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  作者: 月桂樹
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権力の基盤

第三段階:剣術


第三段階は、予想よりも容易に感じられた。


剣術――それはこれまで学んできたすべての延長線上にあったのだ。足さばき、間合い、相手の動きの読み――すべてが応用できる。唯一の違いは、刀を単なる道具としてではなく、身体の一部として扱うことだった。


「刀は柄で終わるものではない」

ヒナタは説明しながら、肩から腕、そして刀へと流れるような動きを見せた。

「意志の延長だ。自分の意思を物理として表すものだ。」


二週間の間に、三人とも合格した。


予想通り、ユウジが最初だった。動きは教科書通り完璧で、すべての斬撃が正確で無駄がない。


続いてダイチ。今度は拳だけでなく、鋼鉄を通して力を発揮していた。


そしてリン……三日後にはダイチを追い越す形で合格した。徒手格闘で身につけた身体認識、山岳走で鍛えた持久力、すべてが刀を握った瞬間に噛み合ったのだ。


初めて、追いつくために必死になっている感覚はなかった。


「よくやった」

リンの最終試験の後、ヒナタはそう言った。「三人とも、戦闘の基本を理解していることを証明した。」


「じゃあ、これで終わりか?」ダイチが希望に満ちた声で尋ねる。


「いや」

ヒナタの表情は変わらない。「これから本当の試練だ。第四段階だ。」



---


第四段階:基礎魔法


三人の新人は訓練場に立ち、刀を鞘に納め、ヒナタの説明に耳を傾けた。


「これまで学んできたことはすべて、身体的なものに過ぎない」

ヒナタは言った。「筋力、速度、技術。しかし侍の真の力は、気――すなわち生命力を操る能力、つまり魔法を使う力にある。」


リンは前のめりになった。これこそが待ち望んでいたものだ。本物の侍の力。


「まず基礎から始める」

ヒナタは続けた。「基礎魔法は『共通魔法』と呼ばれる。刀に封じられた神が誰であろうと、すべての侍が学べる能力だ。これがすべての基礎となる。」


彼は訓練場の池の方を指した。


「水の上を歩くことは、最も簡単な共通魔法のひとつだ。垂直の壁や空中を歩くことも同様だ。呪文の詠唱は必要ない。」


「ちょっと待って」

リンが手を挙げる。「生命力がない人は、どうやって教えるんですか?」


その質問が場に漂った。


ユウジとダイチは、突然ヒナタをじっと見つめる。


ヒナタは表情を変えずに言った。

「公平な質問だ。私は生命力ゼロだから魔法を実演できない。しかし理論の理解では誰にも負けない。」


彼はしゃがみ、棒で地面に図を描く。


「自分でできないことは、二倍努力して学ぶしかない。私は何千人もの侍の魔法を見てきた。気の流れ、失敗、成功するための調整を分析してきた。見せられなくても、導くことはできる。」


ダイチが眉をひそめた。「それって……逆じゃないか?」


「そうか?」ヒナタは見上げる。「盲目の人が光を語れるように、観察と分析で知識を得られることもある。経験ではなく理解で、私はこれらの魔法を知っている。さて、質問を続けるか、学ぶか?」


三人は黙った。


「よし、仕組みを説明しよう。」



---


ヒナタは三つの円を描き、液体、垂直固体、気体とラベルをつけた。


「生命力は、生まれ持ったエネルギーだ。体内を常に流れているが、普通は意識的に制御できない。魔法とは、その流れを正確に操作することだ。」


彼は最初の二つを指した。


「水や垂直面、壁や樹を歩くには、脚に生命力を集中させる。接着力を作り、足を表面に貼り付ける。液体や固体の粒子は緩すぎず、構造があるから成り立つ。」


三つ目を指す。


「空中、気体の上を歩くのは異なる。粒子が離れすぎているため、接着は効かない。代わりに生命力で透明な固体の足場を作るのだ。何もないところに一時的な足場を作るイメージだ。」


「逆さまや水平に空中で立つには?」ユウジが尋ねた。


「両方を組み合わせる」とヒナタ。「だが実用性はないので、無駄に時間を使うな。」


リンは図を凝視した。「つまり……試行錯誤で覚えるしかない?」


「その通りだ」ヒナタは肯定した。


「でも正しいかどうか、どうやってわかる?」ダイチが食い下がる。


ヒナタは体を起こす。「そこで詠唱の出番だ――いや、詠唱がないと難しいのだ。」



---


「詠唱は無意味ではない」

ヒナタは説明する。「むしろ学習用の道具だ。言葉で生命力を導くことで、必要量や比率、タイミングを調整できる。補助輪のようなものだ。感覚を掴めば、詠唱なしで魔法を使える。」


彼は間を置く。


「だが基礎魔法には詠唱がない。自分で習得するしかない。『基礎』と呼ばれるのは、量や比率、タイミングの精密さがそれほど要求されないからだ。上級魔法は精密さが求められる。基礎魔法は理解と適応が鍵だ。」


「つまり……手探りでやるんですか?」リン。


「学ぶのだ」ヒナタ。「私が見て、間違いを正し、導く。しかし最終的には、自分で魔法の感覚を掴むしかない。私はそれを代わりに感じられない。」


ユウジは腕を組み、考え込む。「何千人もの侍を観察したって言ったな。よくあるミスは?」


ヒナタは指を三本立てる。「一つ、生命力の使いすぎ。初心者は過剰で数秒で消耗する。二つ、集中力の不安定。途切れた瞬間に失敗する。三つ、焦り。すぐに結果を求めるが、基礎魔法は習得に時間がかかる。」



---


「もうひとつ学ぶべき基礎魔法がある」

ヒナタは続けた。「刀の強化だ。」


自身の刀を指す。


「生命力を刀に流し込み、耐久と鋭さを高める。基本中の基本だ。これができなければ、強敵に刀を砕かれる。」


「それはできるのか?」ダイチ。


「できない」ヒナタは淡々と言った。「だが何千回も見た。流れ、失敗例、修正方法を知っている。」


彼は三人を順に見た。


「動きと刀の強化、二つの魔法が基礎だ。これを極めれば、上級魔法――詠唱付きの魔法――に進める。」


「固有魔法は?」リン。「特定の神に由来するものは?」


「それは後だ」ヒナタ。「まず基礎を極めろ。すべての基礎魔法は共通魔法だが、共通魔法が全て基礎とは限らない。上級魔法は共通か固有かに分かれる。固有魔法は特定の神が封じられた者だけが使える。」


彼は間を置いた。


「歴史上最強の侍、ケント・ヤマトは、固有能力を使わなかった。共通魔法だけで戦った。それで世界を救えたのなら、お前たちも基礎を学べるはずだ。」



---


生命力のリソース


「始める前に、生命力がリソースであることを理解しておけ」


ヒナタは二本指を立てた。


「スフィアが測ったお前たちの生命力――リン999、ユウジ829、ダイチ750――は、現在のエネルギーではなく、最大容量だ。」


リンは瞬きした。「違いは?」


「バッテリーのようなものだ」ヒナタ。「二つのバッテリーが6000mAhと5000mAhだとする。6000が5%で、5000が80%なら、どちらが今、使える?」


「5000だな」ユウジ。


「そういうことだ。魔法を使うと減る。休めば回復する。873の人より、587の人のほうが今のエネルギーが多いこともある。」


ヒナタは間を置いた。


「無駄遣いするな。使い切ったら、肝心なときに無力だ。」



---


訓練開始


次の三か月は、挫折と少しずつの成長の連続だった。


水の上を歩くのは最初不可能に思えた。リンは毎回沈み、集中を切らしては足を前に出せなかった。


「使いすぎだ」岸からヒナタ。「最小限で動け。」


「どうしてわかるんだ?」腰まで水に浸かりながらリン。


「姿勢と緊張の具合だ。過剰だ。」ヒナタの目は鋭い。


リンは何度も挑戦した。



---


もちろん、ユウジが最初に成功した。三週間で、池の上を正確に歩けるようになった。


「優秀だ」ヒナタ。「流れが安定している。次は速度を上げて維持しろ。」


ダイチは時間がかかった。生命力が強すぎて、沈んだり足場を崩したり。しかし力の調整を覚え、さらに一か月で習得。


「やった!」ダイチ。池の中央で勝ち誇る。


「おめでとう」ヒナタ。「千回繰り返せ。それが体に染み込むまでだ。」


ダイチの笑みは消えた。



---


リンは最も苦戦した。制御が不安定で、多すぎたり、少なすぎたり、ちょうどよく踏めることは稀だった。


ヒナタは容赦しない。


「もう一度」


「もう一度」


「もう一度」


そして七十三日目、リンは沈まずに三歩水の上を進めた。


「やった!」叫ぶ――しかし集中を失い、すぐに池に落ちた。


岸で見ていたマキは拍手した。「進歩!」


ヒナタは、わずかに笑いそうになった。



---


刀の強化も同様だった。ユウジは一か月半で習得。ダイチは二か月。リンは三か月。


「柄に流しすぎだ」ヒナタ。「刀全体に通せ。」


「どうしてわかる?」リンは苛立ち。


「握り方と角度でわかる」ヒナタ。「手首を緩め、自然に流れさせろ。」


リンが調整すると、刀は淡く光った。


「よし」ヒナタ。「そのまま保持。」



---


三か月の末、三人は水上歩行、壁走り、空中足場、刀強化を習得。


完璧ではない。制御はまだ粗い。だが基本はできた。



---


告知


ある朝、ヒナタは訓練場に三人を集めた。表情はいつも通り読めない。


「第四段階、完了だ」

「三人とも、基礎を理解していることを証明した。」


リンの胸が跳ねた。「つまり――」


「任務に出る準備が整った」ヒナタは確認した。


三人は互いに視線を交わす。期待と緊張、決意が入り混じる。


「やっとか」ダイチ。


「ようやくだ」ユウジ。


リンは拳を握り、皮膚の下で生命力が脈打つのを感じた。


ここからが本当の始まりだ。



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