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高校ヤンキー列伝 番外編 単車窃盗事件

作者: ケンタウロス

毎晩のように街を徘徊する不良少年

夜の街には楽しい事がたくさん 転がっております

いかなる事件 巻き起こしますでしょうか

昔の話しで恐縮ですが


その昔

かなりのワルでした


ど不良

ヤンキー

ゴンタ

ヤカラ

いろいろな呼び方

ありますが


つまりは

問題児だったわけです


その頃の不良

揃いも揃って


頭は

リーゼント

ソリコミを決めて


眉毛は

あくまで

細く細く

ほとんど

剃ってしまう勢いで


服は


長い長い学生服

襟はむやみと高く

裏地は

龍と虎の刺繍


もしくは

短い短い学生服

襟は有るか無いか

という程低く

裏地は

龍と虎の刺繍


なぜか

裏地は

龍と虎が定番だったような気がいたしますが


お洒落な私の長ラン

つまり

長い長い学生服の

裏地は


手描きの浮世絵



なかなか

いけてる

不良ボーイだったわけです


さて

そんな私ですから


毎晩毎晩

街中を

徘徊するのを

生業としておりました


いえいえ

首から迷子札は

下げてはおりません


いえいえ

紙おむつも

装着してはおりません


いえいえ

手押し車

押してはおりません



皆さん

ちょっと勘違いされておりませんか?


認知症のじぃさんの話しではございません


まだ若冠16歳の

モテモテ好青年のお話しです



さてさて

夜中に街中を

うろうろして

何をするのか


空き缶集め?


いやいや


段ボールや

古新聞集め?


いやいや


やはり誤解されているようですね



夜中の徘徊で

行っていたのは


主に

悪事


例えて言いますと

道端にしゃがみこんで

ビニール袋の中に入れた

有機溶剤系の液体の


吸引作業



でありますとか



夜中の酔っぱらいを

どついて回る

等の


世直し作業


でありますとか


夜の街中を

大音響の

オートバイで

走り回る


防犯

及び

火の用心の為の

夜回り作業


でありますとか



そのような作業に

勤しんでおった次第であります


特に

力を入れておりました仕事が

この オートバイによる夜回り作業


しかしですね

問題がひとつ

ございまして


オートバイ

お高いんです

16~7の

悪ガキには

簡単には購入

不可能なんです



そこで ですね


非常に手軽に

オートバイ

手に入れる方法を


模索したわけです


需要と供給

と いう言葉もあります

また

水低きに流る

とも 言われますように


必要なところには

必要なものが

供給されるよう

世の中

出来ておるように感じます


そのような

自由な経済活動の中で

私どもが

大変 好んで

おこなった

供給作業が


内緒で

他人のオートバイを

拝借する


勝手に

知らない方の

オートバイを

乗り回す


と言うものでした


分かりやすく

言いますと


パクる

もしくは

ガメる

あるいは

パチる


などと隠語で

言われておりますところの


窃盗

という


原始的な

経済活動でございます


これらの行為

警察用語では

窃盗の窃の字から


ウカンムリ


などと呼ばれおります


私などは

この術に

大変 長けておりました関係で

オートバイ自体が欲しい


というよりも


行為自体が

おもしろい


と 思っていた節すら

あったように

記憶いたしております



ある 寒い冬の夜の事


私と

当時 いつも一緒につるんでおりました



いさお君と

二人で

恒例の

深夜徘徊に出たわけです


昼間に

目をつけておいた

駐輪場

単車置き場

等を巡る

巡礼の旅


とでも申しましょうか


出掛けたわけでございます



あのな

いさお

実はな

お前が前から欲しがってた

スズキハスラー250な

見つけといてん



ほんまに?

やっぱケンちゃん

親友やな~

ありがとうな



まかせんかい

他ならん いさおの為やがな

俺にまかせとかんかい

パクってな

2万で売ったるがな



なんや

金とるんかい・・・

けど2万は高いわ

俺 今三千円しかないねん



しみったれた奴やな

仕方ない 三千円にまけといたる

せやけどな

今回の獲物

ちょい 難しいねん



難しいって なんで?

ハスラーやったら

直結

めっちゃ簡単やから

20秒や

って言うてたやん



アホか

直結は簡単やけど・・・

とにかく大変やねん

見てみんかい

ここや



ここって・・・

どこやねん?

俺のハスラーちゃんは・・・



まだお前のんと違うわい

よく見んかい

門の奥やんけ



え~

この立派な門の奥か?

わ~ 広い庭やな

石灯籠と松まであるがな

ベンツ置いたんで

ここって・・・

ヤクザ?



知るかい

ただの成金ちゃうか?

庭の奥をよう見てみい


奥って・・・

突き当たりに

チャリあるわな

隣に単車置いたるな

あれか?



せやねん

あれハスラー250やねん

黒で塗装したるから夜は分かりにくいけどな

しっかり昼間調べてあんねん



黒かぁ~

めっちゃシブイやん

欲しいわ~

三千円に

ラーメンつけるわ~



どうせ 駅前飯店の安いラーメンやろ

あれまずいからいらんわ

それよりな

俺が今から門の中に忍び込んで

直結にして持ってくるからな

お前はここで見張っとけ



見張るって・・・

何見張るねん

誰か来たら 大声で

ケンちゃ~ん 人が来たで~

って言えばいいんか?


アホ

余計まずいやんか

おとなしいしとけ



それじゃ

見張りにならんやん



うるさい奴やな

一人やと心細いから

ここにおれ

言うてんねん



ここに立っといたらいいん?

俺も一人で立っとくの心細いやん



仕方ない奴やな

それなら

俺についてきて

家の玄関見張っとけ

俺が直結にしてる間に玄関内で人の気配したらそっと教えろ

わかったか?



わかったわかった

それやったら

心細いことないわ

待っててな~

俺のハスラーちゃん



まだお前のんちゃうって

俺に三千円渡してからがお前のもんやんけ

じゃ行くで

門はな

鍵とかないねん

簡単に開くからな



二人して

コッソリと

庭に忍び込みます



ケンちゃんケンちゃん


なんやねん

静かにせんかい



あのな

でっかい松やな~



やかましい

黙っとけ



ケンちゃんケンちゃん

石灯籠すごいな~



黙れっちゅうねん



ケンちゃんケンちゃん

ベンツ 怖いよな



しばくど ボケ~

黙らんかい



ケンちゃんケンちゃん

ションベンしたなってきた



ケツから手突っ込んで

内側からチン○ンひねり上げたろかい



ケンちゃんケンちゃん

ウンチちびりそうやわ


ドライバー突っ込んで

ケツに栓したろかい




珍道中をしながらも

やっとの思いで

単車のところにたどり着いた二人



ええか

今から直結にするからな

お前は玄関の様子を見張っとけよ



わかった

見張っとくから早よしてな

マジちびりそうやねん



背後の守りを

いさお君にまかせて

単車の直結に専念する私



直結

と申しますのは

キーを使わずとも

エンジンがかかるように

する事でございまして


実際 この当時のオートバイ

大変簡単に

これができたものでした



ある種のオートバイなどは

キーの穴に

ドライバーを

差し込むだけで

エンジン

かかったり

したものでした


あくまでも

挿入するのは

キーの穴

でございます


差し込むのは

ドライバー

でございます


変な穴に

違うものを

差し込みましても

エンジン

かかりませんので

お間違えにならないよう

よろしくお願いいたします



とにかく

玄関の見張りを

心強い友にまかせ

作業にとりかかりました



あと少し

この配線を切って・・・



と いうところで

あたりに響きたわる轟音が


近所中に轟き渡る

咆哮のような雄叫び


なんとそれは・・・






ファ~ックション


くしゃみ

でございます


犯人は

後ろの守りを固めているはずの

心強い見張り要員


いさお君


そのくしゃみに

呼応するかのように


近所中から響く

犬の鳴き声


びっくりしまして

振り返った時には


当のくしゃみ犯の

いさお君

すでにダッシュで

門の外まで駆け出しておりました


大慌ての私も

当然の事ながら

速攻で

逃げ出す


わけなんですが


そこはそれ

大変

根性が座っている

と いうか

転んでも

ただでは起きない

と いうか


とにかく

よく言えば

負けず嫌い

悪く言えば


と 言いますか

普通に言っても


ただの

おバカな私


直結しかけたままの

オートバイ


必死に押しながら

逃げ出したわけでございます



とにかく

全力疾走で

尻に

火がついたように

逃げる


いさお君


黙って走ればいいものを

なにやら

意味不明な事

叫びながら

逃げていきます


どうも聞いていますと


ごめんなさい

ケンちゃん

許して

ヒーハーヒーハー


くしゃみ

出てもてん

勘弁やで

スースーハクハク



などと

長距離走の際の

正しい

呼吸法

2度に分けて吸って

2度に分けて吐く


体育の時間に

先生に教えていただいた

スースーハクハク

スースーハクハク


という呼吸を

実践しつつ

わめきながら

逃げている様子



その後ろから

重いオートバイ

押しつつ

やはり


スースーハクハク

を実践しながら



黙らんかい

どアホ

しばくど

ボケカス



などと

怒鳴り散らしつつ

追いかける私



おいこら

いさお・・・ ハァハァ

止まらんかい・・・ヒーヒー

もう・・・ハァハァ

逃げんで・・・ヒーヒー

ええから・・・ハァハァ



いやや

止まったら・・・ハァハァ

ケンちゃん・・・ヒーハー

殴るやんか・・・スースーハクハク



殴らん殴らん・・・ゼィゼィ

許したるて・・・ハヒハヒ

スースーハクハク



いややいやや・・・ヒーヒー

殺される ゼィゼィ




殺すかいハァハァ

人聞きの悪いフーフー

事抜かすな ハヒハヒ




許してや許してや

スースーハクハク



わかったわかった

スースーハクハク



約束やで ゼィゼィ



大丈夫やフーフー

男の・・・ゼィゼィ

約束や

スースーハクハク



やっと立ち止まった二人の悪党



怒ってへんからこっちに来いや

ハァハァ



わかったわかった

ゼィゼィ




この

くしゃみ野郎が

ボカ ドカ グシャ バキ ポキン ベキ



あかんてあかんて

殴らんって言うたやん

痛い痛い

ごめんよごめんよ

あたたたた




お前な

山に埋まるのと

海に沈むのと

どっちがええねん

選ばしたるわい

このカス

ボケ ドアホ ヘタレ ハナクソ



許してや許してや

どっちもいやや

ごめんよごめんよ



ボカスカ ガス ドカ ポキ グシャ


痛いて痛いて

鼻血や鼻血や


あかんてあかんて

ほんまに死ぬて

歯折れたがな

勘弁して~や

イテテテテ




夜中の街中での

乱闘騒ぎ


当たり前ですが

善良な

一般市民の方


通報しますよね



当然と言えば

当然ですが


その後

私も

いさお君も

仲良く


家庭裁判所に

行く事になるわけです


いや~

良かったですね


悪者が

二人

捕まりまして


真人間へと

更正の道

歩くことに・・・


なるといいんですが・・・

なかなか

更正の道は

遠く険しいわけなんです


悪党二人の

その後につきましては

また後日

お話しする機会も

あるか

と思います


高校ヤンキー列伝 番外編でした

私と仲間達

まだまだ おとなしく丸くはおさまりません

停学 家裁もなんのその

花も嵐も乗り越えて


この先 いかなる事になるのでしょうか

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