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93.乗り換えの相談

「おい、佐倉、聞いてんのかよ?」


「あ、すまん。何だっけ?」


 朝から倉本が、何か言っていたが、全く耳に入っていなかった。


「放課後、隣のクラスの長谷川が話したいって。

 お前、顔緩んでるぞ? 気持ち悪い」


 いかんいかん。


「ん、長谷川? 何で?」


「そっちに乗り換える相談だと」


「あ、ああ、あれか」


 すっかり忘れてた。


「そういう訳だから、伝えたぞ」


「お前も来いよ。あと秋元も」


「二人でデート気分のほうが良いんじゃないか?」


「勘弁」




 放課後、長谷川に呼び出されたハンバーガーショップ。


 倉本と秋元も巻き込んだ。

 ついでに田中も、付いてきた。


「で、何の相談でしょう?」


 席に座って、そう切り出す。


「昨日も、言ったんだけど、私もC2Oに乗り換えようと思ってまして……」


「そうですか。頑張ってください」


「はい。頑張ります……」


 以上。


「お前ら、話し方ぎこちなくね?」


 倉本が、呆れたように言う。


 いや、だってさ、しょうがなくね?

 まぁ、告白云々の事情は目の前の長谷川が言ってない限り、誰も知らない訳だが。


「でもさ、なんで長谷川はアカウント作りなおすことにしたの?」


「昨日、佐倉達が、闘技場で戦ってるの見てすごいなーと思って」


「それだけなら、わざわざアカウント作りなおす必要まで無いと思いますが」


「いや、でも、すごかったんだよ。特に佐倉。AGI極振り? でも、魔法剣で戦ってるし。かと思えば、除霊までしてるし。スキルが多彩過ぎるよ。WCOだと絶対無理!」


「長谷川さん、こいつは特別だから」


 秋元が、オレの肩にポンと手を置きながら言う。


「確かにね、スキルは好きにセットできるから、その分、いろんなことが出来る。

 でもね、大抵器用貧乏で終わるんだよ。

 佐倉だって、基本魔法職だよな?」


「うん。そうね。昨日も最後一撃で死んでたでしょ? 近接やってるけど紙防御の綱渡りだからね」


「それにね、あれも、これもって手を出し始めると、SPが足らなくて何も出来なくなるし。

 そういや、疑問だったんだけど、お前SP管理どうしてんの? レベル帯より、全然スキル多いだろ?」


 オレ?


「そうか? なんだろ。ボス討伐でボーナス狙ってるからかな」


「ボーナス?」


「ソロ討伐とか、パーフェクトボーナスとか」


「お前……それ、狙って出来るもんじゃないだろ。いや、狙わないと出来ないんだけど」


 秋元が呆れたように言う。

 話がずれて来てるぞ。


「と言う感じで、こいつに関しては、常識外なんで参考にならないんだけど、それでも乗り換えるなら最初のサポートはウチのギルドがオススメ」


「そうそう。ウチならレアアイテムのお陰で、序盤のレベル上げが、捗るから!」


 ま、そのレアアイテムもオレが託したやつだけどな。


「氷の剣とか、炎の鎌とかは、簡単に出来ます?」


「あれは、結構大変」


 そうなの?


「そうなんですか?」


「と言っても、単純に根気が居るってだけ。

 淡々と、雑魚敵を千体倒す必要があるからね。

 因みに、田中は諦めた。

 もちろん、無くても一線級には行けるんじゃないかな。

 あったら便利だし、楽しいのは確かだけど」


「千体……」


「まぁ、誰かと一緒にやってれば結構直ぐだけどね」


 オレは、一人で淡々とやってた。

 しかも、そこにご褒美があると知らずに。


「その辺、序盤のチュートリアル的なのは掲示板とかにもよくまとまってるから見ると良いよ」


「わかりました」


「ん、乗り換える流れになったのか。今」


 倉本がポテトを食べながら言った。


「お前も来いよー」


 田中が手招きのジェスチャーをする。


「いや、しかし、こっちはやっと竜騎士の転職条件に手が届き始めたとこなんだよなー」


「最上位ジョブ? すごいね」


 その凄さがいまいち伝わらないのはC2Oの三人。


「そう言えは、昨日ドラゴン居たね」


「あー、桜ね。サモナーさんの召喚獣」


「サクラ? あ! サクラさん? そっか、だから昨日! ごめん!!」


 話がいまいち伝わらないのは男子三人。


「ドラゴン、戦争の時も居たな。飛んでたやつ?」


「オレ、乗ったぜ!」


「マジか!?

 どうだった?」


「ヤバイ! 開放感マジヤバイ!」


「いいなー。それを目指してんだよ!

 そうか、そっちだとサモナーって手があるのか」


「そっちのサモナーはダメなのか?」


「こっちのサモナーはスキル構成、まんま魔法職だし、召喚リストにドラゴン無いしな」


「召喚リストとか出まわってんだ」


「ああ。割りと序盤から、隠し含めて職業の転職条件、取得スキル、取得魔法とか全部判明してた。

 多分、内部のリークだな」


 へー。


「倉本的に魔法職はダメか?」


「やっぱ近接だろ!」


「因みに、楓というサモナーは格闘家で前回の闘技大会優勝してる」


「そうか、あの子もサモナーか」


「おう。もふもふの狐連れてるぞ」


「昨日、押し倒されてたよね?」


 ん、人聞きの悪い。

 まぁ、事実だが。


 秋元と田中の視線が痛い。


「とは言え、何が召喚出来るかは運次第らしい」


「そうかー。しかし、それは悩ましい」


「いや、でもドラゴン召喚した話ってドラ子さん以外聞かないからな。

 超レアだぞ」


「そう言えば、ドラゴンの目撃情報が合った様な……。

 後で調べとくわ」


「なんか、ドラゴンの実物さえいれば、モンターテイマー系のスキル混ぜ合わせて、どうにかなりそうな気もするけど」


「マジか。それ次第でオレも乗り換え検討だな」


「来い来い」


 田中が、再度手招きをする。


「じゃ、私は九時ぐらいのアカウント作り直すので、その頃センヨーに来てもらえますか?」


「もちろん!」


 真っ先に返事をしたのは、田中だった。


「佐倉、は?」


 ん、やっぱりオレもか。


「わかりました」


「ありがとう!」

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サモナーJK 黄金を目指し飛ぶ!
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