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神の力

作者: さきら天悟

「お前に私の力を与える。

全知全能の力を」



相手はいわゆる神だった。



「ただし、七つの時が経てば死ぬ。

そして、お前の存在は無に帰す。

功績だけでなく、お前の作ったものはすべてなくなる。

作品だけでなく、痕跡も、時間さえも」


それでも彼は了承した。







彼は心を痛めている。

地球の至る所で人間同士の戦争が続いていた。

彼はこれを止めたかった。

この時、もう3つの時が過ぎようとしていた。


彼は、これらの戦争に終止符を打たせたかった。

しかし、無理だと悟った。

人間の構造的な欠陥があったのだ。

人間を自律的に進化させるために、

死を恐れる防衛機能と常に何かを欲する欲が備わっていた。

この2つの機能は、より快適に暮らせるようにさせるが、

厄介な所があった。

それは使えば使う程、その機能が強くなることだった。


彼は全知全能の力を使った。

自然災害を起こした。

大地震が起こり、大津波が押し寄せた。

その結果、数万人の犠牲者が出た。

しかし、そこにはわずかな絆が生まれた。

そしてその絆の輪が広がり、世界は少し優しくなった。

しかし、そんな効果は直ぐに薄れてしまうことを彼は知っていた。


いっそ、地球のためには人類を滅ぼすべきだと思った。

が、考え直した。


「見届けよう」

その呟きは優しい秋風となった。


彼は、この先がちょっと見たくなったのだ。




彼は七つの時を全うするまで見守り続けた。

いや、四つの時までだった。

太陽が寿命を迎え、人類は地球を脱失したが、

彼らの銀河の終焉とともに全ての人類は滅びた。


こうして、彼の七つの時は終わった。

彼にとって一瞬だった。

と言っても、一つの時は人間時間で30億年だが。

彼の作品、つまり人類、その太陽系及びその銀河、膨大に広がった、すべての銀河は、

一気に収縮を始めた。

そして、体積を持たない点になった。

完全なる無だった。

空間も時間もなかった。




彼は最後の仕事をした。


「お前に私の力を与える。

全知全能の力を・・・」

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