88.ミネア
「しっかし、何でバレたかな? 見破る系スキル?」
クラスメイト四人とミネアは急造パーティでセンヨー、『冒険の導き手』を目指す。
転移で手っ取り早く、では味気ないとハイドラが言うので、やや早足でフィールドを駆け抜けて行く。
至極簡単なガイドと共に。
ハイドラもミネアも戦闘能力に関しては、オレ達と比べて遜色ない。
「メガネが毎回同じだった。拘りか?
オレの目はごまかせない」
「そんな細かい所見てたの? キモ!」
アイツ、殺す。
秋丸、ハイドラ、そこをどけ!
「まあまあ、その話は置いといてさ、23日にオレ達のギルホでパーティーやるんだ。
良かったら、来てね」
フェンリルナイトが、チャラく間に入る。
「23なんだ。中途半端ね」
「24、25はみんなリアルで予定があるって言うんだよ……」
そう言ってフェンリルナイトは恨めしそうに秋丸に顔を向ける。
「ん、何だ、その、すまんな」
秋丸は、苦笑しながら適当にフェンリルナイトをあしらう。
「爆発しろ!!」
田中が、悔しそうに叫ぶ。
残念だが、それは負け犬の遠吠えだ。
「で、何で付いて来たんだ?」
オレはミネアを睨みながら、問い掛ける。
「そう、邪険にすんなよ。
こいつ、実は隣のクラスなんだよ。
明後日改めて紹介するよ」
げ。
「そんな嫌そうな顔しないでくれる?
鎖のジンさん」
「仕方なくPKする奴が残すとは思えない捨て台詞を聞いた気がするんだけどな!」
「……気の所為よ。細かい事気にしてるとモテ無いよ」
うっせ。
「関係無いだろ」
「ん? 図星?」
「いやいや、それは無いから。
こいつには、それはそれは麗しき姫君がおりましてね」
フェンリルナイトが恨めし気な目をこちらに向ける。
麗しき姫君って?
「は? プリスは姫じゃ無いぞ。血筋は確かだが」
「そっちじゃねーよ。黒百合姫の方だよ」
リィリー?
「いっつも一緒じゃねーか。
リアルでも、付き合ってんだろ!?」
「勘違いしてそうだが、お前が思ってる程一緒にいる訳じゃ無いぞ。
それに、リアルに関しては何一つ聞いて無いし」
月子さんの家で、毎日の様に顔を合わせているが。
「うん。分かった。だからモテないんだ。キミ達」
ミネア、田中とオレを一括りにするな。
前線では、秋丸が盾役にその後ろからハイドラが槍で次々に敵を仕留めて行く。
急造とは言え十分な連携を見せている。
その後ろで田中が刀を振っているが、ただ振り回しているに等しい……。
「で、トッププレイヤー様は高みの見物?」
ミネアは、後方支援役として、オレの横にいる。
「こう見えても、魔術師なんでね」
「ふーん。とてもそんな戦い方には見えなかったけど?」
いちいちトゲのある言い方だな。
「知ってんのか?」
「ハイドラに見せてもらった。闘技大会の動画」
ふーん。
「あの剣士さんは元気?」
「最近会って無い」
「どう言う関係?」
首を捻る。
改めて問われると、どうだろう。
戦友?
少し違う気がする。
「強敵、かな」
「何それ。訳わかんない。しかも、その後二人共、表舞台に出てないらしいじゃ無い。
何で?」
「二式葉は知らんが、前々回は試験期間。
前回は、そっちに忍び込んでて間に合わなかった」
「ふーん。
勿体無い」
「何が?」
「折角トップに居るのに、それに執着しないのが。
信じられない」
「偶々上手くピースがはまっただけだからな。オレがトップにいたのは」
「そうやって、余裕見せてると、いつの間にか全部無くしてるから」
何だそれ。
「むかつくのよね。
一歩下がった所から、余裕のある態度でいられると」
「そんなつもりは無いけど」
「つもりが無いなら自覚した方が良いよ。
知らずの内に、周りから反感買うから」
ふーん。
心に留めておこう。
「それは、どうも」
「そう言う態度の事を言ってるんだけど」
そう言って、ミネアは肩をすくめた。
前線では田中が、両手を上げてガッツポーズをしていた。
イベントアイテムを手に入れた様だ。




