第69話 かつて勇者パーティだった者
かつての勇者パーティのメンバーだった人が登場します!
勇者パーティが王都を出て三日後。
「さぁ、着いたよ」
「おぉお!これは!」
「俺たちは少しぶりだけどな!」
俺たちが来たのはネウリオと言う街だ。
街中には趣向を凝らしたようなお洒落な建築物が並んでおり、馬車も行き交う通りには多種多様な店も点在している。
それでいて緑を感じさせるような彩り豊かな花壇や大きな観葉植物もいくつもあるからか、空気が澄んでいるようにも感じられる。
俺も冒険者時代に訪れたことはないけど、良い街だと思わせるには充分だった。
「オシャレな建物もあるけど、住み心地も良さそうな感じがするな」
「でしょ?さぁ、行くわよ!」
俺はシャーロットたちと共に目的地へと歩いていった。
通りには美味しそうな屋台も数点あり、食欲をそそるような良い匂いが立ち込める。
機会があったら行ってみよう。
そんなこんなで……。
「ここか?」
「うん、そうだよ」
俺たちが辿り着いたのはネウリオにある一軒の治療院だ。
街一番と言われているだけに、白を基調にした大きな建物であり、それでいて清潔感も抜群だった。
門の向こうにある庭には植物が彩るように咲いており、老若男女問わず、入院しているだろう患者たちは活き活きとしている。
「では、入ろうか」
「あぁ!」
俺たちは治療院の扉を開けて中に入っていく。
受付もシャーロットさんがどんな用で訪れているかを分かり切っているのか、スムーズに手続きが進んだ。
それからは一つの病室の前に立った。
「それじゃあリュウト。まずは私たち四人から入るね。私が許可をしたら入って来て」
「分かった」
まずはシャーロットとロリエ、メリスとジャードが入っていき、そこからは体調の良し悪しや近況を交えた雑談が数分続いた。
「さぁ、入って!」
病室からシャーロットさんの入室を許可する声が届き、俺は病室に入っていく。
「君が……。俺の後任で入ったメンバーかい?」
「はい」
ベッドの上で上体を起こしているのは耳まで伸びた黄緑色の髪と茶色の瞳をした優男のような風貌をした青年であり、社交性を感じさせるような印象を与えさせてくれる。
「初めまして。新しく勇者パーティに加入しました、リュウト・ドルキオスと申します。ジョブはレンジャーです」
「俺はクラーク・シュトリスだ。ジョブは君と同じくレンジャーだよ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
「そんなに畏まらないでくれ。聞いた話だと、俺と君は年代もほぼ同じだから、気軽な振る舞いで構わないよ」
「そうか。では、お言葉に甘えるよ」
クラークから差し出された手を取り、握手を交わす。
それから俺が一つの質問を投げかける。
「俺の見当違いだったら謝るけど、もしかして、下半身が動かせないのか?」
「うん。正解さ」
どうやら見立ては当たっているようであり、クラークは両足を見せた。
「話はシャーロットたちから聞いていると思うけど、魔王軍の幹部の一角だったギルダスとの戦闘で俺は深手を負った。特に、脊髄に酷いダメージを受けてしまったせいで、俺の両脚はこの通り、全く動かせなくなったんだ。もちろん、旅に出ることも叶わなくなった」
「……」
そう呟きながら自分の両脚をさするクラークの表情はどこか儚げでだった。
「だけど、ギルダスを倒した話を聞いた時、胸が空いてもいるんだ。リュウトがその一助を担ってくれたんだよね?」
「ああ。シャーロットたちのお陰でもあるんだけどな……」
「君がいたから勝てたんだ。もっと誇っていい」
かと思ったら、元気な姿を見せ、俺を褒めてくれた。
意外とムードメーカーな方なのかな?
「そうだ。思い出したんだが、リュウトは神武具の一つであるセレスティアロを手にしたんだろう?」
「おっ、おう、そうだが?」
「見せてくれないかな?」
「いいぞ」
俺はクラークに促されるままに聖弓セレスティアロを見せた。
「おぉおおお!これは素晴らしい!よくぞ手にすることができたな」
「まぁ、どうにか……」
「いや~、この輝きとかなんかが最高だ。芸術品のようだ!」
同じレンジャーだからなのか、クラークはセレスティアロを絶賛しまくっており、俺たちは若干引き気味だ。
するとクラークは何かを思い出したかのように俺に質問してきた。
「気になっていたんだけど、何でリュウトが手に取ることができたんだろうな?何か高貴な家の出身だったりとか?」
「え?それは?あの、実は……」
「クラーク。今からリュウトが言うことは全て本当よ。信じられない話だけど、聞いて欲しい」
シャーロットがフォローするように前置きをしてくれた後、俺は語った。
なぜ、神武具の一つであるセレスティアロを引き抜けたのか。そして、自分が何者であるかを……。
「なるほど。リュウトが勇者の血を引き継いでいるとは……。そうだとすれば、神武具に選ばれるのも当然かもしれないな」
「今思えば、自分でも信じられないって話だよ……」
神武具の件に関する一部始終や俺のことを聞いたクラークは納得したような表情をしている。
今しがた聞いた話は秘密裏にすると約束してくれる言質が取れたのは良いものの、本心では俺のことをどう思っているのかって気にしてしまう。
「だったら。俺の後任がリュウトなら安心できるよ」
「はい?」
「俺がこんな風になったがために勇者パーティを抜けた後、いろんな意味で不安に感じていたんだよな。代わりが見つかっても、本当の意味で貢献してくれるかどうかも含めてさ……。だけど、今ならこう思えるよ。リュウト。君ならば、俺の後任を果たしてくれるどころか、魔王討伐も、真の意味で果たす一助になるって……」
「え?」
そう言い切るクラークの目は本気だった。
確かに聖弓セレスティアロを手にした時は「え?何で?」って思ったし、勇者の血筋を受け継いでいることを初めて知った時は驚天動地のような感覚になったのは事実だ。
だけど、今なら自分でも言い切れる自信がある。
クラークの代わりの勇者パーティの一員ではない、俺ならではの勇者パーティの一人であろう!……と。
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