第80話 並び立つ資格
「……」
次の目的地であるフォーペウロの国境付近まで来ている俺たちは野営で夜を過ごしている。
交代で火の番をしており、今は俺の番だ。
「シャーロットもだけど、他の皆も凄いって再認識させられるな」
ここまで来る道中、数々の魔物と遭遇した俺は今日、シャーロットたちの実力の一片を垣間見た。
ハッキリ言って、全員がとんでもない実力者と断ずるには充分すぎだ。
「エレミーテ王国騎士団でトップレベルと言われているのも伊達じゃないな」
テントで眠っているジャードを見ながら小さく呟いた。
武器は剣と盾のオーソドックスな装備でいながら、身体能力、戦闘技術、その場の判断力を含めたセンス、全てが超一級品だった。
自分の数倍の巨躯を誇る魔物の一撃を盾でいなした上でカウンターの一撃で倒す離れ業を当たり前のように決めてしまうくらいだからな。
彼が前衛で戦ってくれるなら、俺も安心して自分の役割を全うすることができる。
「メリスのサポートは本当に助かるな」
パーティの後衛にしてフォローの中心であるメリスの回復魔法や補助魔法の腕前は素晴らしいの一言に尽きそうだ。
かつて一緒に冒険をした僧侶のリリナも腕前は十分だったが、やはり聖女であるメリスの場合はレベルが頭一つ、いや、二つ以上は抜けているほどに高い。
メリスが回復役やサポーターとしてバックに控えてくれるだけで心にゆとりが持てそうなくらいの安心感を抱かせてくれる。
侯爵家の貴族令嬢でいながら、驕り高ぶることなく謙虚で品が良いものだから、所作を眺めているだけでも見惚れそうになる。
って、何てけしからんことを考えているんだ俺は!?
「ロリエの魔法はとんでもなかったな」
メリスと同じく後衛であるロリエは中遠距離戦の要であり、彼女の才能とセンスは驚異的だ。
遭遇した数々の魔物たちを一発でほとんどを倒してしまう破壊力のある魔法をまざまざと見せつけられた。
かつてのパーティメンバーの一人だった魔術師のアキリラと比べるのもあれなんだけど、ハッキリ言って天と地ほどの差があるのは明白だ。
地形の一部を変えてしまうほどの威力を誇る魔法を他にも会得しているとのことであり、シャーロットがロリエを魔法の天才と太鼓判を押すのも納得がいく。
魔法に関する知識や素養も豊富だから、敵に回したくないと勝手ながら思う。
「そんで、勇者のシャーロットか……」
聖剣エクスカリバーの所持者にして、勇者パーティのリーダーであるシャーロット。
そして、エクスカリバーと同じく神武具のセレスティアロの所持者であり、シャーロットと同じく勇者の血筋を受け継ぐこの俺か。
傍から見れば、錚々たる面子って見られるな。
シャーロットやロリエ、メリスやジャードの顔を思い浮かべた俺は改めてこう思った。
「どうやら俺は……。雲の上の存在かもしれない人たちのパーティの一員になってしまったんだな。……ははは」
パチッと弾ける火花の音を感じながら、思わず苦笑いを零すのであった。
◇———
「よし!片付け終わり!」
「ここから真っすぐ歩けば、次の町や村に着くのよね?」
「そうだよ。願わくば、そこで宿を取ろう」
「それは良案ですね。できれば、役に立ちそうなアイテムを揃えておくのはどうでしょう?」
「品揃えが豊富なショップがあれば、そうしよう」
「一度、きっちりメンテナンスもしておきたいな!」
話が纏まった俺たちは再び歩き出す。
すると……。
「皆。あのさ……」
「リュウト?」
「どうされたのですか?」
気が付くと、俺は皆を呼び止めていた。
シャーロットとメリスが声を掛け、ロリエとジャードは何も言わずに俺を見る。
「昨日の皆の戦いぶりを見ていて思ったんだ。俺たちがほぼ無傷であの状況を乗り切れたのはさ、皆の凄く高い実力あってのことだと思う。知っているはずだけど、俺は勇者パーティ、いや、エレミーテ王国騎士団に入る前、Aランクの冒険者パーティにいたんだ。もしも当時の俺があの状況に遭遇していたら、どうなっていたか分からなかった。だから、その……」
自分で喋り始めといて言葉に詰まってしまった。
だけど、それでも俺は言葉を振り絞る。
「皆のような凄い人たちと魔王討伐の旅に出ている俺だけど、皆のことは信頼しているし、甘えてしまわないようにベストを尽くす。この命も、皆が望むならば、いつでも、いくらでも懸ける!」
「「「「……」」」」
力強く言い切る俺の言葉を聞いたシャーロットたちが息を吞む。
「何を言い出すかと思えば、何だ?」
「え?」
沈黙を破るように最初に口を開いたのはジャードであり、のそりと俺の下まで歩み寄る。
「自分が力不足なのかってどこかで思っているなら言わせてもらうけど、答えはノーだ。神武具に選ばれて、勇者パーティの一員になって、あまつさえ魔王軍の幹部を倒すデカい一助を担ったんだぞ。お前が俺たちを信頼しているように、俺だってお前のことを信頼しているぜ!だろ?」
ジャードは俺の首に腕を回しながら、シャーロットやロリエ、メリスの方を見るように促した。
「リュウトさんのことは初めて会う前からお姉様より伺っておりますよ。実際、魔王討伐の旅に参加する以前からあなたの戦いや貢献ぶりを見てきましたけど、本当に素晴らしいの一言に尽きますわ。少なくともわたくしはリュウトさんのことを好ましい方だと思っていますよ」
「あたしも見てたけど、リュウトがいたから切り抜けることができた状況だってたくさんあったのよ。それに、あんたの料理が凄く美味しいもんだから、あんまり気乗りしなかった野営生活も楽しいって思えてきたのよ。戦闘以外でもあたしたちの役に立っているどころか、いろんなモノをもたらしてくれているんだからさ!」
メリスとロリエは優しい表情で俺をどう思っているかを伝えてくれた。
そこへシャーロットが歩み寄って来た。
「リュウト。最初は私……私たちはあなたが勇者の血筋を受け継いでいることが分かったから誘ったんじゃない。神武具を取るための遠征の時から関わってきて以来、強くて、優しくて、好ましい姿を見てきたんだ。だから、そんな話や関係を抜きにしたとしても、リュウトと一緒にパーティを組んでいきたいって心の底から思っている。誰が何て言おうがリュウト!あなたは私たちの大切な仲間よ!」
「……」
俺の心に皆の言葉が刺さっていることに気付いて確信した。
俺は……勇者パーティの一人として、やれてるんだって。胸を張っていいんだって。
「これからもよろしく頼むぜ。いろいろ世話を焼かせるかもしれないけどよぉお……」
なんて言葉が出ていた。
「はっはっはっ!世話を焼かれるのも仲間ってモンだぜ!」
「わたくしにできることがあれば、どんなお世話も焼きますよ」
「魔法のことはいくらでも相談していいからね。それ以外は要相談だけど」
「ははは……」
「……」
こんな自分を笑顔で、広い度量で受け入れてくれる仲間を大事にしていきたいし、守っていきたい。
(必要に決まってるでしょ。リュウト。あなたは私の……。私にとっての……)
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