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おばあさまが、憑依した

作者: とと
掲載日:2026/02/04

読んでいただきありがとうございます。


「あの。。。。嫌です   」

私は消え入りそうな声で答えた。


学園の裏庭に呼び出されていた。

私の前には、仁王立ちの婚約者フレッド。

フレッドは、最近お気に入りのバーンズ子爵令嬢を連れてトンデモないことを言い出した。

バーンズ子爵令嬢を第二夫人にすると言う。


。。。。。


バーンズ子爵令嬢はおびえる私を見て、ブロンドサラサラの髪を片手でかき上げた。

「私が第二夫人で我慢してあげるって言ってるのに」


「メイジ-はなんて優しいんだ。 聞いたかアイビー!俺が婿に入るとともにメイジ-を第二夫人として迎える、これは決定事項だ!わかったな」


「そんな事お父様もお母様も許さないわ。。。」


「はー。聞こえないな、何だって?」


「そんな事!許されません!」


「お前がちゃんと説明すればいいんだよ!ちゃんと家の事を整えておけよ!わかったな」

そう言ってフレッドは私の肩を強く押した。

不意に押された私は勢いよく後ろに倒れていく、私の眼には笑うフレッドとメイジ-。

周りの景色がスローモーションの様に見えた。



大体、私はフレッドが小さな頃から大嫌いだ!

領地が近く親が仲良しだったため一緒に遊ぶこともあったが

いつも虫を投げられたり、小屋に閉じ込められたり意地悪ばかり

そのくせ口がうまくてのらりくらりと親には怒られない。(むかつくー)


フレッドには何をしても大きな声で怒鳴られるから

小さな頃はおびえて自分の言いたい事も言えなかった。


婚約もあれほど嫌だと言ったのに、気が知れた人の方がいいと勝手に親たちが決めた。

(むかつくー。)

婚約後も、関わりたくなかったけど。

婚約者としてちゃんと関係性を作りたいと努力していたのに。

こんなこと言われてまでびくびく返事するなんて、臆病な私はもう嫌だー。


スローモーションが終わり、私は木製のベンチに頭を打ち付け、意識を失った。


「じゃー。私が代わりに言ってあげるよ、ちょっと休んらっしゃい」

あれ?おばあさまの声がしたと思ったら、私は倒れた私を見下ろしていた。


おばあさまが入った私はむくりと起き上がり叫んだ。


「このクソガキが!

婿養子に入る分際で、第二夫人だと!

ふざけたこと言ってるんじゃないよ。大体そのチャラチャラした女のどこがいいんだい!

他に何人も唾つけてるんだろ~。

一番爵位が良くて、御しやすいのがこのクソガキとアイビーだったのかい?」


「ちょっと何言ってるのよ、そんな尻軽じゃないわよ!」


「あーそうかい。ロバートにマイケルにあとトマスだったかね~」


「ちょっと適当な事言わないでよ」

殴りかかろうとするメイジ-の腕をフレッドが掴む。


「どうゆう事だよ!俺以外に男がいるのか!」


「まーまー怒るんじゃないよ、クソガキも他の令嬢にアプローチしてるんだろ~

あんた達、お似合いだよ」


「俺はそんなことしてないぞ!

だいたいお前、ほんとにアイビーか?」


「アイビーに見えるかい?本当に人を見る目がないね。

それは家の息子も一緒だね!あとでゲンコツだな」


「アイビー、頭をぶつけたせいで、頭がおかしくなったのか?」

ブレッドが首をかしげながらおばあさまの顔を覗き込む。


「近づくんじゃないよ!頭がおかしいのは、あんた達二人だろ普通に考えたら

伯爵家を継ぐのはアイビーだ、そのアイビーに捨てられたらお前はただの平民だよ

そんな簡単なことも理解できないのかい?」


「え。。。男の俺が伯爵家を継ぐんだろ。それにアイビーは俺のこと好きだろ?

俺の言うことならなんでも聞いてくれるよな」

じりじりとフレッドが近づく。


(あんたなんかだいきらいよーーーーーー)

皆には聞こえないが、私は大声で叫ぶ。


「救いようがないね、私はアイビーの祖母、エリザベスだよ。

この婚約はクソガキの有責で破棄するよ!

そこのチャラ嬢にも慰謝料請求するからね!覚悟しときな」


「婚約破棄なんてしないからな!」


「ジョージの孫だけあって理解力のっかけらもないね~

そうそうジョージは学院に入る頃までたしかおねしょしてたね~。

クソガキもしてるんじゃないかい?」



「あはははは。フレッド、おねしょしてるのか?」


頭上から声がしてそちらに眼を向けると、ルカス・コールマン公爵令息が

二階のテラスの柵に寄りかかり、声を上げて笑っていた。


「なかなかの美丈夫じゃないか」

おばあさまが声をかけると

コールマン公爵令息がひらりと二階のテラスから飛び降りて来た。


「お初にお眼にかかります。私はエリザベス様と親しくさせていただいていた

アクセル・ノーマン伯爵の孫で、コールマン公爵家の3男、ルカスと申します」


「丁寧なあいさつをありがとう。アクセルのお孫さんなのね、会えてうれしいわ

お母さまはお元気?」


「はい。息災です」

私は二人の間に入り交互に顔を見る。

ん?おばあさまはコールマン公爵令息とお知り合いなの?


「ところで、私はそろそろこの体をアイビーに返さなければいけないのだけれど

コールマン公爵令息は、婚約者や恋人はいるのかしら?」


「嫡男の兄には婚約者がおりますが、次男以降は父に自由にしてよいと言われています

私には気になる令嬢がいるのですが、その令嬢には無能な婚約者がおりまして。。。。

どうしたものかと思っておりました」

おばあさまがコールマン公爵令息にこそこそ耳打ちをする。


「もしかしてその令嬢は家のアイビーかしら?」


「はい。実はそうなのです」

ルカス様の頬が少し赤らむ。


「では。

コールマン公爵令息。お母さまによろしく伝えて。

あなたならまかせっれそうだわ。両手を広げて」

ルカス様はおばあさまの言われた通りに両手を広げた。


「アイビーを頼んだわよ」

おばあさまは私の体でルカス様の胸に飛び込んだ。


飛び込んだ瞬間、おばさまと私は入れ替わり。私はルカス様の腕に包まれている。

あたたかい。





✿ ✿ ✿




ルカス 視点


母方の祖父の語る最高の友人エリザベス様は

弱きを助け強気をくじく。親分肌だが社交界では完璧な令嬢。

祖父から聞いていた列伝は痛快で、子供のころ話を聞くのが楽しみだった。

そのエリザベス様の孫が同じ学年に居ると知り、気になっていた。



孫のアイビーには、ミルクティーブラウンのふわふわの髪に澄んだ青い瞳。

かわいらしい人だったが、すでに婚約者がいた。

ただその婚約者は、横暴で無能を絵にかいたような奴だった。

一生懸命関係性を作ろうとする彼女に、いつも大きな声で怒鳴りちらす

ある意味学園では有名なカップルだ。


彼女が気の毒でもあり気にして目で追ううちに、芯の強さや周囲へのやさしさ

家を継ぐため努力する姿を見て、だんだんと彼女に魅かれていった。


あの日アイビーが、屑達に呼び出されたのを知り、後を追って裏庭が見えるテラスに行った。

万が一の時は自分が助けよう。


そして事件が起きた。奴が彼女に手を上げた時、あわててテラスを飛び降りようとしたが

飛び降りるより先にエリザベス様が現れて啖呵をきった。

その様は祖父に聞いていたエリザベス様そのものだった。


そしてエリザベス様はアイビーを俺の腕に任せてくれた。

ここからは使えるものすべて使ってアイビー守り抜く。


「アイビー嬢。僕の婚約者になっていただけませんか?」

俺は腕の中の彼女にそう申し込んだ。


「先ほどの破棄を整えましたらまたお返事させてください。

前向きなお返事ができるはずです」

頬を染めながらアイビーは答えた。



✿ ✿ ✿


おばあさま。ありがとう、この瞬間私は前を向きすすんでいくわー。


ルカス様が腕を解く。

「今日の出来事はすべて見ていました。

フレッドの不貞は私が証明します。このまま伯爵家へ同行しましょう。さあこちらへ」

私はルカス様の手を取り家へ向かった。

後ろでなにか叫んでいる人達がいたけど、もう気にもならなかった。


ルカス様と両親に今起きたことを、おばさまの事は伏せて話した。

話し終えたところで、どこからかお父様の頭に大きな桶が落ちてきた。


おばあさまのゲンコツに違いない。


その後コールマン公爵が間に入り、婚約破棄はスムーズに進み

元婚約者は、慰謝料を払うため伯爵家から席を抜かれ鉱山に贈られた。

バーンズ子爵令嬢は、北の商家に売られるように後妻に行った。


私はルカス様と新しく婚約を結び、最強のおばあさまを目標に頑張っている。


~ 終わり ~









かなり都合よく書いてしまいましたが、きっとこんな形でなくても

ご先祖様は、私たちを見守ってくれていると

思うのです。

いつも誤字脱字ありがとうございます。

評価、リアクションなどいただけると嬉しいです。

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