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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第三章

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第88話 【Sideロリエ】細やかな一時

ロリエ視点のお話です。

 四聖女の護衛任務に赴く前日。


「明日に必要な物資は国が用意してくれるんだけど、個人的に必要な道具も揃えておいた方が良いよな?」

「当然でしょ。行き帰りだけでも一週間はかかるんだからさ。備えあれば憂いなしよ」

「そりゃそうだな」


 あたしはジャードと一緒にフォーペウロの王都バアゼルホの城下町で買い出しに出ている。

 明日、フォーペウロの四聖女を護衛するための依頼を控えており、それに備えて必要な欲しいアイテムや魔道具を探すためだ。

 明日や明後日で帰って来れる内容ではないため、自分にとってあったら便利な物は揃えておきたいからね。


「ジャード。次はあの店に行こう!」

「お、おう」


 あたしは買いたい物を一通り買い終えると、ジャードと一緒にカフェに入り、食事がてらで休憩を取ることにした。


「うん。美味しい」

「楽しむのは結構だが、頼みすぎじゃないか?」

「別にいいじゃん!明日からしばらくはスイーツのような類は食べられないんだからさ!ジャードも食べなよ」

「お前なぁ……」


 テーブルの上には苺のショートケーキにチョコレートケーキ、フルーツタルトにクリームソーダなど、甘い物が所狭しと並んでいる。

 私は甘い物が好きだ。

 疲れた時や強力な魔法を何発も使った後は無性に糖分を欲しがるのもあるけど、時間に余力がある時はこうしてスイーツの美味しそうなお店を巡ることもある。


「まぁ、明日の四聖女の護衛は重要だからな。心残りとかがあるままだとパフォーマンスにも影響が出かねないから、分からなくもないけどな」

「それね!」


 タルトを一口食べたジャードはそう言いながらクーフェに口をやる。


「……」

「どうしたの?口に何か付いてる?」

「いや、別に。甘い物に関しては良い食いっぷりだなって思っただけだ」

「何よ~」


 あたしはむすっとしているだろう表情をジャードに向ける。


「王城にいた時からお菓子を食べながら魔法の研究や開発をするのが当たり前だったからな。お前は」

「そう言うジャードだって、料理にピーマンが入っていたら避けて食べるクセにさ!」

「それをこんなところで言うんじゃない!それにいくらか克服はしたぞ!」


 気付けば、どこにでもいるカップルみたいな他愛もない話をしていた。


「ふと思ったんだけど、俺とロリエが出会ってから相当時間が経っているんじゃないか?」

「そうね」


 シャーロットやメリスは知っていて、リュウトにはちゃんと言ってないけど、あたしとジャード、実は勇者パーティを結成する以前からの仲なんだよね。

 あたしがエレミーテ王国の宮廷魔術師として王宮に来てから数年後、当時は騎士団本隊の一員だったジャードと知り合った。

 騎士団の遠征に同行したこともあるし、その度に彼と行動を共にする機会も多かった。

 後に勇者パーティを結成されることになった時、あたしはジャードと一緒に選ばれ、魔王討伐のために旅立つこととなった。

 戦士のジャードは前衛でパーティの盾となり、魔術師のあたしは後衛で魔法による主砲を担っている。

 旅を通じて互いを理解し合い、信頼し合うようになった。


「いろんな意味で、今のパーティも変わったよな」

「確かにね」


 勇者パーティを結成した当初はクラークってレンジャーがいたんだけど、魔王軍の幹部の一人であったギルダスとの戦いで戦線復帰が絶望的な重傷を負ってしまい、事実上のクビとなった。

 その後任で入ったのが同じくレンジャーのリュウトだ。


「あいつが入って来てから、俺たちのパーティも強くなったんじゃないかって思うんだよな」

「クラークには悪い言い方になるかもだけど、総合的な実力はリュウトの方が凄いよ」


 あたしが見てきた中でもリュウトはトップクラスと言ってもおかしくない実力を持っていると思う。

 それは当然だ。

 神武具セレスティアロを手に入れ、勇者の血筋も受け継いでいるんだからね。

 初めて知ったあたしたちは驚いたけど、当の本人が一番ビックリしていたな。


「ねえ、ジャード」

「何だ?」

「立て直しのためにエレミーテへ一時帰還したつもりが、リュウトって言うとんでもない逸材を見つけて、仲間になって、苦楽を共にして、魔王軍の幹部を相手にやり合って……。世の中って分からないモノよね」

「それは言えてるな」


 リュウトは才能やセンスに溢れているだけじゃない。

 魔物の知識や特徴に明るいだけじゃなく、サバイバルに関する知識や知恵も豊富だし、料理も上手だから気乗りしない野営生活が何日に渡って続いたことはあっても、それさえ楽しいと思えるようになった。

 何にしても、いろんな運命が引き寄せられていると感じてならない。


「今度の護衛任務もリュウトが積極的に先行警戒やルートチェックをやるって息巻いていたからね。あたしたちも気合い入れないとさ!」

「それは間違いないな!年齢はともかく、勇者パーティの先輩として、俺たちも気を引き締めないとな!」

「ええ!」


 そうして、限りある今日の自由時間を味わうあたしとジャードだった。


「そろそろ宿に戻るか?」

「買い揃えたい物も手に入ったし、リフレッシュにもなったし、充分ね!」

(ロリエのわがままに付き合わされた気もするけど、こんな日も悪くないか!)

「なぁ、ロリエ」

「ん?」


 店外に出てすぐ、ジャードが畏まったような態度であたしと向き合う。


「魔王軍との戦いは一層激しくなる可能性が高いから。だから……。もう少しだけ待ってくれよな。決着を着けたら、必ず答えを出すから……」

「そうね。結論はその後でも遅くないからさ。お互いに無事だったらって話だけどね」

「それは当たり前。ってか、大前提だろ?」

「言えてるわね」


 明日に大事な任務を控えているものの、有意義って思える一日を過ごせたって心から思うあたしなのであった。

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