第87話 重要な護衛
俺たちはフォーペウロの首都バアゼルホの大聖堂で行われた会合を終えて、宿屋の一室にいる。
滞在中はそこを拠点にするつもりだ。
「さて、今日の会合で起きたことを振り返るのは良いんだが……」
「何で男部屋に集合なのかな?」
その部屋には俺とジャードが宿泊する一室にシャーロットとロリエ、メリスもいる。
「何となく」
「流れ」
「落ち着きそうでしたから」
女性陣は口々にそう言った。
何てシンプルな理由ってツッコミたいところだけど、まぁ、いいだろう。
「明後日にはバアゼルホから離れた場所にある聖なる湖へ四人の聖女を護衛するために同行するんだよな?それまでに整えられる準備は整えておかないきゃだな」
「それも大事だけど、実際のルート取りもしっかりやっておきたいわね」
「ルートの確認は俺に任せてくれ」
「お願いするわ。流石はウチのパーティのレンジャーね!」
「エレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊が誇るレンジャーでもある!」
「自分で言うか?」
「言ってみました!なんてな!」
「「「「ハハハハハハ!」」」」
「うふふふふふ」
その晩は俺たちの作戦会議を行った。
大まかな流れや動きはさっきの会合で済ませたけど、勇者パーティ単位や護衛に同行してくれる騎士団との連携、四聖女の身体や精神のケア、必要な備品や消耗品の確認など、自分たちででき得ることをシミュレーションしていきながら夜を過ごした。
翌日、俺たちは城下町まで買い出しに出掛ける。
「見て、リュウト!特殊矢がこんなに売ってる!」
「本当だ!見たことないのもある!」
「聖職者向けのアイテムも多くありますね。念のために補充しておきましょう」
俺はシャーロットやメリスと一緒に行動している。
ロリエとジャードは別行動だ。
「ねぇ、リュウト」
「何だ?」
「この首飾り素敵じゃない?」
シャーロットは店に置いてあった一つのロザリオを模した首飾りを付けており、俺に感想を求めてきた。
「おう、似合うじゃないか」
「本当?嬉しい!」
褒められて嬉しいのか、無邪気な笑顔を見せている。
普段は勇者として凛とした振る舞いを心掛けているシャーロットだけど、子供のように笑う彼女も可愛いな。
「買いたい物も買えたから、次はランチに行こう!」
「それもいいな」
「美味しい物を食べて英気を養うのも良いですね」
次は近くの飲食店で食事を取ることになった。
「あそこにしよ!」
「分かった分かった!」
「……」
シャーロットに腕を引っ張られながら店に入っていく俺なのであった。
(心なしか、最近のシャーロットさん。リュウトさんとの距離が近くなっているような……)
◇———
四聖女の護衛に同行する当日を迎えた。
「エレミーテ王国の勇者パーティの皆様。今回は四聖女の護衛に同行していただけること、心より感謝する。今回はよろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
シャーロットと握手を交わしている甲冑に身を包んだ深緑色の髪を生やす偉丈夫の男性はフォーペウロ王国騎士団のトップを務めるアルフラド団長だ。
魔族領から比較的近くにあるフォーペウロを守り続ける騎士団の団長として多くの戦果を挙げる名将と言われており、他国の騎士団のトップからも一目置かれているそうだ。
それ以外に何人もの騎士や宮廷魔術師も同行される。
四聖女の護衛だ。戦力は充実させておくに越したことはない。
「団長。四聖女様がお見えになりました」
「うむ、ご苦労。引き続き、出発の手筈を整えてくれ」
「ハッ!」
どうやら出発の時が近づいてきたようだ。
それからほどなくして、集合場所である門の前まで歩いていく。
「皆様、この度の護衛、どうぞよろしくお願い申し上げます」
俺たちの前にはフォーペウロの第一王女にして、四聖女の一人であるレイニース様が顔を見せてくれた。
それからは他の聖女様が前へ出られた。
「勇者パーティの皆様、今回はよろしくお願いいたします」
桃色の長髪と瞳が特徴的な女性はアイラ様であり、にっこりと微笑みながら挨拶をしてくれた。
いかにも淑女って思わせるような印象だな。
「わたくしたちの護衛に心血を注いでいただけること、心より感謝申し上げますわ」
金髪を縦ロールに巻いた髪型と黄色い瞳が特徴的な女性はカトレア様であり、自身に満ちたような笑みを見せながら挨拶をしてくれた。
他の四聖女と比べて、勝ち気な印象って感じだな。
「フォーペウロの聖女としての責務を果たすためにも、皆様のお力を借りさせていただきます」
薄緑色の瞳と一つに束ねて前にぶら下げた髪型が特徴的な女性はフローラ様であり、恭しい仕草で挨拶をしてくれた。
一番おっとりしてそうな雰囲気だな。
三人は汚れ一つない真っ白な修道服に身を包んでおり、いずれもレイニース様と比べても見劣りしない美貌の持ち主だ。
レイニース様と一緒に並んで立ったら、絵になるような壮観さだと思わせてくれる。
何より、フォーペウロを魔族や魔物から守る結界を張る重要人物。
そのような方々を守るこの護衛任務は責任重大だとすぐに分かる。
「何としても守り切らなきゃだな」
「そうね」
聖なる湖に向かう道中に四聖女の内、一人でも万が一のことがあれば、魔王軍が侵攻してきた時の防衛力が一気に心許なくなる可能性が大きく高まるからだ。
そうなれば、魔王討伐も難しくなりかねないから、ただの護衛と見做してしまってはいけない。
結果次第では今後の行動や魔王軍との戦いに影響が出るのは明白だ。
「今回の四聖女を守るべき依頼、何があってもやり切らなければならないな」
そう決心する俺なのであった。
「それでは、参りましょう」
そして、俺たちは聖なる湖に向かって歩を進めるのだった。
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