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106.リベンジ

「なるほど。

 で、どうするの?これから」


 スランドから聞かされた話をざっくりとリィリーに説明した。


「どうする……って、急に言われてもな……」


 リィリーに説明をして、幾分冷静になれた。


「何で? やることは一つでしょ?リベンジ。

 その為にレベル上げ。

 簡単じゃない」


 リィリーが、少し怒りながらそう言い切った。

 何で、怒ってるんだろう。


 闘技場の上で、二式葉と話をしていたみたいだけど、なにか言われたか?


「何で、怒ってるの?」


「怒るわよ! 悔しくないの?」


「悔しいけど、絶望的な差を感じたよ。あと20日かそこらでどうにかなるか?

 ならないだろう……」


「なるわよ!するの!」


 ここまで激昂しているリィリーは珍しい。


「でも」


 どうやって?

 そう言おうとするオレをリィリーが遮る。


「でも、じゃない!

 ジン一人の問題じゃないの! わかってる?

 聖剣を守ることは、プリスを守ることでもあるの!

 あんな小さい子が本当に命がけで、ご先祖様の遺言なんかに従っている。

 万が一、聖剣が奪われたらあの子はどう思う? 何をすると思う?

 絶対に取り戻しに行くって言うわよ。

 でも、どうやって?

 あの子、自由に動き回れるわけじゃないのよ?

 ジン、最近ずっとあの子を月子さんに預けっぱなしじゃない。ちゃんと考えなさいよ!

 あの子を生き返らせるって、その目的はどうしたの?

 生き返った時に、魔王が復活した世界でいいの?

 そんな世界になったら、あの子はどう感じると思ってるの?」


 そこまで、一気にまくし立てて、そして黙りこむ。

 オレの反応を待っているんだ。


 確かに、暫くプリスを預けっぱなしにして、そして、楽しそうにしている、まるで本当の親子みたいな二人を見ながら、このままでも良いのかな、と思ったこともある。

 ただ、それはやはりダメなんだな。

 プリスは、好き勝手動いているように見えるが、決して他のNPCと同じように自由に行動できるわけではない。

 生き返らせる方法は、未だ見つかっていない。

 だったら今オレが、すべきことはプリスの代わりに、あの子の背負った宿命と言う呪いを肩代わりすること、か。


『リヴ・ビアーシェはこれを守り継ぐ。

 命尽きようとも』


 プリスの声が脳内に蘇る。


「そうだな。リベンジだ。その為には、強くならないと」


 もう一度、二式葉に挑んで、そして、打ち負かす。

 そうしなければ、あの二人は、オレを計画に加えないだろう。


「よし、よく言った。

 そうと決まれば、旅行は中止ね。

 月子さんとプリスに謝りに行くわよ」




 二人は、甘味処でわらび餅を食べていた。


「あ、おいしそう。私も!」


 あれ、リィリー、さっきの剣幕はどうした?


「それで、どうだったの?」


 注文を終えたリィリーに月子さんが尋ねる。


「二人共、ボロ負けです!悔しくて仕方ないので、これから修行に出ます。

 なので、私達は、ここで一旦お別れでいいですか?」


「あら、そう。それは残念。

 でも、良いわよ。

 その代わり、次は勝つのよ」


「折角の旅行なのに、本当に、ごめんなさい」


 二人で頭を下げた。


「良いのよー。うーん、青春ね」


 青春とはちょっと違うような……。


「ジン、私も一緒に行く?」


 プリスが、そう尋ねてきた。

 回復役は欲しいが……。


「いや、一人で二式葉を倒せるくらい強くならないといけないんだ。

 だから、プリスの力は、借りない」


「ふーん。まぁ、何かあったらすぐ呼んで。今のジンより私のほうが強いから」


 ……こいつ。

 いや、しかし、そんな事無いとも言い切れないぐらいの能力値なんだよな……。


「まずは、プリスより強くなるよ。

 という訳で、月子さん引き続きよろしくお願いします」


「はい、任されました!」


「それと、あんまり餌を与えないで下さい」


 月子さんだけに聞こえるように、そう付け加えた。


「えー、でも、美味しいものは別腹って言うじゃない?」


 言わない。

 それを言うなら甘いものは、だ。




「それ、食べ終わったら行くよ」


「ダメ。おかわり」


 何度目だ!?


 プリスと月子さんは、既に次の店に梯子している。


「それに、今から狩りに行ってもすぐとんぼ返りよ」


「それもそうか。インターバル後に出直しだな。

 その間に、この辺りで効率いい狩場調べておくか」


「それとも、他のボスも倒してくる?」


「いや、狩場次第だけどレベル上げを優先しようかな。ボスは万全で挑んでボーナス狙いで行きたい。

 で、レベル上げって、一緒に行くで良いんだよね?」


 彼女の挑発スキルがあると無いとでは、効率がぜんぜん違う。


「もちろん! でね……」


 おかわりを平らげたリィリーが、少し恥ずかしそうに俯く。


「何?」


「んー……」


 モジモジすんな。可愛いだろうが!


「どうしたの?」


「もう一軒! あんみつも食べたい!!」


 ……そうですか。

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