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第一話 二年後

続きは【変人公爵一家の義娘】にあります。

はっきりしろと言われてもおかしくないと分かっています。

すみません。

 えっと、初めましての方は初めまして。

 お久しぶりの方はお久しぶりです。

 ニコラ・コルウッドです。

 実は、あれから二年が立ちました。

 あたしはこの二年間。

 不気味な文字にいわれた通り、執事さんに剣術を学んだ。

 でも半年ぐらい前から、執事さんが全然練習に付き合ってくれない……。

 なんでかなぁ……?

 いつ頼んでも引きつった笑顔なんだよ?

 『申し訳ございません。少々用事が……』

 って。逃げられる。

 しかたないから、お父様と執事さんの剣さばきを思い出しながら練習してる。

 だけどあたしは、あたしの頭の中のお父様たちのように、剣をふるえていない。

 それがわかるから、自分自身に腹が立つ。

 特にお父様の剣さばきは、とっても綺麗で、踊ってるみたいでかっこいい。

 顔も、『公爵様』にふさわしくなるんだ!

 それに剣をふるう時の見た目だけじゃなくて、威力もすごい。

 前に、『王侯貴族の男子が身に着けるものだ』と、執事さんに聞いた。

 この剣術の特徴は構えがない上に、威力を殺さず、流れるよう華麗に剣を振るうところ。

 ついでに執事さんが教えてくれた、ナイフの扱い方に少しだけ似てる。

 短いナイフが大きくなっただけ。

 そういう感じで考えてる。

 そして、今は太陽が昇ったばかり。

 あたしはいつも。

 太陽が昇る少し前の薄暗い時間から、執事さんが来る少し前まで練習に励んでる。

 理由はもちろん。

 困ったちゃんのお兄様を見つけ出して、叩きのめすために!

 勝手に居なくなったんだもん。

 それくらいされて当然だよね!

 大体、お兄様のせいで皆がどれほど悲しんだことか……。

 追い打ちをかけるように王様も病に倒れ、この世を去った。

 享年四十八。

 でもその王様は、手を握るお父様に笑って。

 ゆっくり言った。

『ルーイ。私はお前が弟で本当によかった。今までとても、楽しかったよ。ありがとう。後を、頼んだ』

 眠るような最後だった。

 あれから一年たった今でも、お父様は時々無理して明るくふるまう時がある。

 お母様も、二年前から比べると、物静かになった。

 元から落ち着いてた人だったけど、時々あった無邪気さがなくなった。

 ウィルロットさんはお兄様の手紙で、お父様とお母様の探していた子供だってことが分かった。

 皆すごく驚いた。

 そしてしばらくして、ウィルロットさんはランステッドと名前を改めだんだ。

 でも、本人も周りも慣れないみたいで、書類上は『ランステッド』。

 呼び名は『ウィルロット』ってなってる。

 まぁ、そのせいで最初は本人も混乱してたんだけどさ……。

 二年たつとなれたみたいだよ。

 普通に使いこなしてるみたいだし。

 って、そんなことより練習に集中しないと!

 お兄様を叩きのめせない!!

 あたしは慌てて練習に集中した。

「お。ニコちゃんやってるね、順調?」

「?!」

 完全に自分の世界に入り込んでた時に、突然聞こえた声。

 つい驚いてしまった……。

 そのせいで振り上げてた剣。

 止めそこねて地面に刺さちゃった…………。

 …………はぁ……あたし、まだまだだなぁ……。

「あ、ごめんね~。集中してた?」

「……あ、大丈夫です。ルファネスさ――……陛下」

「やだな~! 『おにーちゃん』でしょ?」

 目の下が真っ黒で、いつも以上にテンションが高いルファネスさん。

 これでもこの国の王様なんだよ?

 信じられないよねぇ…………。

「……………………『お兄ちゃん』はウィルロットさんです」

 ていうか。

 なんで王様がこんなとこいんの?

 仕事は?

 一応聞いてみよう。

「ところで、どうしてここに?」

 あたしの質問にルファネスさんは胸を張った。

「それはな――」

「見つけたぁ! 陛下!!」

「うわぁ?! ウィル、なんでここが!!」

「逃がすな! 陛下を抑えろ!!」

 ウィルロットさんの声で、彼の後ろにいた男性たちが、ルファネスさんを捕まえた。

 一瞬だった。

 そしてあたしも同時に悟った。

 「仕事放棄して、逃亡しってたんだ」って。

誠に勝手ながら、続きは【変人公爵一家の義娘】に章を分けて投稿しています。

ここまで読んで下さり、誠にありがとうございました。

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