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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第三章

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第78話 【Sideシャーロット】かつて抱いたことのない気持ち

シャーロット視点のお話です!

「リ、リュウト……。あのね……」

「うん」


 魔物や人の気配一つもない原っぱの中、私とリュウトは優しさを感じさせてくれるそよ風に打たれながら向き合っている。

 だけど、正直に言って、今の私はどんな顔をしているか分からない。

 ただ、今まで抱いたことのない感情であるのは確かだ。


「私ね……。テーゲムにいいようにやられかけそうになって、あなたに助けられてからずっと考えてたんだ。あなたのことを」

「うん」

「その時、情けない姿を見せちゃったのに、リュウトはこう言ってくれたよね。『勇者と言っても、一人の人間だよ。得手や不得手もあるなら、向き不向きも一つや二つもそれはあるだろう。いちいち気に病まなくてもいいさ』って……」

「そう言ったな」


 私は魔王軍の幹部の一人だったテーゲムに一杯食わされてピンチになったところをリュウトに助けられた。

 自分で言うのもおかしな話だけど、その時の私は勇者らしくない姿を晒してしまった。

 オフの時は仲間の前でもリラックスした様相を見せることも珍しくない方だけど、戦いの時を始め、魔王軍討伐に関する事柄については毅然とした態度でいるように努めている。

 だけど、テーゲムに嵌められた時、醜態と表現するのはオーバーだと思うけど、それに近いような姿をリュウトに見せてしまった。


「リュウト自身はどう思った?」

「どうって?」

「私……。テーゲムの罠にかかって、あなたに見苦しいところを見せてしまったよね?本当はどう思ってるのか知りたいなって……」

「……」


 我ながらどうしてこんな質問してるんだろう?って思いながら問いを投げてみる。


「どうも思わないよ。敵さんの罠にかけられたんだったら、それは見苦しいことではないって俺は思ってる」

「本当?」

「少なくとも、失望はしてないし、今でも勇者として信頼しているよ」


 リュウトは迷いなく答えてくれた。


「良かった。それを聞いて安心したよ」

「ん?」

「勇者なのに信頼されていなかったらどうしようって勝手に思ってたからさ……」

「そんなことか」


 ロリエやメリス、ジャードは何年も前からの付き合いだからあれだけど、リュウトはパーティ内においては新参者だから、ダメなところを見せてはいけない気持ちも抱いていたんだと思う。

 だけど、何だろうな?リュウトにだったら、性分的にもダメなところを打ち明けてもいいような、気を許していいような何かを感じさせてくれる。

 同じ勇者の血筋が流れているからなのかな?


「ずっと気になっていたんだけどさ、リュウト」

「何だ?」

「リュウトって気になる異性はいたりするの?」

「気になる?」

(どうしたんだ、急に?)


 何気なく私はそう問い掛ける。

 間を保ちたい意味も含めてとは言え、何でこんなことを聞いてるんだろうって我ながら思う。


「気になる異性って言うか、仲良くしているって断言できる女性だったら言えるが……」

「へ?」


 リュウトは臆面もなく次々とその人たちの名前を言い並べていった。

 彼が旅発つ前までお世話になっていたエレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊の先輩方や後輩。

 冒険者時代に仲が良かったかつてのメンバー。

 そこまで聞いていろいろ思った。


「そう、そうなんだ。へぇえ……」


 なんて言いながら取り繕う私なのだった。

 リュウトって、無自覚ながらに結構モテるタイプなんじゃない?

 いやいや、仕事上での付き合いならば、私が気にすることではないだろうって思うはずだ。はずなのに……。


「違うのよ。私が言いたいのは、その……。私は……あなたが……」

「うぉ?」


 なし崩しのように言ってやろうとした。

 正直、今の私はどんな顔をしていたのかさえ分からなかったけど、ドキドキしていることを示すような表情だったと思う。

 少なくとも、武者震いとかじゃないのは覚えている。


「リ、リュウト!あの———」


「二人共、もう起きてるのか?」

「「え?」」

「何だ?お取込み中か?」


 他意があるかどうかは不明だけど、ジャードが割って入るように話し掛けてきた。

 悪気が無いのは理解しているんだけど……。


「ジャード……」

「何だ?どうした?」


 私は腰に挿している聖剣エクスカリバーを手に取って……。


「ちょっとは空気を読みなさいよぉおおおおおお!」

「一体全体、何だってん———だぁあああああ!」


 昂った感情そのままにを振るう衝撃を受けて吹き飛ぶジャードを気の毒な人を眺めるような目で見るリュウトなのであった。


◇———


 馬車で送ってくれる直前の場所で降りてから少し歩いていた頃……。


「シャーロットさん。リュウトさん。それにジャードさんもどうしたんですか?出発してから口数が明らかに減っている気がするんですけど……?」

「いえ、何でもないわ」

「俺も、大したことはない。こっちの話だから気にしなくていい」

「リュウト。発つ前に一体、何があったのかくらいは教えなさいよ」

「そこのところはノーコメントで頼む」

「何なのよそれ!」


 あの時に起きていたことをどうにかして黙秘するのに必死にならざるを得なかった私とリュウトだった。

 それから超えるべき山岳を歩いていた頃……。


「「「「「グルル……」」」」」

「おぉお。魔物が棲み付いているって話ではあったが、これはまた……」

「予想通りかそれ以上の数ですね」

「この道を通らないことにはフォーペウロに辿り着けないんだから、やってやろうじゃん!でしょ!」

「そうね!」


 峠の岩壁が覆う通り道の関所のような場所で多種多様な魔物と遭遇したものの、ジャードやメリス、ロリエは淀んだ動き一つ見せることなく臨戦態勢に入っている。

 正直、魔王討伐の旅を通して、このシチュエーションは慣れたモノだからね。

 リュウトも聖弓セレスティアロを魔物たちに向けている。


「では、戦闘開始!」


 私がそう言うと、それぞれが魔物と向き合いながら身構える。


(中衛は俺に任せていいからな!)


 言葉を発さずとも、リュウトの強い目力で伝わるメッセージを受け取りながら、私は聖剣エクスカリバーを構えるのだった。

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