第四話
俺はイフリートとの戦いのあとカズキに連れられなんとか街に帰ってきた。
カズキには詳しい説明を要求されたが疲れていたのでまた明日、と言って宿をとりすぐに眠りについた。
翌朝、カズキと一緒に朝食を取りながら昨日のことを話す。
「やっぱり、イフリートだったか。すまなかったな、もっと早くに気づけばよかったんだけど…まぁ、お詫びに今回はただで装備作るよ。これ食べ終わったら俺の店に行こう」
まぁ、俺としては強くなったからいいけどね。
俺たちは朝食を素早く取り、店に向かった。
「さ、アイテムみしてくれ」
俺は言われたとおりにアイテムを見せる。するとカズキの顔がだんだん引きつっていく。なんだ?
「なぁ、何か変なのあるのか?」
俺が聞くといきなり頭をはたかれた。なにすんだ!
「変どころじゃねぇ。お前、アイテム持ちすぎだ!体重3,5倍になってんぞ。しかもすべてリザードマンの素材って…」
え?そんなに増えてたの?全然気がつかなかった。
「ま、いいさ。リザードマンの素材くれ。高値で売りさばくから。あとイフリートのもな」
俺はアイテムををすべてわたす。うぉ! めっちゃ体軽い。
「じゃ、一時間ほど時間潰してきてくれ。それぐらいで出来上がるから、一応呼ぶけど。待ってな最高のできにしてやる」
そう言うとカズキは奥に引っ込んで行った。さて、何しようかな…そう考えているとチャントの呼び出しがきた。相手を見ると柚希姉さんだった。
「あ、レイ!」
と、久々に再開した姉は俺に抱きつく。姉弟ながらもその女性特有の柔らかい体に、甘い香りにドキリとしてしまう。
「それで、用事って何?姉さん」
俺は柚希姉さんを引き剥がしながら聞く。俺から離れる時「あぅ」と少し寂しそうな顔をする姉に身悶えそうになったのは言うまでもない。
「用事というより、レイの攻略を手伝おうと思ってね。一時間ほど時間が余ったからそれでレイを手伝おうと思ってね」
と言って少しはにかむ。クソッ、何て破壊力なんだ。
しかし、姉さんは本当に優しいな。
「ほんとに?ありがとう、柚希姉さん。大好きだよ!」
「…ッ!」
? どうしたんだ、急に顔が真っ赤になったぞ。熱でもあるのでは? と思い「ごめん」と断りを入れてから姉さんのデコにデコをくっつけて熱をはかる。ん~熱はないと思うけど…
「もういいよ」といって離れる。
「…ああ、レイがこんな顔近くに……だめ、だめなの。そんな姉弟で…」
あ~またブツブツ言ってる。柚希姉さんはたまにトリップすることがあるからな。
俺は肩を揺らして呼び寄せる。
「大丈夫?」と聞くと「大丈夫!ハァハァ」と言っていたので大丈夫だろう。
「ごほんッ!それじゃぁ、早速森に行こう」
俺たちは気お取り直して森にむかった。
ここ、東の最初のダンジョン【初心の森】は主にスライムやゴブリンが出てくる。
「はぁッ!」
俺はゴブリンAに得意の上段蹴りを放つ。そこから流れるように地面についていた左足で飛び上がり、攻撃しようと近づいてきたゴブリンBの顔面に回し蹴りをぶち込む。
「相変わらずすごいよねそれ」
そう言ってこちらに姉さんが近づいてくる。
「そうでもないよ、誰でも練習すればできるよ」
口ではそんなことを言っているが内心すごくうれしい。なんせさっきの二段蹴りは俺の十八番だしな。
「いやいや、ほんとにすごいよ。そういえばさ、レイはレベルいくつ?」
む、どうしよう。素直に…よし
「3だよ。それがどうかした?」
はい、嘘つきました。ごめんなさい。しかし、柚希姉さんは
「3!すごいね。昨日だけでよく頑張ったね」
えらいえらい、と頭を撫でてくれる。
「姉さんはいくつなの?」
「あたしはね、6なの」
すこし胸をはって言う姉さん。
「6?すごいね、姉さんは…」
そうでしょ、そうでしょと自信アリげに言っている。俺が25って言ったらどうなるんだろ。
そうやって、姉さんと話しつつ、借りつつとやっているとチャントがきた。
相手は誰かわかる。
「姉さん、俺、このあと用事出来たからもどらないと…」
「ああ、私も、それじゃぁねレイ。」
と言って柚希姉さんと別れた。
「よう、シス魂。お姉ちゃんとの狩りは楽しかったかい?」
と、ニヤニヤしながらカズキが聞いてきた。
「なぜ知っている。それと俺はシスコンではない」
全く、失礼なやつだ。
「はいはい、それじゃぁ、装備できたから付けてみな」
早速着替えてみる。うん、見た目は服だ。
真紅を思わせるようにな真っ赤なコートに下は黒のシャツで真ん中に白のラインが入っている。ズボンは黒のジーパンのようだが動いてみると全く動きを阻害しない。
「うん、これかなりいいな。気にったよ」
「そうか、それはよかった。俺にとってもいい出来でな、作ったかいがあったよ」
カズキは腕を組みながらうん、うん頷く。
「カズキ、ありがとうな。ところでな俺さ、南を攻略するのにレベルあげようと思うから3日ほどくれ。お前はその間に金を貯めてくれ」
俺がそう言うと俺もそう思っていたところだと言って納得してくれた。
そう、3日のうちに新しいスキルとか把握してあわよくば強化しておきたいからな。
そして俺たちは「それじゃぁ3日後に」と言って別れた。
性急かもしれないがそんなの気にしない。さて、蜥蜴野郎を狩るか…
俺はまた砂漠にむけて歩み始めた。