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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第三章

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第85話 【Sideリリナ】今でもあなたを想う

久々のリリナ視点のお話です!

「はぁあ……。終わったぁあ……」


 仕事を終えた私は自室で一人、ベッドに腰を下ろしていた。


「急遽休みになった人の穴埋めは大変ね」


 私はエレミーテ王国の王族専属の医療部隊の一員として日々奮闘しているが、今日も仕事に追われた。

 この仕事に携わってから少しずつ慣れてきたものの、大なり小なり、人の命に関わる仕事は立場が何であれ、否応なしにプレッシャーが付き纏うモノだ。

 制服を脱いだ私はすぐに自室に併設されているシャワールームへ入り、お湯を浴びる。


「明日はお休みだからいいんだけどね」


 明日は仕事がない休日だ。

 身体を休めるいい機会だし、やりたいこともできる。


「それに、明日は……」


◇———


「すみません。これを二束分いただきたいです」

「ありがとうございます」


 翌日、私は王都の城下町にあるお花屋さんに足を運び、二つの花束を買った。

 一つは花瓶に挿すようなサイズであり、もう一つは少し大きめなサイズだ。

 それから私は王都にある治療院を訪れ、一つの病室の前に立ち、ノックをする。


「入るよ」

「どうぞ」


 入室の許可を貰った私は中に入った。


「また来てくれたのね」

「今日は丁度お休みだからさ、来れる時に行くようにしてるからさ」


 ベッドの上にいる白味が混じった青い髪を束ねた女性はエマ・エスタル。

 私の姉であり、唯一の肉親だ。


「担当の先生から聞いたんだけど、このまま問題が無かったら自宅療養はできるんだよね?」

「うん。そうなれば、リリナと一緒に暮らせるかもね」

「まずは退院してからね」


 花瓶に挿さっている古い花と新しく買ってきた花を入れ替えながら話していた。

 数カ月前まで、姉は難病に罹っており、私は冒険者としてお金を稼ぎながら、姉の治療費を工面していた。

 それから紆余曲折を経て、今は姉の状態は見ての通り、弱っているとはほど遠いくらいに健康的になってきた。


「リリナ」

「ん?」

「リュウトさんがいなくなって、寂しかったりしない?」

「へ?」

「彼が旅に出て、一ヵ月が経つ頃よ……」


 姉はリュウトの……かつて同じパーティの一員として冒険した男の名前を口に出した。

 リュウトは私が冒険者時代にいた『戦鬼の大剣』を自らの意思で抜け出した後、エレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊に転職していた。

 騎士団と冒険者が手を組んだプロジェクトで再会した後、様々な出来事が絡みに絡んだ挙句、最終的には解散となった。

 それから私はエレミーテの聖女の一人であるセアラ様のお陰で姉の病気を快復の方向に導いてもらえることになり、私にも今の仕事を斡旋してもらえることとなった。

 こうして姉と仲良く元気良く過ごせている過程でいてくれたのは、リュウトがいたからなんだよね。


「そうだね。寂しいなってしみじみと思い始める頃かな。だけど、私なんかよりも大きなことに挑戦するために旅立ったんだもの。尊重してあげないと……」


 何とリュウトはエレミーテ王国の勇者パーティの一員として旅に出ている。

 遊軍調査部隊の一員となった彼は短期間の間に目覚ましい功績と実績を出したことで、魔王討伐のために活動している名誉あるパーティに所属することになった。

 同期として誇らしいことは紛れもなく本心だよ。

 だけど、遠くに行ってしまったような気もして、少し寂しい、いや、心に虚無感を覚えてしまいそうになった。


「だったら、また会えることを信じて待ちましょう」

「え?」


 すると姉は穏やかな口調で私に語りかけた。


「これは私個人の意見だけど、リュウトさんはリリナが冒険者時代から信用し合える人であり、私の未来を変えてくれる大きなきっかけを与えてくれた人。そうでしょう?」

「まぁ、そうだけどさ……」


 姉の言う通り、リュウトの実力や人となりは駆け出しの頃から知っている。

 冒険者から騎士団に転職してから、その強さと才能に磨きがかかっているんじゃないかって感じる自分もいる。


「確かに、お姉ちゃんの言う通り、今の私にできることがあるとすれば、リュウトが生きて戻って来るって信じることよね。そして、あいつが旅立つ前よりも立派で凄い自分になろうと頑張り続けること。だとすれば、寂しい気持ちを抱えたままじゃいられないよね」

「そうね」

「「うふふふふふ……」」


 姉と話していたら、何をすべきなのかが改めて見えたような気がしてきた。


「お姉ちゃん。私、行くね。もう一つ、やっておきたいことがあるから」

「うん。またね」


 次に会える予定を伝えた私は姉の病室を去った。


◇———


「一月ぶりに来たよ……」


 次に私が来たのは王都の少し離れた場所にある墓石が立ち並ぶ場所だった。

 毎月、ある日に定期的に訪れるようにしている。


「少しだけ寒くなってきたね。ガルドス」


 ガルドス・ハリブザー。

 かつて私とリュウトが所属していた冒険者パーティ『戦鬼の大剣』のリーダーだった男だ。

 結成された段階から入り、ずっと冒険してきた仲なんだけど、ボタンの掛け違いをきっかけに歪みが生じ、最終的にパーティは崩壊した。

 リュウトの脱退、彼の後任で入ったシェリーの存在が大きな引き金と言ってもおかしくなかった。

 ガルドスが嫉妬や暴走に任せて魔族に身を墜とした末、命まで落としたのだから。


「今のあなただったら、今のリュウトのことを受け入れられるはずよ」


 墓参りに来て初めて、私はリュウトが勇者パーティの一員になったことを打ち明けた。

 存命から魔族になってしまった時までだったら、気を狂わせたのだろうけど、今なら受け止めてくれると信じてる。


「ガルドスはリュウトよりも弱いとかって思っているかもしれないんだけど、そんなこと思わないよ。リュウトたちだって、同じことを思っているわ」


 『戦鬼の大剣』は既に解散したけど、同じメンバーだったアキリラやビーゴルは自分のできることを模索していくことを決めた上で故郷に戻って行った。

 かつての仲間たちは立ち止まってしまわないために、前を向いて生きている。

 本当の意味でその中心にいたのは……。リュウトだったんじゃないかって思えてならない。

 それから私は自分を含めた『戦鬼の大剣』のメンバーだった面々がどうしているかを伝えるのだった。


「また来るからね。もしも、アキリラやビーゴル、リュウトが次の墓参りまでに王都まで足を運んでいたら、一緒に連れて来るからね」


 そうして、私はその場を去るのだった。


「どんな立場になろうと、あなたがあなたでい続けるならば、どんな時でも私はあなたの味方よ。……リュウト」


 ガルドスの墓石を背にしながら、そう言い切る私なのであった。

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