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プランズボード  作者: 有本楓
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2/14

現状

 四月も中盤に差し掛かり、麗らかな陽だまりと爽やかな春の風が心地よく感じるこの季節。


 学生や社会人は新しい生活に慣れ始める頃、平野魁斗は学校にも行かず引きこもっていた。


 今月から、新高校一年生となり地元の進学校へ通うはずだった魁斗だが、実際に登校したのは入学式を含めてたったの三日。それから現在に至るまでの約一週間、魁斗は一歩たりとも家から出ることはなかった。


 そんな魁斗は、今日も例のごとく引きこもっていた、のだが。


 この日は、少し様子が違った。いつもなら起きてすぐに吸い込まれるようにパソコンへ向かうのだが、今朝はほんの一瞥しただけで視線をそらす。改めて部屋を見回すと、床には漫画雑誌や衣服、カップ麺のゴミなどがそこら中に散らかっている。


 「片付けるか」


 眠さと気だるさを吹き飛ばすため、静かに気合いを入れた。


 時刻は午前七時を回ったところ。こんな朝早くから掃除をするのは、何も引きこもり脱却のためではない。ただ単に、リラックスできる場所がなくなりつつあることに危機感を覚えただけだ。


 だが、それだけではないことを、魁斗は理解していた。


 何というか、じっとしていると落ち着かないのだ。何故引きこもってしまったのだろうとか、これからどうしようとか、色々と考えてしまう。


 これが一週間という時間によって徐々に冷静さを取り戻してきた魁斗の現状だった。


 ******** 


掃除を終えた魁斗が時計を見ると、もう午前十時を過ぎていた。さすがに一週間分の汚れを一度に掃除すると大変だ。


 大仕事の疲れを癒すため、コーヒーを入れて一息ついた。


 「学校……どうしようかなぁ……」


 ため息と共に、自然と出てきたのはそんな言葉だった。ここ二日ほどは、やることがなくなるとすぐこれだ。自分の意志に反して頭の中を駆け巡る思考は、いつしか心の重荷になっているようだった。


 ----ピンポーン----


 突然鳴った、玄関のインターホンに魁斗は跳ね起きた。どうやら、考え事をしている間に微睡んでしまったようだ。


 一人っ子で両親が共働きのため、現在インターホンに出られるのは魁斗だけなのだが……。眠気を振り払い、状況を把握した後も魁斗は動かなかった。


 新聞の勧誘か何かだと思ったからだ。すぐに鳴り止むだろうと考え、冷め切ったコーヒーを飲み干してカップを片付けた。


 しかし、それから数分が経過してもインターホンは鳴り止まない。さすがにおかしいと思った魁斗は、ドアモニターで客人の姿を確認することにした。が、モニターは真っ暗で何も映らない。故障してしまったのだろうか。


 この行動の最中にもインターホンは鳴り続けているので、魁斗は仕方なくドアを開けて直接確認することにした。


 かなりイライラしていたが、その気持ちを鎮めつつゆっくりドアを開けた。


 すると、そこには一人の女の子が立っていた。



 

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