに青みがかったナイフだった。


 アイテム:【ブリザードナイフ】#ランク5 製作者:海猫

 オリハルコン鉱をベースに巨人の涙をコーティングしたナイフ。

 氷魔術に高い親和性を持つ。

 物理攻撃値:41

 重量:11

 INT:18


「さすがっす」


 言いながら、ナイフを手に取る。

 問題なく手に馴染む。


 溟剣を発動。


「おおお!」


 黒いオーラを纏う氷の刀身。その奥にあるナイフの刃が、微かに青い光を放っている。

 光と闇が両方備わり最強に見える!!


「かっけーっす!」


「ほー。こりゃ予想外だったな」


 光る刀身をみて、驚く海猫さん。

 大満足。

 ロマン武器、再び!


「で、オーパーツの方なんだがな、特性が分かった」


 そう言って、海猫さんはオーパーツを取り出す。


「これは、文字通り、コイツが移動する。

 まぁ、見てな」


 そう言って、オーパーツを放り投げた。

 音も立てずに床に転がる、オーパーツ。


「念じると……」


 床に転がったオーパーツが消え、海猫さんの手に一瞬で移動していた。


「ほー。戻ってくるわけですね」


「それだけじゃない」


 そう言って、両方の掌を上に向ける。右にオーパーツが乗っている。

 オーパーツが一瞬で左の掌に移動する。


「……手品みたいですね」


「人には使えないが、例えば投げナイフなんかは、投げた後手元に戻したり出来そうだな」


「うーん、オレには無用の長物ですかね。武器投げる戦い方しないんで」


「だろうな。まぁ、一回返すから使い道思いついたら教えてくれ」

「了解です。ありがとうございました。

 リィリー、終わったよ。行こう」


「ハーイ」


 カウンターでお茶を飲んでいたリィリーに声を掛ける。

 今日から、レベル上げ兼レアドロップ狩りだ。




 それから五日間。

 レアドロップ目当てであちこちへ狩りに行った。

 苦も無くポンポンとレアドロップが落ちて拍子抜けしていたのだが、どうやらリィリーも【幸運】スキルを習得していたらしい。

 役に立ってるんだな。あのスキル。


 更紗から、提示されたリストをみたら丸二週間掛かると思ったんだけどな。

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サモナーJK 黄金を目指し飛ぶ!
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