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喪失
胸の動悸が私を激しく打ち付ける。止まれ、止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ。
大きく息を吸って、それでもまだ暴れる鼓動を我慢して震える声で言う。
「……すいません、初めてだったのでどうすればいいか分からなくて……。」
精一杯の弁解だったが、すぐにヤジが飛んできた。
「分からない!? そんなんで俺たちを集めて偉そうにしきってたのか!?」
口から出る言葉はすでに要望や質問ではなく文句へと成り下がり、私を痛めつける。
「……すいません……。」
これしか言えない自分が悔しい……。
「明日、もっと考えてから話し合いたいと思います……。」
とにかくこれで今日のところは乗り切ろう。理想から遠く離れた現実にこれ以上は耐えられない。
「いや、こんなんだったら来ねえよ俺。」
「……え?」
ど、どうして?
「『え?』じゃなくてさ。今、テスト前。」
……そうだった。
「それに、あんた器じゃ無いわ。」
分かってる。
「大勢の前であがっちゃうし。」
……分かってる。
「もう一度聞くんだけど、どうしてやろうと思ったの?」
……分かんない……。