第七話 イベント予告と第二陣
「運営からのお知らせです」
急におなじみの機械じみた音声が聞こえ、室内に響いた。
いや、室内、ではなく多分この世界の全域に響いているだろう。
「お知らせ?なんだろうな」
カズキがそう言いつつも少し訝しげな顔をしている。
「まぁ、嫌なことがないことを祈ろう」
運営側は何を考えているかわからないけど、少なくとも俺たちに害のあることはしないはず。
「あ~、プレイヤーの皆さんお久しぶり。開発者兼運営最高責任者の水谷だよ。今日はねみんなにとっても良いものをプレゼントするよ」
プレゼント? あの変人何を考えているんだ。怪しい、怪しすぎる。カズキの方を見ると同じことを感じているのか、眉が少し中央によっている。
「それわね、イベントだよ。みんな数日ここで過ごしてある程度は慣れただろうからね。ふふん、いいでしょ? やっぱりイベントはないと面白くないもの」
イベントだと? それはいいな、すごく面白そうなきがする。……ただ、それだけじゃないような気がする。なんとなくだが嫌な感じしかしないんだ。俺の第六感がそう告げている。
「それとね、もう一つあるんだよ。なんと第二陣が来まーす。え? 現実とは時間の流れが違うんじゃないかって? 別に誰も常にとは言ってなかっただろう。それに遅くできるのなら速くできても不思議じゃないだろう? ちなみに現実では一週間が経過しているよ」
なんだと!あの変人…なんてことしてんだ。やっぱり嫌な予感は的中してようだ。しかしこんなことで怒っても無意味だ。とりあえずここから出たら本社に殴り込みしてやる。
「第二陣が来るのは今から三日後、イベントの発生はその三日後だよ。イベント内容はその時伝えるね。それじゃ諸君、頑張ってくれ」
プツンという音と共に音声が聞こえなくなった。向こうから言いたいことは終わったみたいだ。
「…三日後に二陣、さらに三日後にイベントだってよ。どうする?」
俺はギルドマスターに聞く。
「ああ、そうだなとりあえず。三日後までは次のダンジョンでレベル上げ、あとは金稼ぎ。二陣は…」
そこまで言うとカズキは少し困惑した様な表情をした。なんだろう。
「カズキ? どうしたんだ?」
「ああ、すまん。一応可能性はあるんだお前にも話しておく。了承も欲しいしな」
少し、顔を曇らせながら一つ、小さな深呼吸をした。何を悩んでいるんだ? しかも了承って…
「お前、俺に妹がいるの知ってるよな。俺の両親が別れる前に2・3度会ってるはずだ」
「ああ、奈美ちゃんだろ。覚えてるぞ」
余談ではあるがこいつは小学4年の時に親が離婚している。こいつは母親に、そして妹の不知火奈美ちゃんは父親に引き取られたらしい。俺は昔、奈美ちゃんに会ったことがある。カズキと同じ綺麗な銀髪を腰あたりまで伸ばしており、クリクリっとした可愛らしい目を中心に可愛らしい、その一言につきるような子だった。
実際、一緒に遊んだ時はすごく気の効くいい子だったし、ちょっとした仕草に子供ながらその可愛さにドキリとさせられたことが何度もあった。
「その奈美がな、ひょっとしたら二陣でここに来るかもしれない」
なぜだ? カズキと奈美ちゃんは親が別れたあとも、連絡をとっていたらしい。そのときの話を何度もこいつから聞いているがゲームが好きとか聞いたことないぞ?
「お前の言いたいことはなんとなくわかる。実はな、これが届く前日に電話してたんだ。その時に奈美がな、私もそのゲーム始めたら兄さんにあえますか? と聞いてきたんだ。その時は俺、喜んだんだけどな。今は脱出不可能だろ?時間の流れが違うって言われてホッとしてたんだけどな…」
なるほどな、確かにありえる。いや、多分確実に来てしまうだろう。もともと仲が良い兄妹なんだ、何年かぶりにゲーム内でも会えると言われると来てしまうに違いない。
「そうか、しかし、死ぬことはないんだぜ? そう落ち込むなよ。俺なんか全員いるんだ、深刻に考えることないさ」
俺がそう答えると、硬かった表情も和らいぎ確かにそうだ、と返事した。
「ああ、そうだな。お前思考で言うなら、せっかく長期間会えるチャンスなんだ、楽しまないと。と言ったとこだろうか?」
ニヤッと歯を出して笑うカズキ。
「そういうことだ。それより、了承ってなんだ?」
「ああ、奈美が来たらギルドにいれてもいいか? ということだ」
そんなことかよ。そんなの気にする必用も俺に許可を求めるものでもないと思うけどな。変に律儀なとこがあるんだよな、こいつ。
俺は二つ返事で了承した。
そして、二陣が来るまでは金稼ぎとレベル上げ。そこからイベントまでは二陣がきてから考えようということになった。
カズキの容姿をしっかり書いていませんでした。申し訳ございませんッ!以後はこんなことがないように気お付けます。