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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第一章

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第9話 報告と歓迎会と鑑定スキル

リュウトが騎士団に転職して初めての歓迎会です!

リュウトの凄いスキルの一つが判明します。

「なるほど……。王都の近くの森林に隠された新ダンジョンが現れたと……」

「はい」


 調査を終えた俺たち第六班はエレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊のソフィア副隊長に一連の結果を報告するために隊舎へと戻っている。

 第六班の班長であるゾルダーさんからの説明を受けたソフィア副隊長が険しい顔をしている。


「この間、マッドオーガが現れたこと、今回の調査で判明した事実を踏まえると、新ダンジョンから魔物が溢れ出ようとしている状況になっていると考えられるな。それから、隠し通路についても気になる点が多く見えそうだ。誰かが意図的に作った可能性も否定できないな」

「はい。実のところを申し上げますと、その隠されたダンジョンを見つけたのも、可能性を指摘したのも、このリュウトなんですよ」

「それは本当か?」

「はい。それから調べたところですが……」


 ゾルダーさんは俺の背中を笑顔でポンと叩きながら答えた。

 自慢したいわけではないのだが、ソフィア副隊長が気になっている仮説を導き出したのはこの俺なんだ。

 それを森林で伝えた時は皆が大層驚いていたのを覚えている。

 そこからはゾルダーさんが用意していたダンジョンの内部を綿密に調べる特殊な魔力が込められた超音波を飛ばす魔道具を使うことで、概ねであるが地形構造や階層数、どんな魔物がどれだけ潜んでいるかを測定、ことによっては大掛かりな調査になるらしい。

 シーナさんから教わったけど、各地にある冒険者ギルドの支部には一定数の遊軍調査部隊の隊員が派遣されており、各支部の近隣にあるダンジョンの調査に一躍買っているらしい。

 冒険者目線で見聞きすればするほど、遊軍調査部隊の凄さや仕事の面白さが分かってきそうだ。

 そうこう考えている間に話が纏まったようだ。


「よし!近いうちに複数の班で合同調査に携わるチームを編成するとして、今日はやろうじゃないか!リュウトの歓迎会!」

「え?」


 何とソフィア副隊長の言葉から出てきたのは俺の歓迎会の話だ。


「それはいいですね!丁度、明日は第六班が非番なのもあるしな。やれる時にやろう!」

「言われてみれば、リュウトの新人研修だったり、皆バタバタしていたからできていなかったな」

「「賛成です!」」

「あたしもリュウトについて聞きたいことが結構あるしね!」

「え、あ、ありがとうございます」

「では、歓送迎会でよく使うお店を私が予約しておこう」


 そんなこんなで俺が遊軍調査部隊の一員になって初めての宴席が組まれる事になった。

 その後はゾルダーさんやシーナさんから調査を含めた仕事の成果をまとめる事務作業や他の部署とのやり取りについて詳しく教わることになった。

 教え方も丁寧だったからとても助かる。

 アンリやトロンからは騎士団の中で自由に使える施設を案内してくれた。


◇—————


「それでは!新しく遊軍調査部隊の一員となったリュウトの加入を祝して、乾杯!」

「「「「「乾杯~!」」」」」


 ソフィア副隊長の発声をきっかけに俺の歓迎会が始まり、参加者たちはグラスを手に取って乾杯をした。

 開催されたお店は王都の城下町にあるオシャレでモダンさを感じさせる雰囲気の良いお店であり、開放感のある屋上のテラスで会が執り行われた。

 それだけに広さは申し分なく、立食式のビュッフェスタイルなため、参加者が三十人はいるものの、自由に歩き回るのに困らない。

 料理も酒も本当に美味しかった。

 俺はゾルダーさんやシーナさんに連れられる形で各班の方々に改めて挨拶がてらの歓談をしており、親交を深めるように努めた。

 班は違えど、同じ部隊の仲間なのだから。


「リュウトさん、お疲れ様です。お替りのエールはいかがでしょうか?」

「ありがとう。いただくよ」

「どうぞ!」


 他の班との挨拶を大体終えた頃、アンリがエールの入ったお替りのグラスを持ってきており、俺はそれをいただいた。

 トロンもいるけど、こちらはほろ酔い気味だ。

 エレミーテ王国は十六歳からお酒が飲めるからね。


「どうでした?他の班の方々の印象は?」

「良い人たちばかりだと思うよ。俺が冒険者出身だと言ったら乗ってくるような人もいれば、自分と似たような経験をしている人もいたし、話していて楽しい人もいたよ」

「そうですか!でしたら、早く馴染めそうですね」

「かもな」


 遊軍調査部隊の他に面識があるのはギルド渉外部のネイラさんくらいで他の部隊や部署の方についてはよく分からないものの、気さくで社交性を感じさせながら、プロ意識もしっかり抱いており、ほとんどが好印象な人物ばかりだった。

 アンリの言う通り、仕事覚えの早さも関わってくるけど、馴染むのに時間はかからないとも思った。


「じゃあ、他の班の挨拶回りも済んだ事だし、第六班で聞いちゃいますか!リュウトのことについて!」

「へ?」

「それは興味深いな。俺もリュウトについて詳しく知りたいと思っているんだ」

「実は私も!」

「俺も!」

「俺も俺も!」

「冒険者時代の話を聞かせてくれよ」

「あはは……。いいですよ。話せる限り話します」


 シーナさんやゾルダーさんを皮切りに俺のこれまでのキャリアについて興味を抱き始める人が続出してヒートアップし始め、自己開示の意味を込めて俺の口から話すことになった。

 それからはテーブルのある席に集まった。


「おっ!第六班で固まっていたか!」

「ソフィア副隊長!お疲れ様です」

「そんなに畏まらなくていい。今日の主役はリュウトなんだからな」


 そこにソフィア副隊長が寄って来て挨拶をしようとしたが、手で制された。

 すると俺の隣の席に座った。

 隣にはシーナさんがいるから両手に花のような状態だからドキドキする。


「今からリュウトの冒険者時代の話を聞こうとしたところなんですよ」

「おお、それは興味深いな。私もぜひ!」

「ええ。話しますよ」


 ソフィア副隊長を含めた第六班に向けて、俺はこれまでのキャリアについて話す事となった。

 最近までAランクパーティ『戦鬼の大剣』のメンバーだったこと、脱退した理由、遊軍調査部隊に入るまでの経緯を……。


「なるほど……。その所属していたAランクパーティ『戦鬼の大剣』を脱退した後、ギルドでも懇意にしている知人から遊軍調査部隊の仕事を紹介されてここに来たのか……」

「はい。恥ずかしながら」

「いや、そんなことないって」


 ゾルダーさんが納得したような仕草を見せ、シーナさんはキッパリ否定した。


「まあ、確かに遊軍調査部隊は冒険者の経験がある隊員もそれなりにいるからね。実際、あたしもその一人だったからさ」

「シーナさんは冒険者をどのくらいされていたのですか?」

「六年くらいかな?これでもAランクに近いパーティの一員だったのよ!けど、あたしの場合は解散になったんだけど……」

「そうだったんですね」


 シーナさんの冒険者としてのキャリアも少しだけ分かったけど、それ以上は雰囲気を暗くしかねないため、また別の機会に聞くとしよう。


「それにしても、二十歳でAランクパーティの仲間入りを果たすなんて、リュウトさんは凄いですね。冒険者の経験がない私から見れば想像がつかないですよ」

「二十歳でAランクまで駆け上がるパーティって滅多にないからね。あたしから見ても大したもんだって思うわ」


 アンリとシーナさんは感心している。


「しかし、Aランクパーティの肩書を捨てることに後悔は無かったのか?騎士団と違って、腕一本で一気に大金や名声を得る機会も多いと思うんだけど……」

「無いですね」


 ゾルダーさんの質問に対し、俺はそう答えた。


「ランクが上がるに比例してから当時のリーダーを筆頭に増長するようになってから、パーティ内での扱いがどんどん悪くなって、方向性にもすれ違いが生じて、最終的には見切りをつけて自ら抜けましたからね。後悔はしていませんよ」


 ただ、冒険者を始めた頃からの仲であったリリナとはせめてって思う事はあるけどね。


「それにしても、その『戦鬼の大剣』の人たちってあんまりですよ!リュウトさんだけ報酬の分け前を少なくしたり、雑用を押しつけまくって自分だけ楽をするなんて!パーティならば助け合って当たり前なはずなのに酷いですし、リュウトさんが不憫に思ってなりませんよ!」

「本当にそれ!前線で戦う役割じゃなかったにしても、今までリュウトさんが縁の下の力持ちとして支えてきたのにそれを蔑ろにするなんて!リュウトさんを追い出したことを絶対に後悔する時が来るわよ!」

「トロン……アンリ……」


 トロンとアンリの二人は酒が入っているのもあってか、俺の代わりに怒るかのように語っていた。


「大変な思いをしてきたんだな」

「ソフィア副隊長」

「今から言う事はリュウトに限った話ではないのだがな……」


 ソフィア副隊長が凛とした面持ちで俺と向かい合う。


「リュウト、面接の時にも話したのだが、もう一度言わせてもらう。今後も遊軍調査部隊の一員として働いていく事になるが、冒険者として過ごした六年の月日は必ず実を結ぶと信じている。何か困ったことや悩んでいることがあれば、いつでも相談してきなさい。私たちが力になる。だからどうか、これからもよろしく頼む」

「……」


 改めて手を差し出すソフィア副隊長。


「はい。よろしくお願いします!」


 俺はその手を取り、硬い握手を交わすのだった。

 ゾルダーさんやシーナさん、アンリやトロンたち隊員も微笑ましい様子で見守っている。

 そんな時、店のシェフが一品の料理を運んでくれた。


「おっ!鹿肉のソテーか!これは美味そうだ!」

「ここの店はジビエ料理が最高なんだ!どれも美味くて癖になりそうだからな!」

「うひょ~、匂いだけで腹が減ってくる!」

「いただきます!」


 こんがり焼かれつつも、食欲をそそらずにいられない香りも感じる。

 スーッとその匂いを嗅いだ時だった。


「ッ!?これって……。ジビエを始めとする独特な匂いを消すのによく使われる“スメレスハーブ”を使っている感じですかね?それから、食欲増進作用のある“ファティアナッツ”も砕いて使っているのが分かります!これは美味しそうだ!」

「「「「「……え?」」」」」


 思わず俺がどんな材料を使っているかを言い並べると、皆が固まった。

 そこに料理を運んだシェフらしき人物が前に出て……。


「せ……正解です。恐れ入ります」


 やっぱり正解のようだ。

 するとシェフが恭しい態度を見せながら厨房へ戻って行った。


「リュウト。素材の名前を知ってたの?」

「いえ、何と言いますか。匂いに意識を向けながら《鑑定》のスキルを使ってみると、その素材の情報が頭に流れ込んでくると言いますか……」

「嘘でしょ!?」


 スキルの一種である《鑑定》はその名の通り、自分の目で視た物体や素材に秘められている情報を得ることができるようになった。

 少ない割合であるが、冒険者が《鑑定》を会得しているケースもあるため、いるだけでも重宝されやすいのだ。

 俺が『戦鬼の大剣』に在籍していて、会得できた当初はガルドスたちに大変喜ばれたが、Aランクになって少しした時に『セデレーシス炭鉱跡』ダンジョンで見つけた宝箱の中に《鑑定》のスキルを備えた魔道具を見つけたことがある。

 そのお陰で俺がいなくても物体や素材が何なのかを見極めることができるようになった。

 それでも俺は『戦鬼の大剣』に入った時から皆の役に立てるように《鑑定》を含め、会得しているスキルを自分なりに研鑽していった。

 嗅覚を織り交ぜて情報を取ることができるようになったのもその一つであり、本当につい最近できるようになったんだけどね。。

 もう脱退したから今後は魔道具を当てにすればいいだろう。


「それ……凄いの一言に尽きるぞ。《鑑定》スキルが使えるレンジャーなんて中々いないのもそうだが、見た物だけじゃなくて匂いで情報を引き抜くなんて……そんな奴は初めてだぞ……」

「凄すぎよ!そんなことができるんだったらさ、調査とかにおいても心強いよ!」

「ああ。私の目に狂いは無かったな!」

「ええと……あの……」


 酒が入っているのもあるだろうが、ゾルダーさんやシーナさん、ソフィア副隊長がとても興味深そうにしており、俺は少し引いている。

 けど、磨いてきたスキルやセンスが認められる自体は素直に喜ばしいし、これからの任務や皆との仕事で役に立てるなら、こんなに嬉しいことは無い。

 

 今、俺と一緒にいるのは……国や大切な物を守るために戦う同志であり、仲間たちなのだから……。

いかがでしたでしょうか?


少しでも「気になる!」「面白い!」「続きが待ち遠しい」と思われましたら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけると幸いです!

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