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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第二章

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第70話 決意と共に

「明日の朝には馬車でここを発つってことでいいんだよな?」

「ああ。その通りだ。寝坊するなよ」

「分かってる!」


 勇者パーティの一員であったクラークと顔を合わせた俺たちはネウリオにある宿屋で泊まることになった。

 俺が今いる部屋にはジャードがおり、別室にはシャーロットやロリエ、メリスがいる。

 宿暮らしは基本的に男女別室にした方が良いからな。

 冒険者時代、予算が無い時は苦肉の策って意味で同じ部屋で一晩を過ごしたものだ。


「にしても、クラークの後任で入ったのがリュウトで良かったよ。てか、男で良かったってのもあるな」

「どういう意味?」


 ジャードからそんな言葉を聞いた俺は少し呆けた。


「クラークがいた時もそうだったが……。ほら、今のパーティって女の方が多いだろ?もしも新メンバーが女だったら、勇者パーティで男は俺一人になっちまうところだったんだよな。だからリュウトが入ってくれたのはある種の救いになってんだよ」

「な、なるほど」


 私情と言っていい話ではあるものの、ジャードの言っていることも少なからず理解できる。

 俺が『戦鬼の大剣』にいた時は男三人で女二人だった。

 今の冒険者パーティの数々はそんな比率である一方、かなり少ないものの、男しかいないパーティもあれば、女だらけのパーティもある。

 もしも五人パーティの中に男がジャードだけだったらって思うと、戦闘以外においてはいろいろと肩身が狭くなるってイメージはすぐに浮かんでくるな。

 ガールズトークにも付いていけないだろう。


「その気持ち、よく分かる」

「だろ!だからさ……」


 快活な笑みを見せていたジャードは一転して、しっかりと俺の顔を見据える。


「これからはよろしく頼むぜ!リュウト!」

「もちろんだ!」


 俺はジャードと拳を合わせた。

 よし、男同士頑張ろう!


◇———


「……ん。あっ。まだ夜明けじゃないのに起きちゃった」


 まだ朝日が昇っていない時間帯に目が覚めた。

 二度寝のせいで寝坊をしてしまいたくなかった俺は宿屋を出て少し散歩に出ることにした。

 一時間もしたら戻ろうと思いながら、ジャードを起こさないように静かに扉を開けて部屋を出る。


「ん?」


 階段を降りようとした時、一つの扉が開く音がして、その方角に振り向いた。


「あっ?リュウト?」

「シャーロット?」


 部屋から出てきたのはシャーロットだった。

 麻と綿を混ぜた素材で作られただろう、黒い五分袖の上着にタンクトップとショートパンツを着ているが、普段とは違った印象を見せているようで新鮮だ。


「どうしたの?どっか行くの?」

「中途半端な時間で起きたから少し散歩しようと思って……」

「実は、私もなんだよね」


 どうやらシャーロットも同じ考えをしているようだ。

 それからは一緒に外に出ることにした。


「風が気持ちいいわね」

「そうだな」


 シャーロットの言う通り、通りには暑すぎず寒すぎない程度の温度を帯びたそよ風が吹いており、俺たちの肌を優しく叩いている。

 そう言えば、俺が旅に出てからシャーロットと二人だけで話すのって初めてだな。


「初めてこのネウリオって町に来たんだけど、良いところだよな。クラークが療養するにはベストな環境だと思う」

「私もそう思ってる」


 それから二人で歩いている時だった。


「それにしても、リュウトのことを含めて、世の中って分からないモノだよね」

「ん?何が?」


 シャーロットは不意にそんな言葉を口にする。


「魔王軍の幹部の一人だったギルダスとの戦いで欠いたクラークの後任がリュウトってだけなら、相応の才能のあるレンジャーってだけで結論付けたままだったと思っていたんだ。だけど、蓋を開けて見たらビックリ、神武具のセレスティアロを手にして、勇者の血が流れていることが分かって、いろんな意味で驚かせられたんだから。そんな事実があるからこそ、世の中って分からないんだよね。エレミーテ王国騎士団遊軍調査部隊にそんな凄い人がいるなんて、夢にも思わなかったんだからさ……」


 そんな風に呟くシャーロットはどこか諦観が入り混じったようでもあった。


「これって何と言えばいいのかな?神の思し召し……とか。いや、そんな使い方だと後でメリスに怒られるかな?」

「どうだろう?」

「まぁ、とにかくさ……」


 一つ咳払いを挟んだシャーロットが話し出す。


「私も勇者の血が流れていて、リュウトにも私と同じ血が流れていて、神武具に選ばれた。そんなあなたが巡りに巡って私たちのパーティに入ったのは運命だと思っている。世間では『運命の出会い』って言葉もあるくらいだからさ。大体は男女の関係によるものではって勝手ながら思ってる。だけど……。私は魔王討伐の旅において無くてはならない存在と巡り合えたとも思っている。運命があるとすれば、それはリュウトと出会えたことだと信じてならないんだ」

「……」


 朝日が昇り、次第に陽射しが差し込んでいく光を背にシャーロットは口を開いた。


「私はリュウトのことを好ましく思っているし、そんなあなたと果たすべき悲願と共に旅ができることを嬉しく思っている。何より……。魔王討伐も含めて、多くの得る物もあると感じてならないんだ。だから……」


 宿屋が近くにある場所でシャーロットは俺と向き直る。


「これからもよろしく頼む。リュウト」


 シャーロットは新たに固めた決意や仲間として認めていることを疑わせない笑顔を見せながら、俺に手を差し伸べた。

 それを見て俺もまた……。


「あぁ。皆の力になれるようにベストを尽くすよ。だから……こちらこそよろしく頼むよ」


 決意を新たにしながら、差し伸べられた手を取るのだった。


 確固たる意志を表明せんばかりに輝かせていく、その朝日をこの身に受けながら……。


◇———


 翌日。


「皆、来てくれてありがとう。これからの旅がより良いモノになることを願ってるよ」

「ありがとう」


 旅立つ直前に俺たちは治療院の前に立ち寄った。

庭ではシャーロットと車いすに乗っているクラークが握手を交わしている。

 続いて……。


「リュウト」

「……」


 俺がクラークと向き合う。


「皆を頼む。リュウトなら立派にできるって信じているから」

「任せてくれ。必ず成し遂げるよ」


 クラークから差し出された手を、俺も決意を込めた握手で応える。


 そして、次の目的地に向けて俺たちは旅立つのだった。

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