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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第三章

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第86話 大聖堂と四人の聖女

「ここがバアゼルホで一番の大聖堂か……」

「どう?大きいでしょ」


 魔王討伐のため、魔族領からほど近い場所にある国、フォーペウロに赴いている俺たち。

 ある目的のために王都バアゼルホの大聖堂の前まで来ている。

 外壁は純白の鉱石で築かれており、太陽の光を浴びて真珠のような淡い輝きを放っていおり、遥か昔に建造されたとのことだが、それだけの歳月を経ても汚れはおろか、雨だれの跡すら見当たらないくらいに清潔だ。

 規模も二階建ての民家を軽く凌駕するほどに巨大であり、神殿をモデルにしたような威厳すら漂わせている。

 ぶっちゃけ言えば、エレミーテ王国の王都にある教会がこじんまりとしているのではって思えてならなくなりそう。


「ここにフォーペウロの四聖女が揃っていると……」

「そうよ」

「お待ちしておりました。勇者パーティの皆様方」

「どうも」

「ささっ。中へご案内いたします。こちらへ」


 大聖堂を管理しているだろう従者に促されるまま、俺たちは中に入っていく。

 こういう場所って、中々慣れないな。


「ほえ~。広くて綺麗だな」

「私も初めて来た時はビックリしたものよ」

「何度来ても感動を覚えそうだわ」

「神聖とはこういった場所を言うのかもしれないな」


 中に入った俺たちの目に飛び込んだのは別世界のような神秘的な空間だった。

 左右に並ぶ五メートルは優に超える幾本の巨大な円柱は高い天井まで繋がっており、壁面には翼を広げた天使や歴代の聖女たちが今にも動き出しそうなほどに緻密な彫刻が施され、陽光によって七色に輝く大きなステンドグラスが随所にはめられている。


「他の教会とはいろんな意味で規格外だな」

「バアゼルホの大聖堂は未来永劫残しておきたいと国民の方に望まれるほど、世界的に有名な建造物なのです。冠婚葬祭において、この大聖堂で是非行いたいって方も後を絶たないくらいなのですから」

「そうなのか?」

「フォーペウロ国内の貴族やそれに近い身分の方々はここで結婚式を挙げることが多いんですよ。中には、挙式を行いたいってことでわざわざ国外から来る方も多いとの話もあるくらいなのですから……」

「それまた凄い話だな」


 お手入れを欠かしていないのか、ホコリ一つ落ちていない通路の両脇には、背もたれの高い木製の長椅子が整然と並び、最深部に鎮座する最聖所には巨大なク神像が安置されている。

 澱みのない空気を常に醸し出すような空間にいると、心が洗われる心地がする。

 メリスの言う通り、この大聖堂で結婚式を挙げたいって思うカップルが後を絶たなさそうなのも納得できる。


「今から会う四聖女ってどんな人たちなんだろうな?メリスのように慈悲深くて優しくて才能のある人ばかりとか?」

「まぁ、リュウトさんったら」


 褒められて嬉しいのか、メリスは微笑みながら少し頬を赤らめている。

 可愛らしいな。


「それは会ってのお楽しみではあるが、一つ言えることはあるぞ」

「何だ?」


 ジャードがもったいぶるように話そうとする。


「四人共、別嬪さんなのは確かだぜ」

「ほう、それはそれは」

「リュウト!」

「ひっ!」


 シャーロットから怒気を向けられる俺なのであった。

 俺たちは最奥の脇にある内部へ繋がる扉を潜っていく。


◇———


「ただいまお呼びいたします。少々、お待ちくださいませ」


 大聖堂の中にある広めの一室に呼ばれた俺たちは椅子に座って待機することになり、従者は部屋を出た。

 それから数分が経った。


「いよいよ、フォーペウロの四聖女とご対面ってわけか……」

「この国を守る要の存在よ。顔と名前はよく覚えておきなさいよ」

「分かってる」


 シャーロットから言って聞かされた直後、ノック音の後に従者の「お連れしました」の声が届き、扉が開く。


「失礼いたします」


 凛としつつも品位に満ち溢れる声と共に入って来たのは四人の女性だった。

 その内の一人は見覚えがある。

 エリザナ女王陛下の謁見の時、側にいた。


「シャーロット。エレミーテ王国勇者パーティの皆様、ご無沙汰しております」

「こちらこそ、ご無沙汰しております。皆様もお変わりないようで何よりでございます」


 女性一人が数歩前に出て俺たちと向き合う。

 宝石のように輝くような紺碧色のロングヘアは腰まで伸びており、トパーズのように綺麗な瞳、修道服をベースにしたような純白の絢爛なドレスに身を包んだ絵画から出てきたように美しい顔立ちをしている。

 聖女であることを考慮しても、放つオーラに圧倒される。


「こうして再会できて嬉しく思います。再びこの地へ降り立たれた理由は存じておりますわ」

「はい。魔王軍の幹部の一人との戦いで欠けてしまった後任が決まりましたため、紹介させていただきたく思います」


 数歩後ろに控えていた俺はシャーロットの隣に立った。


「お初にお目にかかります。エレミーテ王国勇者パーティの一員となりました、リュウト・ドルキオスと申します。此度の魔王討伐を成し遂げられるよう、全力を尽くす所存でございます」


 何とか言えたな。

 王族を前にした時の基本的な作法をメリスから聞いておいて正解だった。

 すると、女性はドレスを軽くつまみながらお辞儀をした。


「初めまして。わたくしは四聖女の一人であり、フォーペウロの第一王女。レイリース・ドゥ・フォーペウロと申します。新たな勇者パーティの一員となられたことを心よりお祝いを申し上げます」

「恐縮でございます」


 四聖女の一人であり、一国の王女。

 肩書だけで見てもとんでもないことこの上ない人物が俺の目の前にいる。


「リュウトは私と同じく神武具を手にした男です。今後の魔王軍との戦いに大きな一助をもたらすことをお約束します」

「神武具を持つ者がパーティに二人もいるとは、非常に頼もしいことです。リュウト・ドルキオス。共に戦いましょう」

「はい!」


 そう言い切るレイニース様は柔らかく陽だまりのような暖かい笑顔を見せた。


「それでは、我々と勇者パーティの魔王軍との戦いに向けての合同作戦会議を行わせてもらう」


 四人の聖女と俺たちを交えた魔王軍との戦いに備えた会合が幕を開けるのだった。

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