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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第三章

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第72話 北へ

新章スタートです!

「今のところ、魔族や強力な魔物に遭遇していないだけいいけど、却って恐いと思うな」

「私も同感よ」


 俺たち勇者パーティは魔王討伐の旅に出ていて、魔王城があるとされる北の大陸へと歩を進めている。

 ネウリオを発ってから五日、道中で馬車を利用したり、野営をしながら進んできたものの、目的地まではまだ遠い。


「次に目指す場所はフォーペウロって国なんだよね?」

「ええ。そこに赴かないとね」


 次の目的地はフォーペウロと言う国だ。

 この国はエレミーテ王国とは中立の関係を保っているものの、基本的には他国との積極的な交流を望んでいないことでも知られている。

 それでも、ここまで目指すのには大きな理由がある。


「このフォーペウロが城塞都市国家にして、魔族領の侵攻を守る要となっているんだよね?」

「うん。その国は充実した軍事力だけでなく、抱えている聖女の数が世界でも随一って言われているんだ。そうよね?メリス」

「はい。確かフォーペウロはお抱えの聖女が四人の他にも、神官や僧侶などの聖職者を多く抱えていると存じております。フォーペウロの城塞都市バアゼルホを中心に被害を受けていない町村も多くあるため、魔王軍の侵攻が激しくなっても、治安をどうにか保てているとのことです」

「それにしても、聖女を四人も抱えているとはな。エレミーテ王国の倍じゃないか」


 メリスはフォーペウロがどんな国かについて教え、「四人の聖女が張る結界は世界でもトップクラスの防御力を誇る」と言う説明もしてくれた。

 なるほど、それだけ安全ならば、魔王軍との戦いにおいても万全の準備を整えやすそうだ。


「気になっていたんだけど、いつ頃到着する予定なのかな?」

「このまままっすぐ行けば、十日間はかかるかもね。引き続き、魔族や魔物の奇襲には備えておいた方がいいわ」

「それもそうだな。つっても、もうすぐ日が暮れちまうから、どこか町や村があればいいんだけど……」

「あるよ?この道をずっと行けば」

「え?分かるの?」

「<感覚操作(センス・コントロール)>で視力を強化して前方を見つめてみたら、村らしき場所があったよ」

「「「「……」」」」


 そう言い切る皆は少しばかり固まっていた。


◇———


「ふう、着いた」


 馬車から降り立った俺たちがしばらく歩いていると、数件の建物が立ち並ぶ小さな村があった。

 哀愁が漂うって言うか、寂れているって言うか、人通りは少なめに思えるが、人並みの生活が送れる環境であるのは確かなようだ。

 そんな時、村人の壮年の男性が話しかけてきた。


「おや、こんな村に。旅の者ですかのう?」

「そうなんですよ。実はですね……」


 シャーロットが受け答えしている。

 よほどのことが無ければ、俺たちが勇者パーティであることは極力明かさないようにすべきと教えられている。

 俺たちの動きが魔族側に読まれてしまわないようにするためであるが、何よりも関係ない人を巻き添えにしてしまうことや無理な気遣いをさせてしまうことを防ぐためでもあるからだ。

 それから少しの時間が経った。


「皆!このおじいさん、小規模だけど、民宿を営んでいるから泊まっていいって許可をもらえた」

「本当!やった!」

「ありがとうございます!」


 どうやらシャーロットが宿泊できる場所の有無を確認していたところ、何とそれが見つかったようだ。

 ロリエとメリスは喜びの声を上げた。

 この五日間は野営暮らしだったからな。

 それから夜になって……。


◇———


「いいんですか?こんな盛大にやってもらっても?」

「何を言いますか?せっかくのお客さんだ!歓迎せずにいられんよ」


 俺たちは村長の意向で村人全員を集めた宴会を開いてもらっている。

 中心には大きな火が焚かれており、キャンプファイヤーのようになっている。


「一晩休んで明日発つつもりなんですけど……」

「良いのじゃよ。好きで振舞っているだけなのじゃからのう」

「ありがとうございます」

「ほっほっほ。さあ、客人の皆様に食事と酒の用意を!」

「「「「はい!」」」」


 そこからは村長の指示で村人たちが簡単なテーブルをいくつも用意し、いかにも美味しそうな料理やエールの入った樽の数々が運ばれてきては次々と並べていった。


「おいおい、これはな……」

「辺鄙な村に来てくれる人が久々にしても、ちょっと豪華が過ぎるんじゃないって思うわ」

「もてなしたい気持ちが分からなくもありませんけど、何だか申し訳なくなりそうですね」


 ジャードやロリエ、メリスも俺が思っているような感想を並べている。

 自分で言うのもあれだけど、どこからどうやって、こんな美味しそうな料理や酒の数々を用意したんだって気になってしまう。


「ささっ、村でも自慢の一品の料理ですので、遠慮なく召し上がって下さいませ!」

「ど、どうも」

「ここまでもてなされたら、いただかない方が失礼ですよね」

「見た感じ、普通に美味しそう」

「据え膳食わぬは何とやらって言うからな……」


 シャーロットたちもどこか戸惑いを覚えながらも、空気を読みながら食事を楽しもうと努めていた。


「酒は全員持ったな!では、ここまで足を運んでくれた者たちの歓迎とこれからの幸を願って……乾杯!」

「「「「「乾杯!」」」」」


 村一体で興すような宴席が始まった。

 ここまで来たら、悪戯に断るのも野暮だし、もてなすための機会を勝手な感情で壊すのも、また無礼な話だ。

 最初の一杯を皆で味わってしばらくした後、宴席は急に盛り上がった。


「さぁさ、召し上がってください。自慢のお酒ですから!」

「はい。いただきます」


 村長に酒を勧められ、揃って口に付けようとした時だった。


「……うっ!」


 俺はグラスに注がれたエールを嗅いだ時に微かな嫌悪感を帯びたような匂いを感じた。


「皆!これを飲むな!」

「「「「なぁあ!?」」」


 寄せてしまいたくないような汚物のような違和感を気取った俺は傍にいるシャーロットやロリエ、メリスやジャードを制止させた。


「リ、リュウト?」

「な、何を?」


 焦ったようなリアクションを取ろうとする村長らをよそに俺は告げる。


「俺たちに何を飲ませようとしているんだ?村長さん!」


 純粋な疑いの一言だった。

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