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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第三章

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第76話 二つの光

この話を機にシャーロットは……。

「風の精霊に力を借りただと?見たところ、精霊と心を通わすのに優れたエルフ種やジョブが精霊術師ではない貴様がそんな芸当をできるはずはあるまい。何かの冗談ではないのか?何をそんな——」

「お前らから見れば冗談なのだろうけど、実際にできているんだから本当なんだよ」


 俺自身、そんな芸当ができるようになったことに確信を持てたのも、こうして形にできるようになったのも、本当に最近なんだからな。

 魔術師でも魔力で弓矢を模った攻撃をするくらいなら、修練を重ねれば簡単にできるし、それを実際に行う人物も冒険者時代に何度も見たことがある。

 だが、普通の弓矢に風を纏わせるような芸当は一介のレンジャーにできることではない。

 弓を得手とする者が特殊矢を使ってそれに近いことをどうにかやってみせるのが関の山だ。

 世間一般に知られている不可能なことを可能にしているのは当然、普通ではあり得ない要素を有しているからに他ならない。


「まさか?一介のレンジャーでしかない貴様がそんなことを可能にしているのは……?」


 魔王軍の幹部の一人であるテーゲムが今起きている状況を理解するのに、数刻の時もあれば十二分だった。


「そうだ。聖弓セレスティアロの力さ!」


 俺は神武具の一つであるセレスティアロの加護と自身のスキルを併用することで、普通の弓矢に属性や効果を付与させるなどの特殊なアクションを実現させているからだ。

 そして、その内の一つが精霊との対話による弓矢へ風属性の追加だ。

 神武具による聖属性も付与されているため、俺とシャーロットを包もうとしている黒い瘴気のようなモノも完全に消し飛ばした。


「バ、バカな?そんなことができるなんて聞いてないぞ!勇者でもない貴様がなぜ?いや、貴様は何者なんだ?」

「俺か?」


 テーゲムは先ほどとは打って変わり、動揺の様相を見せている。

 そんなことをよそに俺は口を開く。


「俺の名前はリュウト・ドルキオス。勇者パーティの一人であり、ただのレンジャーさ!」


 こう言ってやった。

 『ただの』ってワードは聞く人によっては謙虚と捉えるか嫌味と捉えるかは千差万別だろうけど、俺のは前者の意味合いが強いと勝手ながら思うことにしよう。

 俺は矢筒に収納してある弓矢二本を手に取る。


「ふざけるなぁあああ!」


 目の前の状況を必死で否定するかのように叫ぶテーゲムは再び劇薬入りの瓶の数々を出現させようとする。

 だけど、俺の方が早い。


「シュッ!」

「ぐわぁああああ!」


 俺は“爆撃の矢”二本をテーゲムの両腕に速射を放ち、刺さった箇所は爆発を引き起こす。

 爆風に巻き込まれたその身体は後方に吹き飛ぶ。


「あぁああ。腕が……腕が……」

(こんな、馬鹿な?)


 命中して爆発したテーゲムの両腕は跡形も無く消し飛んだ。

 魔王軍の幹部を相手に遊んでやるつもりはないからな。


「やっぱり、凄いわね。リュウト……」

「シャーロット!」

「ぐぉ!」


 声がした方角に振り返ると、シャーロットが立ち上がっている。

 どうやら少しは動けるくらいには回復したようだ。


「大丈夫なのか?」

「まぁ、何とかね。それより、一つ提案があるんだけどさ……」


 聖剣エクスカリバーを構えながらシャーロットはこんなことを言った。


「せっかく神武具が二つもあるから、一緒にあいつを倒しましょ!」

「偶然だな。俺も同じことを考えていたところだ」


 俺も似たようなことを言おうと思っていただけに好都合だ。

 “破魔光の矢”を引きながらセレスティアロを構える俺とエクスカリバーの刃を上に向けて両手を交差させながら側頭部辺りに構えるシャーロット。

 魔力と集中力を練り上げていく。


「あっ……あぁ……」

(ダメだ。あんなの受けたら木っ端微塵だ)

「うっ、うわぁあああ!」


 最早どうにもならないと悟ったテーゲムは背を向けて逃げ出す。

 だけど、もう遅い。


「喰らえ!」

「天聖貫!」

「ギャァアアアアアア!」


 俺は光り輝く“破魔光の矢”に神武具が持つ聖属性の魔力を込めて放ち、シャーロットはエクスカリバーに集約された光を突きの要領で前に放つと、刀身から野太い光線のように飛んで行った。

 その二つの光は死に体となろうとしているテーゲムに直撃する。


「チクショォオオオオオオオ!」


 魔王軍の幹部の一人であるテーゲムは断末魔を上げながら、塵となって消えるのだった。

 光が晴れると、周囲を覆っていた空間が上からボロボロと崩れるように消滅していく。


「うぅ……」

「シャーロット!」


 技を放ったシャーロットはエクスカリバーを杖代わりに立っている状態だった。

 俺はその身体を支える。

 先に受けていた精神攻撃の影響がまだ残っていたか?


「凄い一撃だったぞ」

「あなたの方こそね。リュウト」


 俺とシャーロットは互いの無事を確認し合いながら、力を認め合いながら称え合う。


 気が付けば、俺たちは元の場所に戻っていた。


◇———


「シャーロット!リュウト!」

「お前ら、大丈夫か?」

「すぐに回復魔法を掛けますね」

「ロリエ。ジャード。メリス」


 テーゲムを倒したことで発生した空間が消滅した俺たちは地上に出ていた。

 取り残されていた皆とも合流し、メリスに回復魔法を掛けてもらっている状態で俺とシャーロットに何が起きていたかも説明した。

 村長の正体が魔王軍の幹部の一人であるテーゲムであったこと。

 テーゲムの能力。

 闘いに発展してから決着まで、どうやって奴を倒したかまで、語れること全てを。


「なるほどね。呪いや毒物を操るスキルの類じゃなくて、毒を含めて、それらから守る加護を掻い潜るのに特化した相手だったら、そうなったのも納得だわ。魔王軍にその要素を持った相手がいることを少しでも考えるべきだったわね」

「それは今後の改善すべき点として受け入れるべきですけど、シャーロットさんやリュウトさん、わたくしたたちに村人の皆様もこうしてご無事だったのですから……」

「何にしても、今はごちゃごちゃした状況を乗り切れたことを喜ぼうぜ!」


 メリスのお陰で動けるようになってから、テーゲムによって操られていた村人たちの介抱に追われたものの、事情を説明したら「気にしなくてもいい。そんなこともあるさ!」って笑い飛ばしてくれた時には感謝の気持ちを覚えるしかなかった。

 最初に訪れた時とテーゲムを倒した時の違いと比べれば、村人たちは随分と生き生きしているように思えた。

 泊まれる場所を探していた時に泊める場所を提供してくれた民宿のオーナーが持つ部屋で俺たちは一晩を過ごすことになった。

 俺たちが寝静まり、日時が変わろうとする頃の夜中。


「ふぅう……」


(リュウト……。ありがとう……)

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